強いチームと弱いチームの違い
日本一のチームを導いた経験から伝えたいこと
目次
- 雰囲気の違い
- 負ける雰囲気とは?
- 試合前から勝てる雰囲気を作る
- 勝つチームは〇〇が自然と出る
- 笑顔の力を利用する
雰囲気の違い
そんな様々なチームを私がサポートする中でよく感じるのが、強いチームの雰囲気と弱いチームの雰囲気になります。私自身、もともと高校野球で甲子園に出るようなチームで野球をやっておりました。スポーツ推薦で入ったんですけれども、部員も総勢で100人を超えるぐらいの本当に強豪校と呼ばれるチームで3年間やってきました。
そういったチームに入っていて何をいちばん感じたかというと、「雰囲気」なんです。もっと具体的に伝えると「勝てる雰囲気」というのが必ずあるんです。私自身はこういったメンタルコーチという仕事をしているんですけれども、さまざまな現場に出向くと、必ず「勝てる雰囲気」と「負ける雰囲気」があります。
負ける雰囲気とは?
そこで、最初に負ける雰囲気ってどんな雰囲気があるか?ちょっと考えてみてください。
- 口数が少ない
- 表情がどんどん暗くなっていく
- 監督、コーチが怒りだす
などなど・・・
こういった雰囲気という具体的なチーム一人一人の行動から、「なかなか勝てそうにもないな…」という雰囲気を私は感じてしまいます。これは、私だけではなく、みなさん自身も実際に感じたことがあると思います。こういった雰囲気が出ると自然と応援したいと思えなくなるのが人の気持ちです。イケイケな時は応援したいのですが、そうでない時はヤジや言葉を見失うものです。
試合前から勝てる雰囲気を作る
では、強いチーム、勝てるチームというのは、どんな勝てる雰囲気を醸し出しているのか?現場を大事にしてきた私は高校野球や高校サッカーなどの試合をよく見学に訪れます。大学の試合もよく見にいきます。もちろん、プロ競技も見にいきます。2011年から毎年100試合は見に行ってるかもしれません。こうした積み重ねから勝てるチームにはどんな雰囲気があるか?見えてくる世界が必ずあります。それは、チームの選手が集合する段階から違ってくるのです。
例えば、
- 言われなくても早く来ている
- 言われなくてもストレッチなど試合に向けた準備を各自でやっている
- 荷物や靴をちゃんと揃えている
などなど・・・
こういった雰囲気から、「あっ、このチーム強そうだな」というのを感じるんです。もちろん、競技には直接関係ないと思える内容ばかりだと思います。では競技に関係ないことを疎かにしていいのでしょうか?私は「神は細部に宿る」と信じています。何か1つでも手を抜いたときに、言い訳の材料になってしまうことを最も恐れます。さらに大事なのは、チームが試合で勝つためにそれに相応しい徹底した準備をやりぬけているか?ここが最大のポイントになるのです。
勝つチームは〇〇が自然と出る
それでは、ゲームに入ったらどんな雰囲気が出るか?ゲームに入ったらどういう強い雰囲気が出るのか?様々なチームを見ると必ず声が出ています。非常に声が出ているんです。では、その声って、どういう声が出ているか?やみくもな言葉のかけ方ではないんです。どちらかというと、非常に的確な声かけが多い印象があります。
野球を例に挙げると、次の準備、次の展開に対しての言葉がけが非常に多くなります。例えば、ノーアウトランナー1塁で、試合が序盤だったとします。その時に、「バントあるよ」という指示があって当然だと思います。それに対して、ほとんどの一般的なチームというのはメンバー間での声かけが多いんです。
しかし、本当に強いチームの雰囲気というのは、ベンチからの声というのが非常に多いんです。ベンチからの声かけというのが非常に重要になってきます。監督に言われなくても、選手たちから言えているような雰囲気、こういった雰囲気をベンチで感じると、非常に強いチームだなと感じます。
笑顔の力を利用する
そして最後に非常に重要になってくるのが「笑顔」になります。いちばんきつい時に笑えるかどうか?なんです。具体的な事例として非常に有名なのが星稜高校が最終回、9回に大逆転したという話もあります。実際、笑顔になることによって副交感神経が優位になるので、ストレス優位になりがちな試合終盤での自律神経のバランスが整うという可能性があります。
こういった点も含めて、笑顔は大事だなと思っています。特に試合の勝敗を左右するポジションであるピッチャーやサッカーのGKであればあるほど笑顔がなかなか出せなかったりします。だからこそ、笑顔を引き出してあげるために、周りの選手やベンチに座る選手やスタッフが「笑顔、笑顔」と声を掛けてあげられる当たり前の雰囲気が非常に重要になってくるのではないかと思います。
こういった笑顔を出せるチームほど、本当はプレッシャーを感じる場面でも笑顔を意識して作るからこそ余裕を感じるわけです。その余裕から、強いチームの雰囲気やオーラが表れるんじゃないかなと思っております。最近だとゴルフで非常に結果を残している渋野選手も笑顔が特徴的ですよね。もともとスポーツって楽しくて始めた方が多いからこそ、笑顔をもっと大事にして欲しいなと思います。
いい雰囲気を作ることを目的にしてはいけない
ここまで、雰囲気の重要性についてお伝えしてまいりました。しかし、雰囲気に囚われてはいけないと私は思っています。雰囲気に囚われると、もっとも大事なことを忘れてしまうのです。それが、個人の能力を発揮することです。
チームの雰囲気をよくしたいのはあくまでも目的を達成するための手段でしかありません。その目的は「チームが勝つ」ことです。しかし、雰囲気に囚われると自然と雰囲気作りに拘り、個人個人にあった能力を引き出すことが二の次になりがちです。
強いチームほど、個人が持っている能力をしっかりと引き出せるチームです。個人が持っている能力を引き出すためにルーティンなどがあるのですが、それすら無視してチームの雰囲気作りに一生懸命になると危険な状態になると思っています。
かつてイチローさんが高校野球の練習に見学に行った際に、こんなことを話されていました。
「ベスト8以上はあの勢いは通じないですね。野球がしっかりしていないとあの迫力に押されるケースもありますよ、それは。格下なら。でも、強いチームはそうはいかないですね。千葉明徳の選手たちを見てると、声と同じように身体も動いてしまうんですよ。だから、いつもせわしないっていうかね、わちゃわちゃしている。強いチームにそれはないです。メリハリ必要ですよね。だからまず、黙って練習するのが良いかもしれないですね、千葉明徳は。黙ること」
引用:イチローさん、甲子園未出場・千葉明徳への提言は高校野球の“常識”を覆す「まず、黙って練習するのが良い」
イチローさんが話す通りで、声出しだけでは限界があるのです。雰囲気とは声出しだけでもありません。是非とも、本当に強いチームになるためにこそ、個人の能力をどう引き出すことができるのか?雰囲気だけでなく、別の角度も大事にしていければ強いチームになると思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
☆講演のお知らせ☆
【受付中】スポーツメンタルコーチ入門講座
-アスリートのパフォーマンスを引出すメンタルコーチになる為には-
スポーツメンタルコーチRとして活躍する上で大事なエッセンスをお伝えする講座です。アスリートのパフォーマンスを高めるために大事にしたい3つの秘密をお伝えします。
詳細・お申込みはこちらからお願いします。
お問い合わせはこちら