20代の頃、
何を思ったのか、日本一高い山に登ろうと思った。
夜中に友達の安藤とレンタカーを借りて、
東京から富士に向かった。
富士山には入り口がいくつもある。
迷った挙句、なぜか登る前に山の周りを一周した。笑
少し寝てから登るつもりだったけど、
結局まったく眠れないまま登り始めた。
20代だったから体力はあった。
雲より高いところへ向かって登る過程は、純粋に楽しい。
標高が上がるにつれて緑が消え、
やがて岩だらけになる。
途中で高山病に苦しむ人たち。
垂直に走るように登っていく自衛隊の人たち。
「すげーな」と思いながら、
気づけば山頂に着いていた。
沸点が低いからお湯はすぐ沸く。
カップラーメンはぬるい。
それでも、やけに美味かった。
山頂からの景色は圧巻だった。
ただ、それも一瞬。
下山では、
膝とつま先がずっと痛かった。
あの感覚は今でもはっきり覚えている。
スポーツも、
とんでもなく高い山を登るのとよく似ている。
登っている最中が、
いちばん濃い。
頂きに立てる時間は、
驚くほど短い。
何人もの世界チャンピオンや
日本チャンピオンをサポートしてきて、
いつも思う。
この一瞬のために、
彼らは日々を積み重ねている。
そして多くの場合、
あとになって気づく。
本当に記憶に残っているのは、
頂きではなく、
登っている途中だったと。
結果が出ない時間も、
山を登っている最中だと思えたら、
景色の見え方は少し変わる。
そんなものかもしれない。
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