オリンピックイヤーに現れたシンデレラ!河辺愛菜選手
北京オリンピックも残すところあと数日となりました。今回スポットを当てるのは、出場選手が発表される前後から注目度も高かった女子フィギュアスケートです。その中でも突然舞い込んだチャンスを見事に掴み、17歳にして日本代表の座を勝ち取った超新生、河辺愛菜選手についてお話していきましょう!
目次
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将来性抜群の河辺愛菜選手
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外国人同級生への勝利欲で得たメンタル
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Miracleを起こして!北京オリンピック
将来性抜群の河辺愛菜選手
北京オリンピック先行発表、当事者にとってはこれほど緊張する瞬間はないでしょう。女子は『坂本花織選手』『樋口新葉選手』の名前が呼ばれ、注目された3人目、最後に呼ばれた名前は『河辺愛菜選手』初めてオリンピック出場を決めた17歳。
浅田真央選手に憧れ、5歳からフィギュアスケートをはじめたという河辺愛菜愛菜選手は、その浅田真央選手、宇野昌磨選手を指導していた山田満知子コーチにレッスンを受けます。すぐに頭角を表し小学校の頃から、国際大会で優勝。小学校3年生からは、荒川静香選手、鈴木明子選手を指導した長久保裕コーチにレッスンを受けるようになります。
10歳の時、ジュニアの下のノービスクラスで2位。そして父だけ地元愛知県に残り、河辺愛菜選手が13歳の時に、母と弟の3人で大阪に移住します。その理由は、宮原知子選手、紀平梨花選手、本田真凜選手など数多くの有名選手を指導してきた浜田美栄コーチにレッスンを受けるためでした。
浜田美栄コーチに指導を受けた河辺愛菜選手が、習得した得意技は、トリプルアクセル。家族の大計画が報われたのでした。そして中学3年生の時、2019年日本フィギュアスケートジュニア選手権に出場すると、公式戦で初めてトリプルアクセルを成功させ、優勝。高校2年生になった河辺愛菜選手に思いがけないチャンスが訪れました。
2021年、怪我をした紀平梨花選手の補欠として出場することになったNHK杯。見事にトリプルアクセルを成功させ、シニア転向後の初大会で2位となり表彰台にあがります。その素晴らしい勢いのまま、オリンピック選考を左右する全日本フィギアスケート選手権に出場します。「強い気持ちで」と挑んだ河辺愛菜選手。ショートプログラムから挑戦したトリプルアクセルを見事に成功させ、この大会でも3位となり表彰台にあがりました。
パーフェクトな演技が出来た大きな自信は、確かな力へと変わっていたのです。そして2022年北京オリンピックの結果発表で名前を呼ばれた河辺愛菜選手。驚いた人は多かったかもしれませんが、トリプルアクセル(3回転半)に挑戦し成功させた競技力、6種類の三回転ジャンプが飛べる能力、年齢的な将来性。トリプルアクセルジャンパーの河辺愛菜選手が、オリンピック代表に選ばれた理由も納得です。
外国人同級生への勝利欲で得たメンタル
河辺愛菜選手にとって、やはりNHK杯に補欠出場したことが、転機となります。「NHK杯は表彰台に乗ろうとも考えていなかった。ただ、海外の選手とはまだまだ差がある、追いつきたいという気持ちが大きくなった。同い年の海外の子に勝ちたい」と外の世界で感じたことを話した河辺愛菜選手。
世界の舞台で才能がある選手と戦うことで、スケーティングの視野が広がったようです。カナダ大会で女子シングルを制したのは、ロシアの15歳カミラ・ワリエワ選手。そしてアメリカのアリサ・リュウ選手、韓国のイム・ウンス選手ら同世代と同じ舞台で競った経験を経て河辺愛菜選手に芽生えたものは「このような選手にも勝ちたい」という勝利欲でした。
