「メンタルトレーナー」ではなく「スポーツメンタルコーチ」と名乗る、たった1つの理由

私は、
2011年からスポーツメンタルの現場に関わってきました。
その中で、何度も聞かれてきた質問があります。
「スポーツメンタルトレーナーじゃないんですか?」
「どうしてメンタルコーチと名乗っているんですか?」
資格の名前や業界の慣習を考えれば、
トレーナーと名乗る方が分かりやすいのかもしれない。
実際、メンタルの世界では「メンタルトレーナー」という肩書きの方が一般的。
それでも私は、一貫して「メンタルコーチ」と名乗ってます。
理由は、たった1つ。
それは、
人を変える仕事をしたいのではなく、
人が変わっていく過程に関わりたいから。
スポーツメンタルトレーナーという言葉
そこから、多くの人が連想するのは、
緊張を和らげる方法、集中力を高める技法、
試合前のルーティンやイメージトレーニング。
それらは、
確かに大切だと思う。
実際、
私自身もそれらを否定しているわけではないです。
ただ、
現場に立てば立つほど、
違和感が強くなっていきました。
「方法を教えただけで、本当にこの選手は前に進めるのだろうか」
「このやり方が使えなくなったとき、彼らはどうするのだろうか」
スポーツは、
不確実性の連続。
環境が変わり、
立場が変わり、
年齢を重ねるたびに、
同じ方法が通用しなくなる瞬間が必ず訪れます。
そのときに必要なのは、
新しい方法ではなく、
自分で考え、選び直す力。
私は、
そこに関わりたいと思いました。
メンタルコーチングの現場では、
すぐに答えを出さない時間が多くあります。
選手が言葉に詰まり、
沈黙が流れる。
感情が整理できず、
話が堂々巡りになる。
正直、
効率が良いとは言えません。
それでも私は、
その時間を大切にしています。
なぜなら、
選手が自分の言葉で、
自分の状態に気づく瞬間は、
誰かに教えられて起きるものではないから。
誰かに与えられた答えは、
一時的に人を動かすことはできます。
しかし、
状況が変われば、
簡単に崩れてしまいます。
一方で、
自分で気づいた答えは、
形を変えながら何度でも使い直すことができる。
私は、
「その場でうまくいく人」
を増やしたいのではないのです。
「どんな場面でも立て直せる人」
を支えたい。
だから、
知識を与えるメンタルトレーナーではなく、
心を引き出すメンタルコーチを選びました。
メンタルコーチングは、
成果が見えにくい仕事です。
即効性もありません。
むしろ、
回り道に見えることの方が多いかもしれません。
それでも、
時間をかけて関わった選手が、
自分の言葉で自分を語れるようになり、
挑戦に向かう表情が変わっていく瞬間に立ち会うたび、
この選択は間違っていなかったと感じます。
誤解してほしくないのは、
メンタルトレーナーという在り方を否定しているわけではない、ということです。
短期的なサポートが必要な場面もあります。
方法を示すことで救われる選手もいます。
現場には、
メンタルトレーナーの力が必要な瞬間も確かに存在します。
ただ、
私自身が一番大切にしたいのは、
人の内側で起きている変化に寄り添うことでした。
だから私は、
「整える人」ではなく、
「一緒に考える人」でありたい。
「選手と伴走する人」でありたい。
その想いを一番正確に表せる言葉が、
私にとっては「メンタルコーチ」だったのです。
トレーナーか、コーチか。
どちらが正しいかではありません。
大切なのは、
自分がどんな関わりをしたいのか。
その問いに、
誠実に向き合い続けたいと思っています。
「One athlete,Oen mental coach 1人のアスリートに、1人のメンタルコーチを」
【このコラムの著者】
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