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失敗やミスを意識し緊張が高まった時に意識すること

スポーツメンタルコーチ鈴木颯人,トップアスリート育成
 今回お伝えしたいお話は、ミスをしたくない、失敗したくない、そう思っているあるサッカー選手のお話です。サッカーとか、野球もそうなんですけれども、失敗がサッカーでも約9割と言われます。野球で例えれば7回失敗してもいい、打率3割を打つ人は7回失敗できるという話があります。
 
 どんな競技も一緒ですが、成功していることよりも、失敗している数のほうが圧倒的に多いものです。この事実に目を向ければ、失敗が悪いことではないと気付けるはずです。しかし、それは表面的には理解しているということを意味します。今回の記事ではミスをしたくない時にこそ考えたい思考法についてお伝えできればと思っております。

目次

1、ミスをしたくな理由を一緒に考える
2、怒られたくない時に意識したいこと
3、目の前のことに集中する(マインドフルネス)
4、試合でやるべきことをリストアップする
5、まとめ

ミスをしたくな理由を一緒に考える

 私がサポートさせていただいている選手はプロアスリートに限らずアマチュアの選手もサポートさせて頂く機会があります。年間で1000人を超える選手達に出会う中で年々、ミスをしたくないと思う選手が増えている印象を感じます。そういった選手ほど、非常に優しくて、真面目で実直な方が多く、私自身も彼らの気持ちに応えたいといつも感じる日々です。
 
 彼らがなぜそこまで失敗したくないのか?その背景には、おそらく監督やコーチに怒られたくないということがあります。あと、お母さん、お父さんが応援してくれているところ、がっかりさせたくないとか、特にやさしい気持ちを持った選手ほど、失敗したくない、ミスしたくないという気持ちがすごく強いんじゃないかなと思っています。   
 
  実際にここに来てくれたプロ野球選手も、ミスしたくない、失敗したくないという気持ちが非常に強かったんです。「どうして?」と、スポーツメンタルコーチングをしながら話を進めていくと、実は彼の中で、ミスをしたくない理由があったのです。
 
 それが、「コーチに怒られたくない」という話でした。彼のコーチは非常に怒りっぽく、怒鳴り散らす方なんです。そういった怒鳴り散らすコーチというのは野球に多い話です。怒その言い方だけですごく萎縮してしまう選手は非常に多いんです。    
 
私自身も、昔ピッチャーをやっていたので彼の気持ちが心の底から理解できます。ピッチャーをやっていると、全ての視線を集めます。なので、「失敗したくない…」「ミスしたくない…」「恥をさらしたくない」そしてそんな自分を「怒らないで欲しい…」と思うようになりました。特にフォアボールを出したくないという気持ちはすごく強かったです。フォアボールを出したくないと思えば思うほど、ドツボにはまってフォアボールを出し続けました。投げるフォームはグチャクチャ。今思えば、イップスなんじゃないか!?と思いますが、イップス以上に心を整理できない自分の気持ちがあっただけだと思っています。
 
今回の事例では怒られたくないという気持ちが奥底にあったのですが、選手によって本当に様々な理由を話してくれます。なので、ミスしたくない時にこそ「呼吸法を意識しよう」とか、方法論で選手のメンタルを整えるのに限界があると思っています。
 
その上で、選手と寄り添っていく。選手の奥底に眠っている本当の気持ちに一緒に向き合う事が私はとても大事だと思っています。本当に強い選手ほど、この向き合い方が非常に得意である一方で、自分と向き合うのが苦手な選手もいます。そういった選手のためにスポーツメンタルコーチがいるのだと思います。
 

怒られたくない時に意識したいこと

スポーツメンタルコーチ鈴木颯人,トップアスリート育成
 
 そんな時にぜひ心がけていただきたいのが、「コーチの意見をコントロールできますか?」ということなんです。私たち人間というのは、無意識にコントロールできないものをコントロールしようとしてしまうことがあります。

