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「自分が本当にやりたいことへ導いてくれた大事な存在」

小野康太郎さんにとってスポーツメンタルコーチとは

 

 

今回の主役は元ロードレーサーで現在「ONO WHEEL」のオーナーを務める小野康太郎さん。中学生から本格的に自転車競技ロードレースを始めるとメキメキ実力をつけて高校生の頃はジュニアのナショナルチームのメンバーとしても活動し世界を舞台に大会へ出場されました。そんな世界最高峰を照準を当てて挑戦を続けてきた小野さんは高校2年生の時にアジア選手権出場を逃してたことで競技へのモチベーションがぷつんと切れてしまいます。そんな時にまた競技へのメンタルを復調させ、自分の本当にやりたいことへ導いてくれたのがスポーツメンタルコーチの存在でした。

 

今回は小野さんが高校卒業後に歩んだ本場イタリアでの挑戦を含めた競技生活の軌跡や、彼をサポートしたスポーツメンタルコーチ鈴木颯人さんの存在、 そして現役引退後に自身のブランド「ONO WHEEL」を始めた理由、そして今後の目標や小野さんにとってスポーツメンタルコーチングとは何かなど様々な角度からインタビューを行い、小野さんの素顔に迫りました。

 

 

目次

・世界を目指すことが当たり前の環境でとにかく強さを求めたロードバイクレース
・自分の本当にやりたいことへ導いてくれたスポーツメンタルコーチとの出会い
・スポーツメンタルコーチングと共に歩んだ本場イタリアへの挑戦
・ブランドを通じておもしろいことを追い求め唯一無二を体現したい
・今後の目標と自分にとってのスポーツメンタルコーチングとは

 

 

世界を目指すことが当たり前の環境の中でとにかく強さを求めたロードバイクレース

 

-小野さんがロードバイクレースを始めたきっかけを聞かせてください。

 

実家は町の自転車屋で全然ロードバイクは取り扱ってなかったのですが、家の近くにRAVANELLO(ラバネロ)という古いサイクルショップでレースチームも持っているところがあったので、小さい時から家の近くで本格的なロードバイクライダーがたくさん走ってるのを見ていて身近なものに感じていた中、小学5年生の頃にラバネロのロードバイクを手に入れて乗り始めました。それまではサッカーを8年間やっていましたが、通っていたサッカースクールのトップチームに上がれず挫折し、熱が冷めてしまったので中学生からロードバイクレースを競技として始めました。

 

-ロードレースを競技として本格的に始めてからどうでしたか?

 

当時は中学生のレースがあまりなかった覚えがあって、その代わりに大人の実業団レースのクラスに出場しては優勝はできていなかったですけど、3位~4位は結構取れていた気がします。こういった結果が出るようになって、基本的に周りは大人ばかりでほとんど同世代がいない環境の中でも、大人について行ったり大人より速く走るのはとても楽しくて当時はとにかく強くなりたいという思いでした。

 

それから実際に成績求め出したり色々考えるようになったのは高校入ってからで、中学生の頃はシンプルに争うことが楽しくてその中でもゴールスプリントはすごい危ないんですけどそのスリルも含めて楽しかったのをよく覚えています。

 

-それではプロの道を目指すようになったのは高校生になってからでしょうか?

 

そうですね、高校へ進学したタイミングで部活には入らず、もうちょっと自由に海外にも挑戦したいと思っていた時に当時入っていたラバネロのチームの中に実業団の上のチームもあったのでそっちの方が面白そうだなと思いそのチームに入りました。

 

またチームに入った高校1年生のタイミングでイタリアに行ける機会があって、向こうの日本人のファミリーに夏休みの期間で現地のレースとか連れて行ってもらったことで、よりプロへの向上心が湧きましたね。海外のレースを実際に現地で観て外国人の強さやライディングを肌で感じて今後はイタリアの本場でレースがしたいと強く思うようになりました。

 

-そのイタリア遠征後はどういう風に活動されていたのでしょうか?

 

その頃からずっとラバネロのクラブチームで活動していたのですが、高校1年生の頃は「Jプロツアー」という実業団の上のクラスに登録してもらったこともあり1年間走りました。ただ高校1年生の終わりの方からジュニアのナショナルチームに入ることができて、周りの選手たちも全国から集まったそれなりに強い高校生たちなので、まずその中でナショナルチームの世界選手権やジュニアの世界選手権に出ることが高校時代の目標になっていました。

 

 

-それからは競技成績を含めてどういう感じで進んでいきましたか?


