ドライバーショットを成功させるためにプロゴルファーが大切にするメンタルとは?
目次
- ドライバーのメンタル
- ドライバーの戦略脳を鍛える
- イップスについて
ドライバーのメンタル
今回の内容は、主にプロのゴルファーとして活躍している選手に向けた内容になります。私自身、プロゴルファーを2011年からサポートし続けてます。中には優勝を経験したプロゴルファーもいます。年間30試合前後ある中で結果を残し続けるというのはとても大変なことです。さらにはシードを取り、翌年も活躍する場をいただけるだけでも凄い世界です。その中でも優勝を何度もし、さらには活動の地を日本からアメリカに移していく、そういった夢のある話でもあります。
今回お話ししたいのはドライバーのメンタルです。このドライバーのメンタルの中でもぜひとも理解していただきたいことが4つあります。
集中力
ドライバーショットは、ゴルフで最も力を要するショットのひとつです。このため、打つ前には集中力を高めることが重要です。周りの環境や他のことを気にせず、自分の打つべきショットに集中することが必要です。その上で効果的になるのが「ルーティン」です。
ルーティンというのは、もともとルートという言葉から発祥しています。その人が最適な目的地に行くために必要な経路、これをルートと言っています。この言葉が転じてルーティンという言葉が生まれました。つまり、ある状態になるために必要な道筋を作ることになります。これがルーティンであり、「習慣」という言葉で表すこともできます。
私が選手の練習や試合を見に行く時に見ているのがこのルーティンであったり、無意識の習慣になります。新しいルーティンを作るのではなく、すでにある状態のルーティンを見ていきます。その中でも、結果が出る時とそうでない時のルーティンの差を見ています。うまくいかない時にやっているルーティンというのは、すなわち自分が思うようなドライバーが打てていない時にやっているルーティンになります。
上手くいかない結果を引き起こすことが悪習慣のルーティンとも言えます。その中でも典型的な行動パターンが、ドライバーを構えてから打つまでに時間がかかっていたりするケースです。一般的に、構えてからすぐ打つことで余計な迷いを無くすことが大事だと言われています。この時間を各ホールで計測し続けることで見えてくる最適解があります。
そして次にやるのが、いい結果を生み出した時のルートを見つけます。例えば僕が見ていた選手では、構えてから打つまでに何秒だったのかというのを計ったり、他には構えてから何回フェアウェイを見たのかであったり、その人がいい結果を生み出した時にやっているルーティンを見つけることをしています。そして、そのルーティンを確立することで不安を打ち消し、自信が持てるからこそ集中力が高まっていくのです。
自信
集中の次に必要になるのが自信になります。ドライバーショットは、距離を稼ぐために打つショットです。そのため、プロゴルファーは、自分の能力を信じてショットに臨むことが重要です。自分の能力を過信することは避けつつ、自信を持ってショットを打つことが必要です。ただ、この自信に関して、多くの方々が誤解しています。それは何かというと、無理な自信をつけようとしているということです。それを「ポジティブシンキング」や「自己肯定感」と言ったりします。
つまり、無理して「自分は出来る!」「自分は上手いんだ!」と思ったり、頭ではこうなりたいと思いつつも本音である心が素直にそう思えないんです状態を作ってしまう選手をよくみます。それでは、不安や恐怖、そういったネガティブな感情を、言葉によって自分自身を奮い立たせようとしすぎて苦しくなってしまうのです。
そこで、私が求めている自信があります。それが、心理学の「自己効力感」です。この自己効力感を手に入れる為に先ほどお伝えしたルーティンを取り入れたいのです。また、本物の自信は自分自身のパフォーマンスに比例します。つまり、上手になるために必要な適切なティーチングプロが必要になります。その点は私の領域外ですが、うまくいかない選手ほどティーチングプロなどを利用しなかったり、コロコロと別のコーチに変えていたりする人を見ます。
本物の自信を手に入れる為にも一流と呼ばれるコーチを見極める選手の力はセンスかもしれません。ただ、アメリカでTPIという団体が台頭してきてます。私は、数名のTPIのコーチとお会いし、その実力を肌で感じることが多々ありますのでオススメです。
リラックス
