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”異例の経歴”を持つワールドチャンピオン、F1マックス・フェルスタッペン選手

アスリートの望む結果にメンタル面でサポートするスポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。母国オランダでは、国民の95%が彼を知っているほどのヒーローであるレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手。ガソリンスタンドへいくと100%何かしら彼関連で掲示されていて、TVのCMも95%が彼なのだそうです。

今回は”アイルトン・セナ以来の逸材”と評されるF1レーサー、マックス・フェルスタッペン選手についてスポーツメンタルコーチとしての視点でお話し出来ればと思います。

目次

  • ”異例となる飛び級”ドライバー

  • 更新されることない”最年少記録”

  • 敗者になった時の振る舞いが真の勝者に導く

”異例となる飛び級”ドライバー

ベルギーのハッセルト出身、国籍はオランダであるマックス・フェルスタッペン。父は元F1レーサーのヨス・フェルスタッペン氏、母はカートレーサーのソフィー・マリー・クンペン氏です。さらに母方の祖父もGT耐久レースの元ドライバー、叔父もGTレースやル・マン24時間レースに出場したレーシングドライバー。まさにレーシングドライバー一家で生まれ育ちました。

 

カートレースを始めたのは4歳の時。幼い頃からエンジンの音に慣れ親しみ、2歳から乗ってきたクアッドバイクでスピード感を養ってきました。元F1ドライバーである父ヨス・フェルスタッペン氏は「初めて乗せたのは4歳半の時だが、バイクでスピードとハンドリングに慣れていたし、心配することはなかった。ゴーカートに乗る前にすでにかなりの経験を積んでいた」と息子のことを誇らしく話しています。

 

10歳の時には、レーシングカート上級者用であるロータックスMaxのMiniMAX(14歳までが出場するクラス)で優勝を果たすほどに成長。翌年以降も数々の世界大会を制覇していきます。13歳でレーシングカートメーカーCRGのファクトリーチームに所属し、ミッションカートのKF3(15歳までが出場するクラス)の世界選手権とヨーロッパ選手権に出場し初優勝。このKF3ヨーロッパ選手権では2連覇を成し遂げました。

 

15歳でKF2のマスターシリーズでチャンピオンに輝きます。16歳でKZ1のヨーロッパチャンピオンになり順調にステップアップ。そしてカートから四輪マシンのレースに移行したマックス・フェルスタッペン選手。フォーミュラカーに乗り始めた直後、フォーミュラー・ルノー2.0のレギュラードライバーよりも早いタイムを出しすぐに注目を浴びる事となりました。

 

この功績によりフォーミュラー・ルノー2.0のクラスを飛ばし、異例となる飛び級を認められたマックス・フェルスタッペン選手。F3でデビューを果たすと6戦目で初勝利、シーズン中盤には6連勝を達成し結果的にデビュー年でありながら総合3位に入る快挙を達成します。ドライバー一家から受け継いだDNAと天性の才能を武器に、異例のスピードでステップアップしていくのです。

 

これだけ突出した結果を残した背景にあるのが、ゴルフのタイガー・ウッズと同じような経歴が関係していると考えます。タイガー・ウッズは生後9ヶ月でゴルフを始め、ゴルフ以外は全く経験なく世界を制してきました。彼と似たようにフェルスタッペン選手も2歳からバイクに乗っていたこともあり、超一流らしい経歴であると感じさせてくれます。レーサーやゴルフは個人種目であり、基本的には同じ動作を繰り返す要素が求められます。このような競技特性においては、幼少期の早い段階から経験を積んでいる選手ほどアドバンテージがどうしても強くなると言わざるを得ません。ゆえに、世界一になるべくして生まれた選手と言っても過言ではないのです。

 

更新されることのない最年少記録

メルセデスからも育成ドライバーの誘いを受けていましたが、レッドブルのジュニアドライバーとなることを決意したマックス・フェルスタッペン。ヨーロッパ一F3に参戦中にレッドブルF1ヘルムート・ロッソチームの一員に誘いを受け、その後すぐにF1ドライバーとしてデビューが決定しました。

 

それまでフェルナンド・アロッソ選手やダニール・クビアト選手の19歳でしたが、マックス・フェルスタッペン選手によって17歳165日でF1の最年少出走記録が更新されました。しかし、国際自動車連盟(FIA)の定める要件によりマックス・フェルスタッペン選手は、最年少記録更新として認定されることはありませんでした。

 

