「子どもたちのために指導者が変わる」設楽典宏さんのスポーツメンタルコーチングへの想い
スポーツメンタルコーチ資格講座卒業生インタビュー第8弾
??今回は当資格講座第8期卒業生であり、現在プロスポーツメンタルコーチとして活動している設楽典宏さん。元々は高校の教員として野球部を甲子園に導くほどの名コーチとして活躍。後任へ道を譲るのを機に当資格講座を受講しプロメンタルコーチとなった。そんな彼にメンタルコーチングへの想いと資格講座の経験談を聞いてみた。
指導者として更に成長するために。スポーツメンタルコーチになるきっかけとは
-スポーツメンタルコーチになりたいと思った理由やきっかけは何ですか?
元々高校の教員として社会の授業を受け持ち現場で野球の指導をしていました。ところがある年の年度始めに「今年の7月を持って監督を降りてもらいます」と学校長から言い渡されました。まさに寝耳に水でした。年齢的にもゆくゆくは後任へ引き継いでいくという心の準備はしていましたが、まさかこんなに急に来るとは思ってもいませんでした。後任には大学・社会人で活躍されたOBの方が招かれました。私はその年の夏の大会を最後に現場を離れたのです。
-急に監督としての立場を辞めざる得ない状況になってしまったんですか?
はい。本当に突然の話だったので退任後ポッカリと時間が出来てしまったんです。その時、改めて「今後どうしていくことが最善なのか」と自分と向き合いました。当初は「指導者を続けたい」という気持ちが強くあったので指導者を求めている学校を調べては手当たり次第にコンタクトを取りました。しかしなかなか良い返事はもらえなかったんです。
その間に何もしないわけにもいかないので、まずは自分のスキルの引き出しを増やしたいと考えていました。そこでアンテナに引っかかったのが颯人さんのメンタルコーチングでした。
-指導者として必要なスキルとしてメンタルコーチングを選んだということですね。
はい。それから颯人さんのブログを読んだり、セミナーに参加しているうちに自分の中でピンと来たんです。「これからはメンタルコーチとして野球の現場指導に関われたら面白い」と思ったのです。それでも最初はメンタルコーチになるというよりは、野球指導者としての自分の力量を一回り増やして自分の武器を作りたいと思っていました。そして学び続けていくうちに「これは仕事としてやっていく価値がある」と感じたのです。
実際に資格講座を受けてみて感じたこと
-どうして当方の資格講座を選んだのですか?
はじめは協会で開催されているいくつかのセミナーを受講するところから始めました。私はとにかく一度興味を覚えるとのめり込むタイプなんです。そこで話を聞けば聞くほど学びがあり、もっと学びたいと思い資格講座を受けることを決めました。
- 一点気になるのですが、設楽さんのような知識や経験もある方が自分より若い人から教えてもらうことへの抵抗はありませんでしたか?
抵抗は全くありませんでした。なぜなら教員は年齢差のある生徒たちから学ぶことだらけだからです。これは先生を経験された人なら共感していただけると思います。確かに教員は教える立場です。けれども一番学んでいるのは実は教員の方なんですね。教員は毎年歳をとる一方です。でも対象となる生徒の年齢はずっと変わらないですよね。
そんな中で生徒の新鮮な感性から新たな視点をもらったり、自分の思い込みに気付かされたりと、生徒からいろいろと教わることが多かったのです。ですからどんな分野においても教えてくれる方の年齢とか性別は私にとっては関係ないんですよ。もし宇宙人が本当のことを教えてくれるなら宇宙人に習うかもしれないです(笑)
-実際に資格講座を受けてみてどうでしたか?
等々力のオフィスで講座がスタートした時は「これからどういう展開でどうなっていくんだろう」という心境でした。ただ講座は終始穏やかな雰囲気。颯人さんの口調も穏やかで慣れてくると心地良いものになりました。毎回オフィスに行くのが楽しかったです。
講座の中で私は吸い取り紙のようになっていました。とにかく興味津々で様々なテーマのお話や各種ワーク、みんなで意見をシェアし合ったりすることが面白くて楽しくて仕方ありませんでした。また随所でたくさんの気づきがあり自分が変わっていくのを実感しました。
-資格講座の中で印象に残っているワークはありますか?
NGワードを使わない習慣を身につけるワークが特に印象的でした。定められたNGワードを使わずに2、3週間連続して生活をするタスクです。これは簡単に見えますが実はそうではなくて、残り1日でいよいよ課題クリアと思いきや、授業中ついうっかり使ってしまったことが何度もありました。同期のメンバーも苦戦した様子でしたよ。おかげさまで今では時にNGワードが頭によぎることはあっても使わなくなりました。
-資格講座の同期は性別も年齢もバックグラウンドもバラバラでしたが、一緒に参加した若い子たちの印象はいかがでしたか?
皆さん仕事の立場などいろんな壁にぶち当たっていたので、各々自分と向き合って頑張っているなと感じました。そこには特に年齢が若いからという思いはありませんでした。
メンタルコーチングを取り入れて指導方法にも変化が
-資格講座で学んだことを学校の授業で活かせたことはありますか?
