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引退したアスリートが仕事で成功するために必要なこととキャリアについて

スポーツメンタルコーチ

スポーツ選手としてのキャリアが終わると、次のステージに進むことは新たな挑戦です。アスリートは、競技生活で培ったスキルや経験をどのように新たなキャリアに活かせるのでしょうか?本記事では、引退後のアスリートが仕事で成功するための重要な要素とキャリアパスについて、科学的な根拠を交えて詳しく解説します。

【このコラムの著者】

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 幹事会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

鈴木颯人
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

アスリートが引退した後に仕事で成功するには?

 

スポーツメンタルコーチとして数々のトップアスリートと出会ってきました。出会いの数だけ、アスリート人生を終えるその瞬間にも立ち会ってきました。私が行っている仕事は選手のメンタルを支える仕事ですが、セカンドキャリアの支援も積極的に行っております。その点をしっかりと準備しておくことで選手である時間をより大切にしてくれるからです。メンタルコーチとしては非常に重要な時間です。そこで、実際に私が行っているサポートをご紹介できればと思います。

 

自分の能力やスキルを把握する

 

アスリートは競技を通じて多くのスキルを身に付けています。自己分析を行い、これらのスキルを正確に把握することが新たなキャリアの第一歩です。スポーツで培ったリーダーシップ、チームワーク、目標達成能力などは、多くの職業で価値があります。例えば、アスリートのストレス管理能力や目標設定能力は、ビジネスの現場でも高く評価されます。

 

自己効力感の高い人ほど、新しいキャリアでの成功率が高いとされています(Bandura, 1997)。自己効力感とは、特定の状況で成功する能力についての自信を指し、これが高いと困難な状況でも前向きに取り組む傾向があります。また、アスリートの自己認識とキャリア成功の関連性についても、自己効力感の重要性が指摘されています(Schunk & Pajares, 2002)。

 

仕事に必要なスキルを身に付ける

 

引退後の成功には、新しい分野で必要となるスキルを習得することが重要です。ビジネスの基礎知識、マーケティング、ITスキルなどが求められる場合があります。例えば、デジタルマーケティングやプロジェクト管理のスキルは、現在のビジネス環境で重宝されます。これらのスキルを習得するために、オンラインコースや専門学校、大学の講座を利用することが有効です。

 

成人教育とキャリア成功の関係を示す研究では、継続的な学習が職業上の成功と密接に関連していることが示されています(Tight, 1996)。特に、技術の進歩が速い現代において、最新のスキルを習得し続けることが不可欠です。また、ビジネス分野でのスキルアップが職業上の成功に寄与することも多くの研究で示されています(Noe, 2010)。

 

人脈を最大限に活用する

 

スポーツ界で築いた人脈は、引退後のキャリアにおいても大きな財産です。元チームメイトやコーチ、スポンサー、ファンなどとのつながりを大切にし、積極的に活用しましょう。例えば、ネットワーキングイベントや業界の集まりに参加することで、新たなビジネスチャンスや就職機会を見つけることができます。メンターを見つけることも、成功への重要なステップです。

 

ネットワーキングの重要性は多くの研究で支持されています。Granovetter(1973)の「弱い紐帯の強み」理論によれば、仕事の機会や情報はしばしば親密な関係ではなく、より広範なネットワークから得られることが多いとされています。また、人脈の活用がキャリアの成功に寄与することは多くのケーススタディで示されています(Burt, 1992)。

引退後のアスリートのキャリアの種類

企業に就職する

 

多くのアスリートは引退後、企業に就職する道を選びます。企業はアスリートの持つ強い意志やチームワーク、リーダーシップを高く評価します。特に営業職やマーケティング職では、アスリートの積極的な姿勢が大いに役立ちます。就職活動においては、自分の競技経験をどのようにビジネスの現場で活かせるかを明確に伝えることが重要です。

 

スポーツにおけるチームワークと職場におけるチームワークの関連性は、多くの研究で示されています。スポーツで培われたチームワークスキルは、職場での効果的なチームワークに直接転用できるとされています(Katz & Kahn, 1978)。また、アスリートのリーダーシップやストレス管理能力が、ビジネスの現場でも有効であることが示されています(Gould et al., 2002)。

