高校時代、準優勝ながらウィンターカップで大会得点王とベスト5にも選ばれた富永啓生選手。ネブラスカ大学で経験を積み、日本代表にも選ばれた才能あふれるバスケットボール選手です。最高の武器は、”和製ステフィン・カリー”とも称されるほど圧倒的な成功率を誇る3ポイントシュート。47本連続で成功させるほど高精度なものです。バスケットの国アメリカでも”素晴らしいシューター”だと高い評価を受けた日本が誇るアスリートです。今回は、富永啓生選手についてお話します。
【コラムの著者】鈴木颯人

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら
【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

富永啓生選手を育んだ”父の英才教育”
愛知県名古屋市出身の富永啓生選手。バスケットボール選手の両親のもとで生まれ育ちました。父は日本大学在学中にユニバーシアード(国際大会)で準優勝した記録を持ち、世界選手権にも出場した211センチの長身プレーヤー。母も三菱電気でプレーした実業団選手でした。
4歳年下の妹も経験者でまさにバスケットボール界のサラブレッドである富永啓生選手。生後間もない頃からバスケットボールに触れていました。両親が彼に与えるおもちゃは、全て丸いものというこだわりがありました。まさにバスケット歴=年齢で3歳の頃には、すでに中学生が使うサイズのバスケットボールに触れていました。
そして”いつでもシュート練習ができるように”風呂場や車などにバスケットのゴールを父が手作りし、気がつけば家中ゴールだらけの環境。もちろん富永啓生選手の身長が伸びるたびにゴールの位置を調整し、そこで練習を続けてきました。手首が柔らかいという特徴は、幼少期からこなしてきた凄まじいシュート数の賜物なのです。
国内選手やNBA選手の試合動画を見ることも趣味だったため、難易度の高いプレーを見ては練習を繰り返し行ってきました。食卓を囲みながら話す話題も自然とバスケットボールの話題が多かったと言います。大きくなっても”バスケットボールが遊びであり生活の一部”という環境は一切変わらず、コーチをしていた父についていくのが富永啓生選手の日課。
次第に学生や大人に対しても1on1(一対一の勝負)を挑み、父が受けもっていたディーナゲッツ愛知で富永啓生選手の名を知らないものは居ないほどバスケットボール選手としての才能を発揮していきました。中学3年生の時に出場した全国大会で3位の成績を残し、バスケットボール強豪校の桜ヶ丘高等学校に進学。
U16日本代表強化選とアジアU18の日本代表選手に選ばれ、3年生の時にウィンターカップで全国3位の成績を残しました。卒業後は、アメリカ留学を決意。NJCAAの1部所属のレンジャー・カレッジへと進学しました。更にNCAANの1部所属のレブラスカ大学でも経験を積み、本場アメリカでバスケットボール選手として大きく飛躍したのです。
NBAのレジェンド選手に例えられた”シューターとしての才能”
両親共にバスケットボール選手で赤ちゃんの頃からボールに慣れ親しみ、物心ついた時には自然とバスケットボールを始めていた富永啓生選手。名門の桜ヶ丘高等学校に入学し、3年目にウィンターカップに出場し全国デビューを果たしました。
福岡第一高校との準決勝では、前半だけで31得点という驚異的な得点。この試合には敗れますが、3位決定戦でも46得点。出場した試合の全てで35点以上を記録しました。この大会の得点王に輝き、ベスト5にも選ばれ注目選手としてその名を挙げたのです。アジア選手権にも出場した富永啓生選手。
勢いそのままに卒業後は、アメリカ留学でバスケットの国に挑戦しました。加入先のレンジャー・カレッジでは1年目から31試合に出場。16.8得点のうち47.9%は、3ポイントシュートとして記録を残しました。バスケットの国アメリカでも確立させたシューターとしての才能。
3ポイントシュートの成功率は、40%以上であれば凄いと言われます。47.9%という数字は、富永啓生選手のシューターとしての才能が更に驚異的であることを表しています。「NBAのオフェンスに革命をもたらした」と言われるステフィン・カリー選手に例えられ、”和製ステフィン・カリー”と称された富永啓生選手。
バスケットボール界にて歴代最高のシューターとして名高いレジェンド選手のような評価を受け、愛用のバッシュも”カリーブランド”のものなのだそうです。
アメリカ人のように”外しても打ち続けるシュートのメンタル”
アメリカで得たのは、”打ち続ける”という強いメンタルだと話す富永啓生選手。練習が、ミニバスでやるような基本的な練習が多いことにも驚いたそうです。自分でやる時とやらない時のメリハリを持つのが日本人チームメイトの特徴。
しかしアメリカの選手は”俺がやる”という気持ちが何よりも強く、もちろんメンタルの強さも筋金入りだそうです。その性格の違いに特徴が現れるのは、シュートが入らないスランプのような時。シュートが入らない時に日本人選手は、遠慮しがちになります。
それに対してアメリカ人選手は、どれだけ外してるような状況であってもシュートを打ち続けるのだそうです。どちらの方が良いのかは、結果的に勝敗がつかないと分かりません。もちろん、シュート成功率が下がっている自分よりも「他の選手が打つ方が良い」と遠慮がちになるのもチームプレーする上で必要な判断です。しかし理想は、どの選手であってもディフェンスを抜いてチャンスがあればシュートを積極的に打てること。
結局、スランプの選手も自分自身で乗り越えないとチームの勝率が下がります。場合によっては、その試合時間内に”シュートが入らないスランプを抜けないと勝てない”厳しい戦いもあります。通常の精神力であれば、そのような厳しい状況で「次は入る。こうすれば入るかもしれない」とポジティブに考えることは難しいものです。
しかし強いメンタルを持っていれば厳しい状況を乗り越えることができ、時間内にスランプを抜けて勝利に繋げることができるのです。自身の性格について”強い相手になればなるほど燃えるタイプ”だと話す富永啓生選手。世界でもトップレベルのチームに良いパフォーマンスができたことで自信を得たのだそうです。
日本人選手としては長身でも海外の選手との対戦となるとさほど188センチの高さの利を感じることができません。しかし体重も80キロまでウェイトアップしたことでパワーもつきました。アメリカという環境に飛び込んだからこそできた経験。海外の選手のメンタルの強さなども目の当たりにしました。体のコンディション、そしてメンタルのコンディションも整えることで手応えを感じているのです。
今回は、富永啓生選手についてお話しました。バスケットボールもまた強いメンタルが必要な競技の一つです。経験者である両親のDNAを受け継ぎ、バスケットボール一家で育った富永啓生選手。整えられた環境と父からの英才教育、そして幼少期から反復したシュート練習によって類まれなるバスケットセンスとスキルを身につけました。
本場アメリカへ挑戦した経験で自分自身に自信を持つことができ、鋼のような強いメンタルを得ることができたのです。これからも応援し続けていきたいアスリートの一人です。今後もアスリート、そして指導者の皆様にとって有益となる情報を発信していきたいと思います。