ナショナルチーム入れたのは結構大きくて、ネイションズカップや全日本選手権もそうですけど、上を目指すことが当たり前になっていって常に世界の舞台や最終的にはヨーロッパのプロへの道を常に考え出すようになっていきました。

 

その後高校2年生の後半からスポーツメンタルコーチングを始めることになるのですが、その年は全日本選手権を含めて自分のパフォーマンスに自信があって結構走れていたんですけど、結果的にアジア選手権に選ばれなかったのが結構ショックで、目標はあるものの気持ち的に落ちこんでしまったことがありました。でも颯人さんとの出会いもありもう1回気持ちを持ち直して、翌年は世界選手権に出ることができてその後イタリアにも行きました。そういう意味でも高校生が一番モチベーション高く、一番ストイックに世界を目指して競技ができていました。


 

自分の本当にやりたいことへ導いてくれたスポーツメンタルコーチとの出会い

 

-鈴木颯人さんのスポーツメンタルコーチングを受ける経緯について聞かせてください。

 

ずっと颯人さんのTwitter(現:X)をフォローしていて前から気になっていたので、自分のメンタル面での不調をきっかけに連絡して体験コーチングに申し込みました。当時はメンタルを改善してもっと強くなりたいという向上心はあったので親に相談した上でコーチングしてもらいました。

 

-颯人さんのスポーツメンタルコーチングを受けた理由を教えてください。

 

自分が当時抱いていた理想でもあったんですけど、高校生の3年間って主要な大会に出られるチャンスが3回とかしかない中で、世界の高みだけを見据えていた僕は「こんなところで絶対に負けられない。」「絶対に勝たないといけない。」という思いもあって、すごいモチベーション高く競技に取り組んでいた分、アジア選手権に選ばれなかった時に「もう終わったな。」っていう感じで一回競技に対する思いがぷつんと切れたんです。

 

ただそれでもまだ高校生の間でももう1年チャンスもあったし、その先もまだ色々とレースやシーズンも続くのでどうにかしたいという思いがあったので、颯人さんのところ行ってみるかという決断になりました。当時はまだ気持ちは1回切れたもののまだ競技への心の火は付いていたので、その後の自分のキャリアのためにもどうにかしたいといいう思いからたどり着いたのがスポーツメンタルコーチングだったと思います

 

-実際に颯人さんのスポーツメンタルコーチングを受けてみていかがでしたか?

 

コーチング内では、結構実際に紙に思っていることを書いたりして可視化したことで、自分がどうすればいいのかが明確になっていった感覚は覚えてます。それからは単純なんですけど毎日毎日自分が成長するためにどうすれば良いかを考えたり、セッションの中ではそのために行動レベルで何をすれば良いかをリストアップしたりとシンプルに淡々とこなしていく日々は楽しかったですし、そのおかげで本当に自分のことに集中できてましたね。

 

 

-それからの競技成績はどのように変わっていきましたか?


スポーツメンタルコーチングを通して、自分の気持ちの整理や考え方の軌道修正してくれるきっかけをもらえたこともあって、大会で勝ててこそなかったですが成績は安定していて、高い順位で常に走れるようになりましたし苦手だった部分は普通に強くなっていました。海外遠征でカナダに行った時も普通にナショナルチームに入れて、ネイションズカップではUCIポイントも獲得できるくらい安定して良い走りはできていた記憶があります。

 

また世界選手権にも出場でき、結果としては同年代最高峰の大会の中で落車もあり完走できなかったのですが、一番モチベーションが高い状態で挑むことができました。そういう意味ではパフォーマンスに波がなく全体的に高いレベルでできるようになっていきましたし、トレーニングも積極的に追い込めるようになりましたね。


 

スポーツメンタルコーチングと共に歩んだ本場イタリアへの挑戦

 

-競技への気持ちを取り戻してからイタリア挑戦を決めた経緯を聞かせてください。

 

高校2年生から受け始めたスポーツメンタルコーチングは卒業後のイタリアにいる間も受けていて、イタリアにいる時は定期的に颯人さんとコンタクトを取ってオンラインでミーティングして、日本にいる間はたまに対面に会ってコーチングしてもらったりとコーチングは続けていました。

 

その中でイタリアに挑戦するまでもすごい悩んで、颯人さんにたくさん相談した覚えがあります。大学に行く選択肢もあった中で競技をどうするかというところで色々ディスカッションしました。何度も相談した末、本当に自分がやりたいことはイタリア挑戦だと分かったので、それからはイタリアに行くために向こうで関わるチームのこととか必要なことを色々行いました。そのプロセスの中でちょっと決断するタイミングが遅かったなと感じたのはよく覚えているのですが、スポーツメンタルコーチングのセッションのおかげで色々明確になりましたね。

 

-またスポーツメンタルコーチングを受けながら経験したイタリア挑戦はいかがでしたか?