スイングの精度を向上させるため余計な力が入ると、スイングの軌道が狂ったり、ボールを打ち出す方向がぶれたりする可能性があります。リラックスすることで、余計な力を抜いてスイングを行い、正確な方向にボールを打ち出すことができます。その上でどのような方法が大事になるかまとめてみました。
深呼吸をする
ドライバーを打つ前に、ゆっくりと深呼吸をすることで、リラックスすることができます。鼻から息を吸って、口から息を吐くようにすると効果的です。この点も、試合や練習をする際に私が実際にチェックしている項目の一つです。やはり、呼吸が無意識に止まっているケースが多く、上手く呼吸ができないとメンタルに影響する自律神経に影響を及ぼすと考えています。
ゴルフクラブを握る力を緩める
ゴルフクラブを握る力を緩めることで、肩や腕の緊張を緩和することができます。握力を緩めると、スイングがスムーズになります。しかし、頭でわかっていても行動できないのがプロゴルファーの現実です。その上で、スポーツメンタルコーチが立ち会った上で力感を緩める方法やトレーニング、さらには対処法を二人三脚で構築していきます。私自身、同じ方法が万人に当てはまると考えていません。その人にしかない個性が必ずあるからこそ、メンタルコーチとして選手をしっかりと観察した上でお伝えすることを大事にしています。
ゴルフボールに集中する
打つ前に、ゴルフボールに集中してみてください。ボールの位置や色、形などに注目して、自分が打つイメージを作ることで、リラックスすることができます。とても不思議な話ですが、1点をずっと見ることが苦手な人は多いことがわかっています。その背景にはストレスが原因と言われてます。ストレスが多いと、脳がストレスに対応するために、他のことに注意を向けてしまうことがあります。そのため、一点集中がうまくできなくなってしまいます。
ドライバーの戦略脳を鍛える
そして次にやりたいのが、ドライバーの戦略を最初に決めておくことです。冒頭でもお伝えした自己効力感を高めていくために何が必要かというと、一発目で失敗しないということになります。1ホール目でいきなり失敗すると、多くの方がドライバーに関して自信が持てなくなります。自信を失ってしまうのはなぜかと言えば、不安な状態でドライバーを握っているからです。そうすると結果は出にくくなります。
ゴルフという競技は3日間競技、もしくは4日間競技になります。できる限り自信を保った状態でプレーをしたいわけです。この状態を作るために、私が戦略を考えたり、選手と一緒に戦略を考えます。
最もよくやる戦略は、1ホール目、2ホール目にドライバーをあえて握らないということです。ドライバーではなく、例えばスプーンを握ったり、クリークを握ったり、あるいはユーティリティを握ったりして、飛距離は落としてもしっかりとフェアウェイに打つことがポイントになります。
これを何度か繰り返すことができると、ドライバーに対しても「打てるかも」と思えるわけです。この「打てるかも」と思える自己効力感を手に入れるために、あえて1ホール目、2ホール目はドライバーを握らずに回っていくということがポイントになります。
ドライバーイップスについて
そして最後に、ドライバーを握っている選手で多くの方が困っているドライバーイップスです。このイップスに関しては安易に思わないこと、これを私は強くお勧めしたいです。なぜならば、イップスはまだ科学的に解明されていないことが多々あるからです。
世の中を見渡すと、イップスに関する改善方法を提示している業者さんをたくさん見ます。ただ、その業者に行ったからといってイップスが改善されるとは限らないが現実です。イップスについては依然として科学的にわかっていないことだらけだからです。イップスという言葉だけが一人歩きしてしまい、イップスかもしれないと思い込み、自分自身が技術を高めるために必要な努力をしなくなってしまう。自分がうまくいかないのはイップスだと思い込むことで、本当に必要な努力をしなくなってしまうことが一番怖いと私は思っています。
イップスが科学的にわかっていないからこそ、必要以上にイップスという言葉にとらわれる必要は今はないと考えます。私の知り合いで科学的に解明しようと努力されている方もいます。いつか、本当の意味で解明された時には診断ツールが確立されると思います。今のように、感覚だけでイップスだと決めつけない未来が来ることを願っています。
なので、もちろんイップスになっている方もいるかもしれないと思いがちですが、まずは今日お伝えした内容を是非とも試してみてください。それでも上手くいかないと悩む方は個別の体験コーチングを受けに来てください。
【このコラムの著者】
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