計画を立てるからこそ生まれるメンタル面の余裕
スポーツ選手をサポートする際に必ずやっているのが、目標のヒアリングです。達成したいと思っていることや、スポーツを引退した後にどんな生活をしたいのか?それとなくですがザックリと話を聞いたりしています。
スポーツメンタル界では10年、20年先の目標も立てることを啓発するものもあります。私もそういった方法を試したことがあるのですが、なかなかイメージが浮かばないものです。なんとなく浮かんでも絶対にこの通りに行くのかな?と思うものです。
それでも未来を思い浮かべなければ未来は変わっていかないのも事実です。だからこそ、最初のヒアリング時での目標設定については最新の注意を払って行っています。
それにしても、どうしてここまで目標が大事なのでしょうか?その一つにメンタル面に影響を与えるからといっても過言ではありません。とくに、その目標を達成するためにどんな計画をたてるか?目標と同時に計画性も非常に重要な要素の一つとなります。
目次
1、計画とメンタル
2、具体的な計画の立て方
3、フィードバックが大事になる
4、ダメ出しがメンタルを崩壊させる
計画とメンタル
脳は現実とイメージを区別できないと言われています。逆にいえば、イメージ出来なければ現実になりにくいですし、イメージ出来ていれば限りなく現実に近づきやすくなります。それに、イメージ出来ないことを目の当たりにすると脳はびっくりした反応を示します。
例えば、目の前にコップに入った黒い液体を想像してみてください。皆さんはどう思うでしょうか?感のいい人はブラックコーヒーと思えば、黒醋と思う人もいるでしょう。しかし、実際に飲んでみるとオレンジジュースの味がしたらビックリすると思います。そんなことはまずあり得ませんが、自分が想像した味とは違った味を感じるとその瞬間に驚くと思います。
このリアクションこそが想像できないことを目の当たりにした時の脳のリアクションになるのです。イメージ出来ないことが起きるとビックリしてしまうものです。逆に、見た目は黒いけど味はオレンジジュースと言われたらそれなりの準備が出来ているので驚きは少なくて済みます。
このように出来る限り未来を予想するということは脳にとってはストレスなく生きていくために非常に重要なことです。常に予測したがる脳の性質を考えたときに、望む結果がありながらも未来を計画しないということは自分にとっては損をしてしまうものです。
具体的な計画の立て方
「予定は未定」という言葉があるくらい計画どおりに物事がうまくいかない事なんて多々あります。それでも計画を立てなければいつまでたっても未来は変わっていきません。だからこそ具体的な計画は達成できなくても立てるだけでも価値があるものです。そこでオススメなのが1年の目標を設定する方法になります。そして、1年の目標を3ヶ月ごとに切り分けてもらうのです。
企業であれば第一四半期と言ったりすると思います。気候でいえば、3ヶ月はちょうど春夏秋冬です。それぞれの気候に合わせたテーマを考えてもらうといいかなと思います。競技によっては夏が勝負の方もいれば、冬が勝負の人もいるでしょう。
逆算したら、冬は基礎固めの期間の方もいれば、夏に基礎固めの人もいるでしょう。事細かく予定を書き入れるものいいのですがまずはアバウトから始めてみるといいと思います。
ちゃんとしたフィードバックが大事になる
多くのアスリートが目標を立ててガムシャラに頑張ります。しかし、努力はしても振り返りまではなかなか意識して取り組めない人が多いのかなと思います。この振り返りをフィードバックと言います。そこで重要なのが「改善」です。「何をもっと良くしていくことができたのか?」「そのために次はどんな計画が必要になるか?」振り返って次の行動をしっかりと計画し続けることが大事です。
よく、毎日日誌を書いてくれる選手がいます。読ませてもらうと「改善」ではなく「ダメ出し」の項目がずらっと並んで書いてありました。ダメ出しとは「反省」に近いものです。反省も大事ですが、もっと大事なのは反省を活かすことです。そのために計画が重要になります。
ダメ出しがメンタルを崩壊させる
最後になりますがダメ出しによって生まれるメンタルは自己否定に直結していきます。試合で結果を出すためには自己否定感が強いことよりも自己重要感や自己効力感がとても重要になります。これを自信と言ったりします。無理に自分を否定し続けてるうちはなかなか自信なんて持てやしません。当然、それによってメリットを得たこともあると思います。
しかし、それだけでは次のレベルにはいけないのです。望む未来にはなかなか到達できるものではありません。心からイキイキと充実した精神に結果が自然と宿るのではないのでしょうか?そういった状態になるためにも、ワクワクとして未来を描いて欲しいなと思います。