 

イタリアでは現地のチームをベースにしながら4シーズンを過ごしました。その中でスポットでナショナルチームにもジョインしてアンダー23のカテゴリーにも参戦していました。イタリアに拠点を移して最初はすごいワクワクしていましたし、まだ4年間もあるみたいなところから、実際にイタリア本場のとんでもないハイレベルさが自分の焦りになってきて、毎年ちょっとずつ環境が色々変わっていったんですけど日本語を話せる環境でもないので、心の支えのような感じでスポーツメンタルコーチングを使わせてもらっていました。

 

惜しくも競技的には自分の望んだ結果にはならなかったのですが、本場に挑戦できたことが良かったですし、その挑戦を後押ししてくれたスポーツメンタルコーチングのセッションも僕をイタリアに導いてくれたきっかけの一つだったのですごい良いサポートになりました。

 

 

-そんなイタリア挑戦はどんなことを目標にされていたのでしょうか?

 

僕自身はこのイタリア挑戦の中で、「ジロ・デ・イタリア」などのトップレースに参戦するプロチームとしてイタリアを拠点としている日本企業がスポンサーするチームの「VINI FANTINI NIPPO」に入ることを目標にしていました。今まで自分も少しサポートしてもらったりと繋がりもありましたし、イタリアベースということで僕との親和性もあったので自分自身としても入りたいと思っていたプロチームでした。

 

その中でプロになるためには特定のレースで結果を残す必要があって、普通に現地のイタリア人の選手でもプロチームに入るのが難しい条件の中、基本的には普段のレースの成績がその「VINI FANTINI NIPPO」に入るためにも必要なポイントになっているので日々のレースをいかに頑張れるかみたいなことを意識して4シーズン戦ってきた中で、その1年目に想像していたものと違っていました。現実的なレベルの差を感じ、自分のレベルを過信して勘違いしていたことに気づけたことで違った意味での良い成長もありました。結果としてはプロへの道に進むことは残念ながら達成できませんでした。

 

 

-イタリアから帰国してからはどういう風に活動していましたか?

 

2020年に日本へ戻ってきてから「さいたまディレーブ」というチームに誘われて競技をしていましたが、やっぱり世界を目指すのが1番楽しかったですし、競技始めて成績を求め出してから世界だけを意識していたので国内での競技活動には精が出ず1年間で辞めて引退しました。

 

ただ自分の競技生活を振り返って、自分が昔から雑誌で観て憧れていた選手やその選手たちが戦う世界に導いてくれたのは颯人さんのスポーツメンタルコーチングだと思うので、結果はともかくチャレンジできたことはすごい良かったですし自分が想像していた全ての過程を経験できたので、セカンドキャリアにも活かせる大きな糧になりました。


 

自分のブランドを通じておもしろいことを追い求めながら、自分だけの唯一無二を体現したい

 

-競技引退とキャリアチェンジを決めた理由を聞かせてください。

 

競技に関してはもうやり切った気持ちがあったので2021年に実業団を辞めた時にキッパリ引退しました。実際はイタリアから帰ってきた時点で引退を決めていたこともあって、帰国してすぐジムのトレーナーの募集があったので副業として始めて競技を辞める準備をしながら進めていきました。ただ自転車競技を辞めた後、トレーナーとして上を目指すこともパッションが湧かなかったので別のことをしたいなと思いました。

 

そんな時に自分が手に入れた80年代の旧車を通じて、物を所有することで人生がすごい豊かになったのを感じました。そういった趣味的な自分の好きなものを持つことが生活を彩ることに気づいてから、それに因んで何か始めたいと思って自分の一番得意な分野である自転車でやることを決めて、兄と一緒に無店舗で「ONO WHEEL」というブランドを始めました。

 

その中でも自転車のクロモリフレームが好きで、そういったヴィンテージスタイルのロードバイクを街乗り仕様にカスタムしたら良いんじゃないということから最初の店舗でスタートして、その中でもあえて物を持つことによって生活が豊かになるところが共通意識から、「こういうこともやってみよう!」ということで色々試して進んでいく中で去年2023年の10月に今の東京・原宿の店舗をオープンしました。