 

大学などで学び直す

 

引退後のキャリアを考える際に、再度学問に取り組むことも有益です。大学や専門学校で新たな分野を学び直すことで、興味のある分野に進むための知識と資格を得ることができます。教育機関には、多くのアスリート向けのプログラムや奨学金制度があるため、これらを活用することで経済的な負担を軽減することができます。

 

教育の再開は、キャリア転換において有益であることが研究で示されています(Knowles, 1984)。特にアスリートに対する教育プログラムは、キャリア転換をスムーズにするための重要な支援となります。また、再教育がキャリアの成功に寄与することも多くの研究で示されています(Kember, 1999)。

 

起業して経営者になる

 

アスリートは自身のブランド力や知名度を活かして、起業することもできます。スポーツ関連の商品やサービスを提供するビジネスを立ち上げたり、フィットネスやヘルスケアに関する事業を展開することが考えられます。起業にはリスクが伴いますが、競技生活で培った強い意志と努力が成功への鍵となります。ビジネスプランをしっかりと立て、必要な資金を調達することが重要です。

 

起業とリーダーシップの関係については、研究が多く存在します。アスリートの持つリーダーシップスキルは、ビジネスにおいても有効であることが示されています(Chemers, 2000)。また、スポーツでの競争心や自己管理能力が起業家精神と関連していることも報告されています(Baron & Markman, 2003)。

 

コーチや指導者になって選手を育成する

 

引退後もスポーツ界に留まりたい場合、コーチや指導者としてのキャリアを選ぶことも一つの選択肢です。自身の経験を活かし、次世代の選手たちを育成することで、スポーツ界に貢献することができます。指導者としてのスキルを磨くために、各種のコーチング資格を取得することも推奨されます。特に、日本でスポーツに特化したメンタルコーチングを行う一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会のような専門機関で学ぶことが、指導者としてのキャリアを後押しします。

 

コーチングの効果についての研究では、経験豊富なアスリートがコーチングを行うことで、選手のパフォーマンス向上が見られることが示されています(Gould et al., 2002)。また、コーチング資格の取得が指導者としての成功に寄与することも多くの研究で示されています(Jones et al., 2004)。

まとめ

 

引退後のキャリア選択は、アスリートにとって重要なステップです。指導者やコーチになること以外にも道はあります。その上で、自分の能力やスキルを把握し、新たな分野で必要なスキルを身に付け、人脈を活用することが成功への鍵です。また、企業に就職する、学び直す、起業する、指導者になるといった選択肢があり、それぞれに必要なアプローチがあります。科学的な根拠に基づくアプローチを実践し、自分に合ったキャリアパスを見つけることが、引退後の成功に繋がります。

 

引用論文一覧

自己効力感とキャリア成功

Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. Freeman.

 

自己認識とキャリアの関連性

Schunk, D. H., & Pajares, F. (2002). The development of academic self-efficacy. In A. Wigfield & J. Eccles (Eds.), Development of achievement motivation (pp. 16-32). Academic Press.

 

成人教育とキャリア成功

Tight, M. (1996). Understanding adult education. Open University Press.

 

ネットワーキングとキャリア成功

Granovetter, M. (1973). The strength of weak ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360-1380.

 

スポーツと職場でのチームワーク

Katz, D., & Kahn, R. L. (1978). The social psychology of organizations. Wiley.

 

スポーツにおけるリーダーシップとビジネス

Gould, D., Dieffenbach, K., & Moffett, A. (2002). Psychological considerations in sport performance: A review of the literature. Journal of Sport & Exercise Psychology, 24(3), 279-305.

 

起業とリーダーシップ

Baron, R. A., & Markman, G. D. (2003). Beyond social capital: How social skills can enhance entrepreneurs' success. Academy of Management Perspectives, 17(1), 37-57.

 

コーチング資格と指導者の成功

Jones, R. L., Armour, K. M., & Potrac, P. (2004). Sports coaching: Professionalisation and practice. Routledge.

 

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