先日、現役を引退されたばかりの元バレーボール日本代表・井上愛里沙さんとのコラボイベントを開催いたしました。
今回の対談では、2018年から井上さんをメンタル面でサポートしてきた私、スポーツメンタルコーチの鈴木颯人が、これまであまり語られてこなかった彼女のキャリアの「舞台裏」についてじっくりとお話を伺いました。
「異例づくし」のキャリアと、その裏側にあった葛藤
中学時代から“天才”と呼ばれ、高校での再起、大学代表としての活躍、久光製薬スプリングスでの最多得点記録、そしてフランスへの移籍。 井上さんのキャリアは、どこを切り取っても「異例づくし」と言える素晴らしい道のりでした。
しかし、その輝かしい経歴の裏側には、計り知れないプレッシャーや葛藤がありました。私たちスポーツメンタルコーチは、そんな彼女の苦悩に寄り添い、共に歩んできました。
特に印象深く残っているのは、2023年、パリ五輪出場をかけた中国戦の直前のことです。 あの大一番の重要な試合の直前に、彼女から一本の電話がかかってきて言葉を交わしたことは、今でも私の心に深く刻まれています。
「アスリートとして、自分のことを好きだと思えますか?」
彼女が初めて私のコーチングを受けに来てくれたのは、まだ神戸にいた頃でした。 その時、私は彼女にこう問いかけました。
「アスリートとして、自分のことを好きだと思えますか?」
メンタルコーチングの世界では、「自信」「自己肯定感」「自己効力感」といった様々なキーワードが飛び交います。しかし、私がその最も根底にあると考えているのは、「自分への愛着(自分自身を大切に思えること)」です。
今回の対談の中で、井上さんはこう語ってくれました。 「メンタルコーチングを通じて、自分のことを好きになれました」
その言葉を直接聞いたとき、私は胸が熱くなり、思わず涙がこみ上げそうになりました。
語られにくい「メンタルのリアル」を届ける意味
現役アスリートと、こうしてオープンな場でメンタルについて対談できる機会は、実は滅多にありません。 なぜなら、メンタルの話題は非常に繊細であり、現役で戦っている最中には口にしづらいものだからです。だからこそ、引退された今、こうしてオープンに振り返る時間を持てたことは、私にとっても非常に貴重で幸せなひとときでした。
さらに今回、日本スポーツメンタルコーチ協会が掲げるビジョン、 「One athlete, One mental coach(1人のアスリートに、1人のメンタルコーチを)」 という言葉にも深く共感していただき、これからスポーツメンタルコーチを目指す受講生たちに向けて、トップアスリートの「リアルな声」を直接届けていただけたことには、とてつもなく大きな意味があると感じています。
私たち協会としても、まだまだ道半ばです。 ですが、こうした素晴らしい出会いや機会を一つひとつ大切にしながら、これからも謙虚に、そして誠実に歩みを進めていきたいと思います。
井上愛里沙さん、本当にありがとうございました。そして、最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
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