 

-競技からのキャリアチェンジとしては大きな決断だったように思えます。


僕自身、楽しさと変化がないと物事を続けられない性格ですし、自分で新しいことを切り開いたり、自分のオリジナルを大事にしています。そういう意味では学生の頃にあえて部活入らないでクラブチームで活動したり、海外挑戦も日本人選手に人気なフランスではなくてあえてイタリアにしたりと、あえて人とは違う方を選んだというのもこの考えに繋がっています。
 

「ONO WHEEL」という僕らのブランドでは、「人と被らないからこその良さがある」ということをシェアしたいですし、例えば市販品だったら簡単に手に入るし人と被ると思うので、その逆をいくところが僕たちのブランドの良いところで今後も人と被らない唯一無二なものを提供していきたいと思っています。

 

今後の目標と自分にとってのスポーツメンタルコーチングとは

 

-今後の目標ややっていきたい活動があれば聞かせてください。


「ONO WHEEL」というこのブランドは自転車屋としてやっていますけど、アパレルもやっていたりと完全に自転車屋って感じでもないので、このよく分からない感じのスタンスで今後もやっていきたいですし、やっぱりやるからには世界を目指したいなと思っています。個人的に色々な国に行ったりもしたいですし、ここ原宿にも土地柄、外国の人もたくさん来るので、そういう人たちと仲良くなるの楽しいですし、あと海外でのポップアップとかも費用の問題以外はできそうだなと思っているので海外にはどんどん出ていきたいです。なんかどこにも属さない、よく分からないブランドとして世界に行きたいです。

 

今まで競技をしていた時は目標を決めてしまうと分かりやすく道が決まる一方で、社会に出たらそういったゴールが全くないので、だからこそこれからは明確な目標は決めず自然発生的なもの物事の中で、自分たちの唯一無二的なオリジナルをぶらさずになんか面白いことをしながら世界に出ていきたいなと思っています。

 

-小野さんにとってスポーツメンタルコーチングとは

 

スポーツメンタルコーチングは、ほんとに自分がやりたいものとか潜在的に持っている思いを引き出してくれて、自分が本当にやりたい方向に修正してくれるものだと思います。人間って生活していると、雑念や周りの人からの意見や情報など自分を惑わすものに色々晒されると思うのですが、そういった時に自分の本質に立ち返って自分が本当にやりたいことに導いてくれるものがスポーツメンタルコーチングですね。


でもスポーツメンタルコーチングを受けたことで競技の成績が上がるかどうかは、メンタルじゃないところの重要な部分も他にもいっぱいあると思うんですけど、導いてくれるという意味では本当にスポーツにおいてすごい重要な要素だなとは思います。ただそういう意味でもスポーツメンタルコーチング受けたから強くなるみたいなことは勘違いしてしまいそうになる部分でもあるのでちょっと気を付けた方がいいかなというのは、自分自身の経験からもお伝えしたいです。

 

競技でトップを目指す上でスポーツメンタルコーチングはとっても大事な要素なんですけど、それ以前にフィジカルもスキルもしっかり伴って強くしないといけないとので全部できて初めてトップにいけるんだと思うのでこれからスポーツメンタルコーチングを受ける方には知っておいてもらいたいですね。

小野康太郎プロフィール

 

1997年5月16日生まれ、東京都練馬区出身。初めてロードバイクに乗ったのは小学5年生の頃で、それまでは8年間サッカーをやっていたが、通っていたサッカースクールのトップチームに上がれず挫折を経験し、中学生から競技として自転車に乗り始めた。2015年にジュニアカテゴリーでナショナルチーム入りを果たして世界選手権に出場し、2019年までイタリアを拠点にU23カテゴリーを過ごす。帰国後はフィットネストレーナー業を始め、2021年までさいたまディレーブで選手を続けた。2023年からヴィンテージスタイルのロードバイクを街乗り仕様にカスタムする「ONO WHEEL」というブランドを立ち上げ、仕事を通じて常に自分がワクワクすることを追い求めながら自分だけの唯一無二を体現し続けている。

 

 

Interview and Edit by 畠山 大樹

 

スポーツメンタルコーチ

 

次回のスポーツメンタルコーチ資格講座のご紹介

 

スポーツメンタルコーチ

 

スポーツメンタルコーチ資格講座は「日本スポーツメンタルコーチ協会(R)」にて発行されている資格です。One Athlete,One Mentale coachの理念を掲げスポーツメンタルコーチの普及に力を入れております。
 

 

 

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