演技冒頭で成功させたトリプルアクセルについては、「直前の練習であまり良くなかったので、いいジャンプをイメージして待っていたんですけど、それが出せたので自分の中で1個課題をクリアすることができた」と語った河辺愛菜選手。さらに、去年の全日本選手権より「メンタル面での成長があった」と話します。
その理由については「国際大会とかで緊張する中でやるというのを経験したことで少し成長できた。トリプルアクセルを跳ぶ回数が去年よりも増えたので、一番自信につながっている」とのことです。トリプルアクセルを完成させたことにより、夢であったオリンピックへの道を切り開いた17歳の河辺愛菜選手は、現在4回転ジャンプにも挑戦中です。
昨年秋から取り組んでおり、全日本でも男子の4回転を見て参考にしているそうです。北京五輪には間に合わないですが、世界トップの女子でスタンダードになりつつある4回転の完成も楽しみです。そんな河辺愛菜選手、趣味は嵐。録画している嵐のテレビ番組を見るのが何よりの楽しみで、最高の息抜きだそうです。
さらに練習の前後には嵐の歌を聞いているとのことです。揃えたグッズからは、嵐愛が溢れています。嵐の中でも推しは櫻井翔さん。河辺愛菜選手が所属する木下アカデミーからの横断幕にも嵐の文字。競技生活においても日常においても、推しがいると言うのは、とても力になる良いものです。
Miracleを起こして!北京オリンピック
「オリンピックは小さいころからの夢の舞台で、出られるということをまだ実感できていない。小さいころからの夢である大きな舞台で楽しんで演技をできるように、頑張りたいです」と話していた河辺愛菜選手。
初の北京オリンピックの舞台は、まずショートプログラムです。「見ている人に感謝しながら」とビバルディの曲で滑り出します。冒頭、トリプルアクセルに挑戦するも惜しくも着氷で転倒。しかしこの大舞台で大技に挑んだ勇気は何よりも素晴らしい経験です。演技終了後のインタビューでは「3回転半をやったことに後悔はない。
フリーでは、しっかりスピードに乗って真っすぐ入れるよう改善したい」とすでに気持ちを切り替えていました。そして「緊張はなかった。楽しかった。外国の方が盛り上げてくれたり」とオリンピックの舞台を楽しめている気持ちも話しました。「ジャンプに不安があったのは心の弱さ」と自己分析もできているようです。
そしてフリーの曲は「Miracle」。この曲を作詞作曲したのはX JAPANのYOSHIKIさんです。これを知った作者であるYOSHIKIさんから「ミラクルを起こして」と届いたエール。このエールに対して河辺愛菜選手も「ミラクルを起こして上に行けるように頑張りたい」と意気込みを話しました。
そしてはじまったフリー。YOSHIKIさんの「Miracle」で滑り出します。冒頭のトリプルアクセルは回転不足でダブルアクセル扱いに、その後3度転倒し17歳初めて挑んだオリンピックの舞台は、あまりにも苦い経験となりました。
「こんな演技しかできずに申し訳ない」「楽しかったけど、すごく怖かった。今までで一番悔しい」と悔し涙を流す河辺愛菜選手。そして「どこの国にいても必ず見ます」と話していたYOSHIKIさんは「懸命に戦う姿に感動すら覚えた。みんなも、これからも応援してあげてほしい」と呼び掛け「#ミラクルはこれから始まる」とのタグも付けました。
「She will come back strongly.彼女はさらに強くなって戻ってくる」と英語でのメッセージも綴られていました。河辺愛菜選手も「4年後、ここで自信を持って立てるだけじゃなくて、上を目指せるように必死に頑張っていきたい」とミラノオリンピックに向けての決意、雪辱を誓ったのでした。
最後までよく滑り切った河辺愛菜選手、4年後、完成度の高いトリプルアクセルと4回転の完成もあるのでしょうか?今から楽しみでなりません。次回のオリンピック舞台では、今度こそMiracleを!そして河辺愛菜選手の笑顔が見たいです。