コーチと選手の恋愛はアリ?「信頼」と「恋心」を混同してしまう女性アスリートの心理メカニズム

目次
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信頼を築くためのアイコンタクト
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男性とは真逆の女性アスリートの特性
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心理を考慮した女性アスリートの指導法
信頼を築くためのアイコンタクト
「人付き合いは相性だから仕方がない」と簡単に割り切れないのが人間関係です。例えば「チーム内で合わない人がいる」「自分を評価してくれない」と仲間や監督、コーチに対して感じることが多いのがスポーツを頑張る女性アスリートです。こういったところがとってもメンタル面に影響していきます。
日々技術を磨くために厳しい練習を重ねるスポーツ選手ですが、人間関係に悩みがあるとメンタル面が不安定になります。「また叱られるかもしれない」「嫌われてるかもしれない」と感じることは対人間のため仕方のないことです。
競技に対する技術面の悩みではなく、関係のない人間関係の心理的な悩みを持つケースが増えています。ネガティブな感情をスポーツ選手から出来るかぎり取り除いてあげたいものです。
このようなネガティブな感情は、相手との信頼関係が良くなれば次第に減少していきます。しかし、相手との良好な人間関係を築くのはなかなか大変なことです。もちろん、悩みの種となる人と過ごす時間が長ければ、長なるほどより深刻になる恐れもあります。
メンタル面において人間関係を良好にする方法は、相手を変えようとしないということです。これにつきます。人間関係の悩みは、自分以外の2人以上の人が存在することで生じます。人との関係性を深めるために重要なものが信頼です。
例えば「しっかり挨拶しなさい」と注意されるにも初対面の人からより尊敬する人から言われる方が胸に響きます。理由は信頼があるからです。この信頼関係があることでお互いの考えや主張を受け入れやすくなり、格段にストレスが軽減します。もちろん信頼関係を築くためにある程度の時間は必要ですが、お互いにコミュニケーションを心掛けます。
信頼関係が作られていない時期には、目を合わせる回数が極端に少ないことが分かっています。相手の目を見ることは、まだ言葉を十分に交わすことができない関係性の時にもお互い気持ちを読み取る方法として有効な手段となります。お互いの心情を理解していくことで相手の立場に立って物事を考えることができるようになっていきます。
気持ちが通じ合えている上で言われたことならば、例え思ったことと真逆なことを言われても一度は心に受け入れることができます。そこから「なぜなのか?」と納得いくまで話し合いができる関係性にまでなれば、良い結果が望めるようになります。
信頼関係を築いた相手と過ごすことで安定したメンタルを保つことができます。相手を変えることはできないですが、相手を理解しようと考えること、相手のために思うことがコミュニケーションを図る上で時間以上に大切なことなのです。
コーチを好きになってしまう心理的メカニズム
選手が指導者に対して恋愛感情を抱くことは、スポーツの現場では決して珍しいことではありません。しかし、その感情が「本当の恋」なのか、それとも「脳の錯覚」なのかを冷静に見極める必要があります。メンタルコーチの視点から、2つの心理現象について解説します。
1. 信頼が恋に変わる「転移」
心理学には「転移」という言葉があります。これは、信頼している相手(カウンセラーや教師、指導者など)に対して、特別な感情を抱いてしまう心の働きです。
厳しい練習の中で自分を支え、導いてくれるコーチに対して、強い信頼感や依存心が生まれるのは自然なことです。しかし、脳はこの「強い信頼(頼もしさ)」を「異性としての好意(恋愛)」と混同してしまうことがよくあります。 「コーチがいないと私はダメだ」という感情は、恋ではなく、メンタル的な依存である可能性も高いのです。
2. ドキドキを勘違いする「吊り橋効果」
スポーツの現場では、激しい運動によって心拍数が上がったり、試合の緊張感でドキドキしたりする場面が多くあります。 心理学で有名な「吊り橋効果」と同様に、この身体的な興奮状態(ドキドキ)を、脳が「目の前にいるコーチへのときめきだ」と勘違いして処理してしまうことがあります。
練習中にコーチを見るとドキドキするのは、恋だからではなく、単に運動強度が上がっているからかもしれません。一度冷静になって、グラウンドを離れた私服のコーチを見ても同じ感情になるか、自問してみるのも一つの方法です。
恋愛関係に発展した場合のリスクと境界線
もし、お互いの気持ちが通じ合い、恋愛関係に発展した場合でも、スポーツの現場には大きなリスクが潜んでいます。特にチームスポーツの場合、その影響は当事者だけにとどまりません。
「エコひいき」の疑念とチームの崩壊
