「小さなプロ野球選手の履歴書/ヤキュイク編集部」は野球に携わるすべての指導者、保護者にオススメ。
『小学生離れした体格から、投げては剛速球、打っては大ホームランを連発する、そんな選手「スーパー小学生」を取り上げることが増えてきたが、中学、高校へと進む中で、かつての「スーパー小学生」たちの名前が聞かれなくなる、そういうことが意外と多い。反対に、身体も小さく、目立った活躍もしていなかった「無名だった小学生」たちが成長するにつれて、かつての「スーパー小学生」たちを越えていく「うさぎとかめ現象」のようなケースが多々ある。フィギュアスケートや卓球、ゴルフなどのスポーツは幼い頃からトップレベルだった選手がその後もずっとトップレベルであり続けるイメージがありますが、野球の世界ではなぜ「うさぎとかめ現象」のような逆転現象が多く起こるのか。』
(はじめにより)
『昔から身体の小さな選手はいましたが、どちらかというと小技を求められるタイプが多かった。しかし現在では、森友哉選手(オリックス/170センチ)、宮崎敏郎選手(DeNA/172センチ)のように高い技術とパワーを兼ね備え、打線の中軸を担う選手も珍しくない。ピッチャーに目を移しても、平良海馬選手(西武/173センチ)は160キロ近い剛速球を投げ込み、球界を代表するリリーフ投手になっています。そんな彼らは、いったいどんな少年野球時代を過ごしたのか?早熟タイプだったのか、あるいは子供のころから小さかったのか?自分の体格とどのように向き合い、どんなふうに練習に取り組んできたのか?体が小さいことで壁にぶつかったとき、どのように乗り越えてきたのか?そんなことを考えている内に彼らの野球ヒストリーを追いたくなった。』
(はじめにより)
自分の武器を見つける
宮城大弥選手
『昔は「180センチあればもっと速い球を投げられる」とも考えていたが、今は171センチの身長の中でベストな体の使い方をして、キレを出せているのでこの身長で良かったのかなと思います。クルっとまわって投げるのがぼくの特徴ですけど、背が大きかったらこの投げ方はできていないかも。だから体が大きければすべてが有利に働くとは、言い切れません。』(119~120ページより)
森友哉選手
『野球をやるうえでの身長が低いというのは、何のハンデもデメリットもないと思います。身長が低いなら低いなりのやり方があるはずですし、そこでどう考えて工夫するかということが大事ですよね。単純なパワーは体の大きい人の方が有利なのかもしれません。でも、身長が高くて手足が長い人よりも、身長が低い選手は手足を器用に使えます。実際に自分は内角の厳しいボールを窮屈にならずに打つことができますけど、それは身長が低いからというのもあると思います。』(166~167ページより)
岸創価大学前監督(小川投手の大学時代指導者)
『やっぱり大事なことは桜梅桃李、桜や梅、桃や李それぞれの良さがあって、どれも代わりにはなれないという意味なのですが、野球選手においても同じなんです。体の大きい人には大きい人なりの良さがあり、小さい人には小さい人なりの良さがある。誰かをうらやましく思う必要なんてありません。自分らしく個性を輝かせながらベストを尽くせば成功できるということを小川は示してくれています。』(106~107ページより)
伸び伸びプレーすることができた環境
美馬学選手
『「フォアボールを狙え」「叩きつけてゴロを打て」など、「お前は小さいんだから」というようなことを指導者から言われたことがまったくないんです。打ち方だったり投げ方だったりも好きなようにやらせてもらいました。今にして思えば、それが自分の身長のことを気にせずに、野球選手として小さくまとまらなかったことに繋がっているのかもしれないですね。』(49ページより)
宮崎敏郎選手
『現在の独特のバッティングフォームは、小学生の頃には完成していたんです。ボールを遠くに飛ばすために試行錯誤する中で、ああいうスイングにたどり着いたという感じですね。指導者から「体格に見合ったコンパクトなスイングをしろ!」「もっとゴロを転がせ!」と言われた記憶はまったくありません。割と伸び伸びと自由にやらせてもらっていました。』(64ページより)
まとめ
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