 例えば今回のケースでお伝えすると、コーチの意見というのは自分の意思の通りにコントロールすることはほぼできはずないんです。つまり言い換えると、
 
「他人をコントロールすることはできない」
「人の意見をコントロールできない」
「人の発言をコントロールできない」

これらのコントロールできないことをコントロールしようとした瞬間に、人間はものすごくストレスがかかることがわかっています。このコントロール出来ないことに意識が向くと人によって様々な症状ができます。ある人はプレッシャーだと感じたり、ある人は強い緊張を感じたり、色々なかたちでネガティブな感情が芽生えてくるわけです。しかし、ストレスの発生の原理原則からお伝えすると、コントロールできないものはコントロールしないことで防げる緊張やプレッシャー、さらには不安を抑える事ができます。
 

目の前のことに集中する(マインドフルネス)

  では、何をコントロールしたらいいのか?ここで重要になるのが、今自分がやるべきことは何なのかに全ての意識を向ける努力が必要になります。この状態をマインドフルネスと言ったりします。わかりやすい事例では「全集中の呼吸」で流行りの鬼滅の刃は非常に参考になります。
 
 では、今自分がやるべきことは何か?これは競技によって当然のように異なってくると思います。しかし、大前提となることは自分で出来るだけです。例えば、先ほどお伝えした鬼滅の刃であれば最高の太刀を相手に与えるために呼吸だけに意識を向けています。これは誰もがコントロール出来ることですよね。何か、競技特有の技術的な事に意識を向けることもできますが、それ以上に最も簡単にコントロール出来るところからコントロールする事から始める事が1番大切だと思っています。コントロールしている感覚を味わった上で徐々にコントロール出来ることを増やしていくことが重要です。
 
 私がお勧めする最近のマインドフルネスは、味噌汁を作ることです。朝一杯の出汁からしっかりと栄養分を取った味噌汁はセロトニンや睡眠を正しく取るために必要なトリプトファン の生成に影響を与えてくれます。食物繊維も豊富に取れるので腸内環境を整える上でも効果的。さらに、自分自身が目の前の味噌汁だけに集中している時間がとても脳の切り替えに役立つので様々な面でメリットしかないと感じています。
 

試合でやるべきことをリストアップする

 スポーツメンタルコーチ鈴木颯人,トップアスリート育成
ここまでお話してきて、根本的なことはコントロール出来ることだけをコントロールすることに限ります。そこで大事になるのが準備です。試合中に対処することよりも、試合が始まる前に試合で起きる事態を予め想定しておくことが重要になります。即興で対処するのではなく、AになったらBをする。CになったらDをする。という風にしておきたいのです。そのためにも事前にやるべきことをリストアップしていくことが重要です。
 
多くの人がネガティブなメンタルを無くしたいと思う人が多いです。その思考法は二流がありがちなものです。一流は緊急時は起きるものだと捉えそれに淡々と対処していく人たちのことを言います。例えると、消防士の人たちがどうしてあれだけ冷静に普段から消化活動に当たれるか?それは非常時を予め想定し訓練しているからです。その思考と同じように、私たちアスリートも非常時やミスや失敗を無くすことに注力するのではなく、ミスや失敗が起きた時にどうするか?を考えておくことがポイントになります。
 
 
試合中に今自分自身が何に集中しなきゃいけないのか?
どんなことを意識しないといけないのか?
どんな準備が必要なのか?
 
 
そして、
次のプレーはどんなプレーが予測できるのか?
 
 
突き詰めていけば、自分自身をコントロールする=自分自身がやるべきことを準備するにたどり着きます。
 

まとめ

 うまくいっている選手とそうでない選手は、考え方が根本的に違います。根本が違っていても、その違いはちょっとした違いであるとご理解いただけたのではないのでしょうか。「コントロール出来ることだけに意識を向ける」ここにフォーカスを当てられるようなことができたらいかがでしょうか?すると、コーチの視線や、コーチの意見をコントロールしようとする気持ちが自然と消えていきます。最初は慣れるまでに時間が掛かるかもしれません、是非とも意識し続けてみてください。
 

【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

 プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

 

 

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