アスリートの望む結果にメンタル面でサポートするスポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。1日に約2万回ほどしていると言われるのが呼吸。代謝などの身体的な機能を始め、心理的要素やメンタルにも影響を及ぼします。呼吸方法一つであっても健康、不健康を左右するのです。寝てる体勢では、自然と腹式呼吸になります。目覚めると胸式呼吸になりますが、スムーズに切り替えが出来た方が有意義な時間を過ごすことができます。ストレスを何かとかかえてしまう現代。自律神経の乱れは、うつ病なども発症する原因となります。正しい呼吸法は、自律神経を整える効果もあるのです。もちろんアスリートにとってもパフォーマンスを左右する重要な呼吸法。今回は、胸式呼吸についてスポーツメンタルコーチとしての視点でお話し出来ればと思います。
【コラムの著者】鈴木颯人

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら
【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

マスターしたい2つの呼吸法、腹式呼吸と胸式呼吸
2種類に分類される呼吸法、腹式呼吸と胸式呼吸があります。鼻で息を吸いながらお腹を膨らませて息を吐き、お腹を凹ませるのが腹式呼吸です。お腹周りの筋肉を動かす呼吸法。眠る時には、お腹を上に向けるため、自然とこの呼吸になります。
この腹式呼吸法は、筋肉など体の機能を休息させるために副交感神経の働きを高めます。起きている時に腹式呼吸をすると心がリフレッシュされ、直感力やひらめきが湧いてきます。会議や試験、アスリートにとって大切な大一番の場面の直前にオススメの呼吸法です。
もう一方で肋骨を広げるように胸を膨らませたり凹ませて肺に空気を送り込み呼吸するのが胸式呼吸になります。普段自然と行っているのがこの胸式呼吸ですが、呼吸が浅く短い呼吸になりがちです。さらに不安や怒り、ストレスなどを抱えることによってこの浅い呼吸がさらに短くなると呼吸困難に陥ることもあります。
短い胸式呼吸では、空気が肺に届かないまま吐き出されてしまうので炭酸ガスなどの不要なものが溜め込まれてしまいます。この状態が続くことで血液の循環が悪化し、自律神経が乱れることで免疫力の原因となります。これに交感神経を活発化させる胸式呼吸の特徴がプラスされると更に癌などさまざまな疾患を発症しやすくなります。
それぞれにメリットがある2つの呼吸法。副交感神経を刺激し、筋肉や内臓の機能に休息効果を得ることでより疲労回復をスムーズに行うのが腹式呼吸です。寝る前に意識して腹式呼吸を行うことを心掛けることは、快眠へと導きます。
一方で交感神経を刺激し、脳や筋肉などの身体機能を覚醒させることで身体機能のスリープ状態から良い代謝状態に促すのが胸式呼吸です。腹式呼吸から胸式呼吸への切り替えを意識的にスムーズに行うことができれば、1日の始まりと終わりを有意義に過ごすことができるのです。
運動効果が期待できる胸式呼吸、3つのメリット
神経を刺激するのが2つの呼吸法の共通点ですが、マスターすることで心身の目覚めを有効化させるのが胸式呼吸になります。メリットは、大きく分けて3つあります。まず1つ目に血液中の酸素濃度を高める効果です。腹式呼吸を行えば、肺に多くの酸素を取り込むことができます。
毛細血管の隅々まで酸素が行き渡れば、脳や体全体に目覚めのサインを送ることが可能になったり脂肪分解酵素であるリパーゼの活動も後押しするのでダイエット効果まで期待できるのです。2つ目に”基礎代謝を高める効果的です。
交感神経が刺激されることで内臓機能が活動を始め、脂肪燃焼を活発化させるホルモンであるノル・アドレナリンが分泌されます。体内でエネルギー消費量が増えるため基礎代謝を高めることができるのです。最後にコアを鍛え、歪みを改善する効果。腹式呼吸は、胸の筋肉以外の肋骨周辺の腹横筋などにも刺激を与えます。
継続的に刺激する頻度を増やせば、深部の筋肉インナーマッスルまで鍛えることができます。ウエストを引き締めたり、体の歪みや猫背を改善できるのです。
起きて数分で目覚めに効く胸式呼吸やり方
より良い目覚めのために押さえておきたい胸式呼吸です。やり方は、まず最初に背筋を伸ばしリラックスして座ります。起きてすぐ仰向けの体勢であれば、より自然に行うことができます。その体勢で息を全て吐き出してしまいます。次に胸を大きく広げるように意識して鼻から息を吸い込みます。
ゆっくり5秒ほど心の中で数えるほどが、丁度良い目安。十分に息を吸い込んだら今度は吐きます。胸に溜め込んだ空気を押し出すようなイメージ。3秒ほどかけてゆっくりと口から息を吐き出します。この息を吸って吐いてを20回ほど繰り返します。
ポイントは、腹式呼吸とは逆で息を吸う時と吐くときに腹筋に力を入れることが重要。お腹が膨らんだり凹んだりしないように心掛けます。起きてすぐ体を起こす前に行うのがオススメです。
目覚めてから数分でできる胸式呼吸で体をポカポカさせ代謝の良い1日をスタートさせることができるのです。
体幹とインナーマッスルを鍛える胸式ラテラル
90%のアスリートが安静時にも行っているのが胸式呼吸です。安静時であっても心身が緊張や興奮状態にあり疲労が溜まりやすい状態が続いているということが研究結果で明らかになったのです。正しい呼吸法を行うことは、脊椎や体幹を安定させることに繋がります。
どの競技によっても必要となる繊細な感覚を狂わせるのが、体の表面にある筋肉の緊張だとされています。正しい呼吸法をマスターすれば、体幹を滑らかに動かすための必要な深層筋肉インナーマッスルを鍛えることができます。インナーマッスルを鍛えることで緊張をほぐし、全身をスムーズに動かすことができるようになるのです。
呼吸法で動作で息を吐き、お腹を凹ませた状態ドローイン。近年では、呼吸法のトレーニング用語としても使用されるほど注目されている言葉です。一見して安定感がある腹筋に力を入れている状態のドローインですが、もちろん常にこの状態では過剰な緊張もかかってしまうため注意が必要です。
そこで体幹やインナーマッスルを鍛える呼吸法として注目されているのが”ピラティス”です。うまく活用することで体に程よい緊張感で酸素を豊富に取り込むことができ、周囲の筋肉まで柔軟に動かします。
もう一つ押さえておきたい言葉が、広げるという意味を持つラテラル。胸式呼吸と腹式呼吸の両方の呼吸の働きを持つ胸式ラテラル呼吸と言われる呼吸法です。胸に空気を取り込む胸式呼吸、お腹を膨らませるのが腹式呼吸。そして肩甲骨を動かしてその下の肋骨を広げ、背中側に空気を取り入れることで行うのが胸式ラテラル呼吸です。
肋骨を開く胸式呼吸と横隔膜を意識する腹式呼吸の動き、どちらも取り入れるのが特徴。お腹に力を入れ、引き締めたドローインの状態で腹筋が鍛えられるメリットがあります。腹筋が鍛えられるため体幹の安定にも効果が期待でき、横隔膜の動きによって内臓が刺激されるのでために便秘解消などの体の不調まで改善されるのです。
今回は、胸式呼吸についてお話しました。アスリートにとってパフォーマンスアップに欠かせない呼吸法。熟知することで体幹とインナーマッスルまで鍛えることができます。体がしなやかに動くことで自信を持つことができ、メンタル強化へと繋がります。今後もアスリートや指導者のみなさまにとってパフォーマンスアップ向上へ繋がるオススメの情報を発信していきたいと思います。