FIAの要件では、年齢の下限が”18歳以上”であること、”自動車の運転免許”を取得していること、そして”最低2年以下”の下位フォーミュラを経験していることが条件となります。幼い頃から身につけたドライビングセンスを持つマックス・フェルスタッペン選手ですが、当時17歳。運転免許を取ることが出来ず公道では運転することが出来ませんでした。

 

四輪マシンに移行して1年足らず、異例のスピードでF1レーサーとなった才能溢れるマックス・フェルスタッペン選手。この要件が変わらない限り永遠に更新されることない最年少記録保持者なのです。

 

先ほどお伝えした通り、早い段階からレースの世界での経験があったことで才能が開花した典型例です。また、最年少でF1の世界に飛び込むことが出来たことも後々の偉大な記録を残す要因となります。彼のように才能がある選手や人間は早い段階で経験を積んであげることが重要です。

私たちの脳は変化に順応しやすいように出来ております。これを脳の可塑性と言います。この可塑性を活かすためにも早い時期にレベルの高い世界に身を置けることは才能を引き出しやすくする要因の1つでもあります。しかし、自分の実力以上のレベルの世界に身を投じ、モチベーションを失ってしまい相談を受けるケースもあるのでその進路などの見極めはとても慎重になる必要があります。

 

敗者になった時の振る舞いが真の勝者に導く

日々厳しい鍛錬を重ねる選手たちにとって”負ける”ことは、とても悔しい結果となります。演技で得点を競うものではなく、レースのように勝敗を競う相手と直接的に戦う競技なら尚更のこと。ラグビーでは”ノーサイド”という「試合終了」や「終了後にお互い健闘を讃え合うこと」を意味する言葉があります。

 

F1カナダグランプリでマックス・フェルスタッペン選手に敗れたカルロス・サインツ選手が、このレースで狙っていたのは優勝。0.993の僅差だったことからあとわずかの所まで迫っていたことがわかります。2位でフィニッシュしたカルロス・サインツ選手は、直前を走っていたマックス・フェルスタッペン選手のマシンの隣に並ぶと右手で合図を出したのです。これに対し勝者も手を振り返し、レース直後に健闘を讃え合った二人。見守った全ての人にとって映画のワンシーンのように目に焼きつきました。

 

F1公式インスタグラムでも、レース後直後の二人の動画を公開。そこに添えられていたのは「バトルの後は…リスペクト」という言葉。この動画に対し「これぞF1だ」「二人の優秀なドライバー同氏への敬意」「フェアプレーだ」と言う多くのコメントが寄せられ、世界中から賞賛を受けました。

 

グッドウイナーという言葉はあまり使われることはありませんが、”グッドルーザー”という言葉は非常に有名な言葉です。言葉の意味としては”負けっぷりのいい人”や”潔く負けを認める人”また”良き敗者”のことを指し示します。

 

どの競技でも勝てない限りは、敗者となります。負けた時にどのような振る舞いや態度で接するのか、人間としての本質が現れると言っても過言ではありません。”グッドルーザー”を志せば素晴らしい人間性を形成することができ、やがては必ず勝者になれます。

 

負けた時にもしっかりと挨拶すること、次に勝者を拍手で讃えること、最後に相手の力を素直に認めること。勝負がついた時の敗者側は、その場に泣き崩れたり倒れ込んでしまっても不思議ではありません。しかし悔しさを堪え、自分達が足りなかったことを認めることで成長へと繋がります。

 

負けた悔しさは、味わうものでなくて次に向かうためにある”とポジティブな気持ちで考えることが重要であることは言うまでもありません。だからこそ、グッドルーザーは、その悔しさに耐えれるほどの強いメンタルを既に持っている人なのです。負けた悔しさをバネに変えることができる精神力を持つグッドルーザーは、”次は勝者になれる”という思いを人一倍胸に刻むことができます。グッドルーザーになるためにも強いメンタルを身につけることは今後の競技生活に影響を与えます。だからこそ、敗者になった時の振る舞いは未来の勝者への一歩となるのです。

今回は、オランダ人初のF1ワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン選手についてお話しました。彼のキャリアを真似することは到底簡単ではありません。しかし、その中でも彼の直向きな姿勢や人間性は誰もが真似できる要素の1つです。アスリートからメンタルの相談がある際にもフェルスタッペンのようなプロ意識が大事であることを伝えているくらいです。スポーツメンタルをとても難しく捉える人もいますが、超一流のキャリアを覗くことで見えてくる世界がありますので是非とも参考にしてみてください。最後までお読みいただき有り難うございました。

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【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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