「大事な場面で、足が地につかない感覚になる」
「緊張して、重心が浮いてしまっている気がする」
一流のアスリートほど、メンタルの乱れを「身体の感覚」として敏感に察知します。
逆に言えば、「身体のバランス(立ち方)」を整えることで、メンタルを強制的に落ち着かせることが可能です。
これをスポーツ心理学では「センタリング(Centering)」と呼びます。
今回は、呼吸やイメージだけでなく、物理的な「立ち方」からメンタルを整える技術、「スタンディング・センター」について解説します。
バランスを整えること=センタリングの重要性
スポーツ心理学のロバート・M・にでファー博士が考案したセンタリング。さまざまな意味を持つ言葉でありながらスポーツ界においては安定と表現されることが多い言葉です。またピラティスでのセンタリング定義においては、体の中心を捉える、バランスを内側で感じる、中心・コア・重心、動きのエネルギーを中心から抹消への意味合いを持ちます。
例えば筋肉のつき方のバランスが悪い、フォームのバランスが崩れるなどのように表現されます。サッカーや文字入力としても使われるセンタリング=操縦用語。いずれの言葉でも中心に持ってくるというのが共通点となっています。ただ真っ直ぐ立つだけでも意識することが重要です。身体の中心軸となる足の中心ラインに圧をかけることで体の重心を安定させることができます。重心が安定すれば、全身の余分な力が抜け、最小限の力のみで立つことができるのです。
全身のバランスを整え、歪みない骨格と姿勢を手に入れることが出来れば、美容と健康にも役立つのです。中心ラインに圧をかけることで体幹を鍛えることもできます。あらゆる種類のスポーツにおいても体幹や体のバランスが整うことで運動能力や筋力アップも期待でき、パフォーマンス向上に役立つのです。
メンタルを整える「スタンディング・センター」のやり方
では、具体的にどうすれば「中心」を感じられるのでしょうか。 代表的なトレーニングである「スタンディング・センター」の方法を紹介します。
このワークのポイントは、「あえてバランスを崩すこと」にあります。
ステップ1:基本姿勢
両足を閉じて(または肩幅で)真っ直ぐ立ちます。 軽く目を閉じ、腹式呼吸を繰り返しながら、気持ちを落ち着かせます。
ステップ2:わざとバランスを崩す
ここが重要です。 ゆっくりと体を前方に傾けてください。 「おっとっと」と足が一歩前に出るギリギリのところ(前のめり)まで傾け、その不安定な状態で1秒キープします。 (※前後だけでなく、左右にも揺れてみてください)
ステップ3:中心(センター)に戻る
限界まで傾いたら、ゆっくりと元の「真っ直ぐな位置」に戻ります。 すると、「ここが一番楽だ」「骨で立っている感覚がある」というポイントが見つかるはずです。
これがあなたの「センター(中心)」です。
なぜ、揺れることが重要なのか?
「真っ直ぐ立ちなさい」と言われても、自分の中心がどこにあるかは意外とわからないものです。
しかし、あえて「バランスが崩れた状態(不安定)」を体験することで、脳は相対的に「バランスが整った状態(安定)」を強烈に認識します。
これを繰り返すことで、試合中にバランスを崩されても、瞬時に「自分のセンター」に戻れるようになります。
これは身体だけでなく、メンタルも同じです。
- 身体のセンターに戻る能力 = メンタルのセンターに戻る能力
動揺しても、ミスをしても、「あ、今ズレたな」と気づき、すぐに中心(冷静さ)に戻ってこられる。 これがトップアスリートの強さの秘密です。
日常生活での「立ち方」がメンタルを作る
このトレーニングは、練習場だけでなく、日常生活でも実践できます。
- 電車を待っている時
- 信号待ちをしている時
- デスクワークの合間に立った時
ふとした瞬間に、「今の自分の重心はどこにあるか?」を確認してみてください。
足の裏全体に均等に体重が乗り、身体の余計な力が抜けている感覚。
「立つ」という当たり前の行為の質を高めること。
それが、どんなプレッシャーにも動じない「不動のメンタル」を作る第一歩です。
心は「体」でコントロールできる
「メンタルを強くしよう」と心の中だけで頑張る必要はありません。
心がざわついたら、まずは「立ち方」を変えてみてください。
重心が下がり、足が地についた時、あなたの心には静寂と自信が戻ってきているはずです。
今回は、スタンディングセンターについてお話しました。バランスを整える=センタリングを意識することで運動能力や体幹がアップします。またスタンディングセンターを実践することでバランスの整った状態をキープできます。そして心身共にもたらすメリットが多いスタンディングデスクについて知識を持つことで健康な身体の状態と安定したメンタルが手に入るのです。今後もアスリートや指導者のみなさまにとって有益な情報を発信していきたいと思います。


