ストレス対処は8種類ある。心理学者ラザルスに学ぶ、アスリートのための「心の武器」の選び方

「ストレスが溜まって爆発しそうだ」

「ポジティブになろうとしても、不安が消えない」

アスリートにとって、プレッシャーや人間関係のストレスは避けて通れません。

しかし、多くの選手はストレスに対して「我慢する(耐える)」という武器しか持っていません。これではいつか心が折れてしまいます。

心理学者のリチャード・ラザルスは、「ストレスへの対処法(コーピング)は一つではない」と説きました。

今回は、ラザルスが提唱した「8つのコーピング(対処法)」を紹介します。

RPGゲームで敵に合わせて武器を変えるように、あなたの今の状況に合った「心の武器」を選んでみてください。

CONTENTS

そもそも「コーピング」とは?

コーピング(Coping)とは、「ストレスに対して意図的に行う対処行動」のことです。 大きく分けると、以下の2方向があります。

  1. 問題焦点型: 原因そのものを解決しにいく(攻撃)
  2. 情動焦点型: 自分の感情をコントロールする(守り)

ラザルスはこれをさらに細かく8つの戦術に分類しました。

【攻撃系】原因を変えたい時の武器

自分の努力で状況を変えられる時は、この武器を選びましょう。

1. 計画型コーピング(Planful Problem Solving)

冷静に分析し、計画を立てて解決する方法です。

  • 例: 「なぜ打てないのか?」を動画で分析し、練習メニューを組み直す。
  • 向いている人: 探究心が強く、論理的に考えたい時。
  •  

2. 対決型コーピング(Confrontive Coping)

リスクを恐れず、問題に正面からぶつかっていく方法です。

  • 例: 納得いかない判定や起用について、監督と直接話し合う。
  • 向いている人: 「このままじゃ終われない」というエネルギーがある時。
  •  

【守備系】心を守りたい時の武器

状況が変えられない時や、心が疲弊している時は、無理に戦わずこの武器で守りましょう。

3. 社会的支援模索型コーピング(Seeking Social Support)

誰かに相談したり、助けを求めたりする方法です。

  • 例: チームメイトに愚痴を聞いてもらう、専門のコーチに相談する。
  • 向いている人: 一人で抱え込みがちな時。「話す=放す」効果があります。
  •  

4. 責任受容型コーピング(Accepting Responsibility)

「自分のせいだ」と認めることで、事態を受け入れる方法です。

  • 例: 「あのミスは自分の準備不足だった」と認め、次に切り替える。
  • 向いている人: 真面目な人。ただし、自分を責めすぎないよう注意が必要です。
  •  

5. 自己コントロール型コーピング(Self-Controlling)

感情を表に出さず、自分の中で冷静に処理する方法です。

  • 例: 腹が立っても顔に出さず、深呼吸してやり過ごす。
  • 向いている人: 立場上、感情的になれないリーダーやキャプテン。
  •  

6. 逃避型コーピング(Escape-Avoidance)

ストレス源から一時的に逃げる、または忘れる方法です。

  • 例: 練習を休んで遊びに行く、映画を見る、寝る。
  • 注意: 「逃げ」は悪いことではありません。心が壊れる前の緊急避難として非常に有効です。
  •  

7. 隔離型コーピング(Distancing)

問題を「自分とは関係ない」「大したことない」と突き放して考える方法です。

  • 例: 「まあ、命を取られるわけじゃないし」「審判の機嫌が悪かっただけだ」と割り切る。
  • 向いている人: 深刻に考えすぎてしまう時。
  •  

【転換系】ピンチをチャンスに変える武器

8. 肯定型再評価コーピング(Positive Reappraisal)

最も高度ですが、最強の武器です。ネガティブな出来事の中に「ポジティブな意味」を見出します。

  • 例: 「怪我で入院したおかげで、身体の仕組みを勉強する時間ができた」「この逆境を乗り越えたら、俺はもっと強くなれる」。
  • 効果: メンタルが成長し、人間としての器が大きくなります。
  •  

武器は多い方が強い

いかがでしたか? 「ストレス対処」と一口に言っても、これだけの選択肢があります。

メンタルが弱い選手は、武器を一つしか持っていません。

「逃げちゃダメだ」と思い込んで真正面からぶつかり、砕けてしまうのです。

「今は疲れているから『逃避型』を使おう」

「エネルギーが戻ってきたから『計画型』で解決しよう」

このように、自分の状態に合わせて武器を持ち替えることができれば、あなたはどんなストレスの中でも、しなやかに生き抜くことができます。

今回は、心理学者であるリチャード・ラザルスの8つのコーピングについてお話しました。ますどんなことがストレスの要因なのか、そして今自分の感じているストレスを理解することが重要です。リチャード・ラザルスのよって提案された8つの中で自分にあった方法を見つけてストレスを解決すれば、メンタル面も安定しパフォーマンスアップへ繋がります。今後もアスリートや指導者にとって有益となる情報をお伝えしたいと思います。

合わせて読みたい記事

1、結果を出したいと思った時にどんなメンタルが必要か?

2、試合後の気持ちを整えるためには?

3、試合前の緊張感はメンタルの成長チャンス!

4、スポーツで自信がない時にどうしたらいいか?

5、強いチームと弱いチームの違い

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

【コラムの著者】鈴木颯人

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

CONTENTS