「勝ちたい」と思うほど体は動かなくなる。勝利への執着がパフォーマンスを下げる科学的理由

勝利を意識しすぎてパフォーマンスが低下してしまったという経験のある方もいるのではないでしょうか。本来、ポジティブ思考はパフォーマンスを高めるとされることも多く不思議に感じる人もいると思います。この記事ではこうした現象が起こる背景と対処法について解説します。

ディスクリプション: スポーツ選手やアスリートとして競技に取り組んでいる方の中には、「勝利を意識した途端パフォーマンスが目に見えて落ちた」「ポジティブなことを想像したら気が緩んでしまった」といった経験をしたこともあるのではないでしょうか。

特に、パフォーマンスの変化を他のメンバーに対して感じることもあると思います。 また、こうした経験をすると、どのように対処すれば良いかわからなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。

そこで、この記事では、ポジティブなことや勝利を意識するとパフォーマンスが低下してしまった場合について、原因や対処法を解説します。 指導者の方にも有益な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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なぜ勝利を意識しすぎるとパフォーマンスが落ちる?

スポーツ選手やアスリートが勝利を意識したりポジティブな思考を働かせたにも関わらず、パフォーマンスが落ちたり気の緩みが生じる背景には何があるのでしょうか。 ここではパフォーマンスの低下に繋がる可能性のある2つの背景を解説します。

集中力が散漫する

勝利を意識しすぎると、集中力が散漫し、本来、意識すべきである簡易で小さな目標やタスクを見過ごしてしまうことがあります。 競技のルールによっては、細かな点に注意を払っているか、意識し続けられているかがスコアに大きく影響する場合もあるのではないでしょうか。 そのため、結果的に試合を左右してしまうこともあるようです。

自己効力感の低下

自己効力感とは、自分が目標を達成するに足りうる能力を持っていると自覚したり認識する効果のことです。 特定の考えを強く意識し過ぎてしまうことによって自己効力感が低下し、身体的なパフォーマンスが落ちてしまうことがあります

他者と比較することで自分の能力や価値に疑念を感じ、実際には大して難しくない目標でも、不安からくるネガティブ思考に陥り達成が困難であると誤認してしまうこともあるでしょう。 自己効力感についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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パフォーマンス低下つながる現象を紐解く、心理学的な2つの視点

勝利を意識することがパフォーマンス低下につながる要因として心理学的理論から紐解くこともできます。 そこで、ここでは、代表的な心理学的理論を解説します。

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、他者から高い期待を寄せられる場合にその期待に答えようとする効果のことです。 この理論は、一見すると勝利を意識することで成果の向上が見込めそうですが、過度に期待が高まるとプレッシャーによりパフォーマンスが低下することがあります。

ゴーレム効果

ゴーレム効果は他者に対して期待していないと、実際にパフォーマンスも低下してしまう現象です。 このような評価を受けて、実際にパフォーマンスが下がってしまっている選手やアスリートは、期待をされるとかえって自己効力感が低下し、さらに悪化させてしまうことも考えられます。

観客の有無が試合に与える影響

ここでは、実際に選手が勝利を意識することでパフォーマンスに与える影響について調査した論文を解説します。 Nature関連誌に掲載された論文「Home advantage mediated (HAM) by referee bias and team performance during covid」ではイギリスのノーザンブリア大学の研究者らが新型コロナウイルス蔓延化で行われたイングランドの「プレミアリーク」、ドイツの「ブンデスリーガ」などをはじめとする8 か国、12の異なるリーグについて、無観客開催と有観客開催の場合でホームゲームにおけるパフォーマンスの変化を分析しました。

この研究の結果、無観客で行うホームゲームの試合では総じてパフォーマンスが低下したことがわかったそうです。

観客のいない試合では、選手は通常よりも自分のパフォーマンスに集中しやすくなりますが、一方で観客の声援や応援がないことによるモチベーションの減退や緊張感の欠如が生じる可能性があります。 また、この研究では選手だけで無く、審判の判定に対するパフォーマンスも分析され、有観客ではペナルティをそれほど出していなかった場合でも、無観客になった途端に大量の警告を受けたことも確認されたそうです。

この現象については、観客の目を気にしなくなることで選手が攻撃的なプレーを行うようになる可能性も示唆されています。 このような特殊な環境下では勝利に過度に焦点を当てることがパフォーマンスを低下させる可能性があるため、バランスを保ちながら目標に向かって努力することが重要です。

勝利を意識してパフォーマンスを低下させないためには、心理状況を適切に把握することが重要

勝利を過度に意識することがパフォーマンスの低下につながる場合、以下の対処方法が効果的です。 目標を適切に設定した上で、達成可能な目標を設定し、プロセスや成長に焦点を当てることが大切です。

過度な勝利への執着を避けることが、パフォーマンスの向上に寄与します。 また、ストレスを軽減し、集中力を高めるといった工夫を行うことで、プレッシャーを管理することも重要です。

また、自己肯定感を向上させるなどの工夫で自身の心理状況を把握し、コントロールする術を身につけることで、期待に負けずにパフォーマンスを出せるようにしましょう。

参照論文:Home advantage mediated (HAM) by referee bias and team performance during covid(Bilali? et al., 2021)

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【コラムの著者】鈴木颯人

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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