コーチと特定の選手が付き合っている、あるいはその雰囲気があるだけで、他のチームメイトは敏感に察知します。 たとえコーチが公平に指導していたとしても、周りはそう受け取りません。「あの子がレギュラーなのはコーチと付き合っているからだ」「指導が甘いのではないか」という疑念が生まれ、チームの信頼関係は一瞬で崩壊します。
パフォーマンスの低下と共倒れ
恋愛関係になると、どうしても相手の顔色が気になったり、喧嘩をした翌日の練習に身が入らなかったりと、メンタルの波が激しくなります。 「恋愛の悩みがそのまま競技の不調に直結する」という状態は、プロを目指すアスリートにとっては致命的です。
コーチへの感情が、自分のパフォーマンスを高める「モチベーション」になっているうちは良いですが、自分を苦しめる「依存」やチームを壊す「火種」になっている場合は、その関係を見直す勇気も必要です。
男性とは真逆の女性アスリートの特性
スポーツ選手がパフォーマンスを発揮する上で何が支えになっているのかとても重要なことです。「自分をサポートしてくれる人がいて、その存在が自分自身の成功に重要である」と応える人が多いことがわかりました。選手を支える人には、コーチ、チームメイト、両親、配偶者(パートナー)、理学療法士、家族などがいます。
そのなかでもスポーツ選手のパフォーマンスに直接的な影響を与えるため、監督やコーチとの人間関係はより重要なものです。スポーツ現場の指導者が男性と女性アスリートの特性の違いなどを理解しておけば円滑な人間関係を築くことができます。
スポーツを頑張る女性アスリートの特性は、まず集団行動を好むことです。充実感を大切にする”こと結果までの過程を大切にする”という3つの特徴が挙げられます。女子アスリートがこれら3つを大事にする傾向が強いのは、平等や公平なことだと言われています。
そのため指導する立場に立つ時には、チーム人数が多ければ少し大変かもしれませんが、選手に対して出来るかぎり平等に声を掛けるように意識したいのです。最終的に結果までの過程を重要視する傾向が女性アスリートは強いのです。
対してスポーツを頑張る男性アスリートの特性は、まず単体行動を好むこと。勝敗を大事にし、結果を重要視する傾向が強いと言われています。自分を大事にするため、指導する立場に立つ時には、選手個人の実力をあげることを意識することが望ましいと考えられます。
このように男性と女性アスリートは、全く真逆の傾向が強いことがわかりました。もちろん性格など多少のズレはあるもののお互いの特性を考慮した指導を心掛けることがメンタルを整える上で好ましいのです。
心理を考慮した女性アスリートの指導法
女性アスリートの特性を活かしたメンタルコーチング方法としては、まず指導者の意図を出来るかぎり全て話すことです。スポーツ選手に関わらず、男性であれば「言わなくてもわかるだろう」と感じる傾向が強いです。
これに対して相手が考えていることや、思っていることを口にしてほしいのがスポーツを頑張る女性の心理です。もちろん、全て話すことは難しいですが、出来るかぎり考えを話すことで指導者の意図を理解して練習に打ち込みやすくなります。
次に話をしっかり聞くことです。自分の話を誰かに聞いてほしいと言うのが女性の心理で、どんな選手でも少なからず不安や悩みを抱えています。見逃しがちになりそうなことでもしっかり聞くことでスッキリとした気持ちで日々のトレーニングをこなしやすくなります。
そして良い演技ができた時には、パフォーマンスをしっかりと褒めることです。もしチームプレイなら個人的なパフォーマンスだけではなくチームとして誉めることが重要です。
例えば「君のプレイのおかげでチームが勢いづいたよ」と言われることでより一層頑張れるのがスポーツを頑張る女性の心理です。
また女性アスリートへのコーチングの注意点としては、まず一人の選手だけ接しないことです。誰か一人が秀でてしまうことは仕方のないことですが、実力のある選手だけに接しないように心掛ける必要があります。一人の選手だけに接してしまうと他の選手は劣等感を感じ、練習に身が入らなってしまうからです。
次に全員の前で叱らないことです。ミスなどはスポーツにはつきものですが、注意する時は全員の前で叱らないようにしましょう。その選手のモチベーションが一気に下がり練習が身に付かなくなるだけではなく、他の選手の心理も暗くなってしまいます。これは女性に限らず男性にもいえます。
スポーツを頑張る女性アスリートのミスを注意する時は他の選手にも見えるけど聞こえづらい場所を上手に見つけて話すように配慮しましょう。このようにすることでパワハラ対策にもなるのです。
今回は、スポーツを頑張る女性アスリートの人間関係についてお話しました。アイコンタクトなどコミュニケーションを取ることで信頼を築きあげることができます。信頼関係があれば、人間関係に悩むストレスを軽減できるためメンタルも安定します。
また、スポーツを頑張る女性アスリートの特性を理解することでより効果的な指導方法やメンタルの安定を実践することができます。そこから選手個人の性格や傾向を見極め、練習や指導方法を調整していくことでお互いのメンタルが理想的な状況になっていくので重要です。
【このコラムの著者】