「内発的動機」は役立ちました。ちょうど私が最後のクラス担任の時に、生徒の一人が不登校気味になってしまいました。その子はジュニアの頃から活躍していた硬式テニス選手でした。部活や学校に馴染めずしっくりこなかったみたいなんです。
何度も家庭訪問したんですが、家に行っても部屋に籠ったきりで会ってくれない。母親を橋渡しに会話するような状態でした。そこで私は「無理に学校来なくて良いぞ」って伝えたんです。
また学校生活の影響でテニスの方も億劫になっていたようだったので「テニスが一番好きなら、まず学校よりテニスクラブへ行こうよ!」と言いました。一方で、両親や周りの大人は「学校に行かせたい」という気持ちが強くありました。そこで通信制高校への道も提案したりもしました。
最終的にはその子は学校を辞めていきましたが、私としては「無理やり学校に連れてきても解決する問題ではない」とずっと思っていました。今となってはいろんな価値観や多様性を受け入れる時代になりましたが、当時はまだそんな空気ではありませんでした。でも私の中には講座で学んだ「相手を常に尊重する考え方」が引き出しとしてありました。
メンタルコーチングを知らない頃の私だったら内発的動機を刺激せずに対応していたでしょう。かつては、本当に自堕落で問題行動を起こす生徒に対しては「貴様」呼ばわりもしていました。首根っこ掴んで無理やり引っ張り出すこともしていました。そのせいからか「鬼の設楽」と呼ばれたこともありましたからね(笑)
-ちなみにご家族は設楽さんが資格講座を受けてからどういう変化がありましたか?
資格講座を受けたことでの変化は特にありません。妻も娘も私にとっては一番怖い人たちです(笑)
「メンタル勉強している割には質問の仕方が下手じゃない?」「そういう質問だと逆に答えづらい」「何を聞かれているか分からない」っていつも的確に突き刺さるコメントをしてきますから。
-そういった家族の存在があるからこそ、設楽さんはいまだに学び続けていますよね?
はい。私自身、何一つ選手としての輝かしい実績はありません。実は小中学生の頃から既に監督やコーチになりたかったんです。そんなアンテナが子どもの頃から立っていました。中学生の頃は小生意気に「中国古典・孫氏の兵法」とかビジネスコーナーの「リーダーシップ」の類いの本にすごい興味を持って読んでいましたからね。私はそういう意味で学ぶことが好きなんですよね。
颯人さんが常々仰っている「アウトプットが最大のインプット」。私も今までは散々インプットしてきました。そこで今更ながら学んだことをアウトプットしていこうと思っています。ありがたいことに颯人さんのスポーツメンタルを学ぶ学校「Space」内では月1イベントを企画させて頂いて早1年が経ちます。今後もSpace内でイベントを開催し、そして学び続けていきたいです。
-Space内でも設楽さんの豊富な知識や経験を共有してくださるのは我々にも貴重でありがたいです。
そう言って頂いたのでここでひとつシェアしたいと思います。私の教員人生の中で最も生徒受けした授業があるんですよ。それは4月新学期、授業担当クラスに私が足を踏み入れて初めて生徒と顔を合わせる日の授業なんです。
最初、挨拶をし簡単な自己紹介を済ますと教科書もノートもしまわせます。そこで生徒たちに伝えるのは「初めてここでみんなと出会ったこのご縁を大切にしたい」ということ。そこで生徒たちに少しでも私のことを知ってもらうために生徒からたくさん質問を受けるのです。
基本的には「何を聞かれても何でも答える」このスタンスで怒涛の質問にテンポ良く答えていきます。ここではご紹介できないドッキリ質問も飛び出します。生徒たちはもう爆笑の連続。隣の教室ではすでに静かに授業が行われており「何事か?」と先生が様子を見にくることもありました。この時間はその後の生徒との関係も深まっていく一番大事な時間でした。信頼関係の構築に大事なことは自己開示。メンタルコーチと選手の関係でも必要ですよね。
今後の目標と資格講座を検討している方へ一言
-今後のメンタルコーチとしての目標を聞かせてください。
最近目標について改めて考える機会がありました。同じ資格講座卒業生の上田恵君と色々やりとりする中でピンときたんです。「俺は神になる。神のようにどんなことでも最終的に成し遂げられるような人物になる」ということ。かなり壮大な目標です。
ちなみに具体的な目標としては「選手より指導者のコーチングをして行こう」と思っています。まだまだ昔ながらのやり方で子どもたちを牛耳っているような指導者がたくさんいると聞きます。私はこの旧態依然の体制を変えていきたいです。
子どもたちがスクスクと育ち、才能・能力を存分に発揮できる環境作りは、大人の責任です。親御さんや指導者たちが少しでも早く「このままではいけない」と目覚めてもらいたいと思っております。「大人が変わらないといけない」そのきっかけにメンタルコーチングがお役に立てると考えます。この私だってメンタルコーチングを通して新たな自分に変われましたから。
-最後に資格講座を検討している方へ一言お願いいたします。
受講後「メンタルコーチになる・ならない」という話は抜きにして、何かが引っかかって興味を持ったなら受けるべきだと思います。
「迷ったらGO!」です。「迷ってる」ということは「やりたい気持ち」もあるということ。
でも一方で言い訳をつけて勝手にブレーキかけてる気持ちもある。一度自分の気持ちに正直に向き合ってみましょう。これは自己投資です。絶対何かしらのリターンがあります。とにかく「受けたい」という思いが少しでもあるなら受けるべきだと考えます。
本日はありがとうございました。
設楽典宏さんのプロフィール
1959年1月25日生まれ。東京都大田区出身。元々は高校教員として野球部を甲子園へ導いた名コーチ。現在はスポーツメンタルコーチとして活動しながらスポーツメンタルを学ぶ学校「Space」でのイベント開催。また自身の指導者の経験を活かして選手だけではなく指導者へのコーチングを行なっている。
Interview by 鈴木 颯人
Edit by 畠山 大樹
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