「選手一人一人が本当の意味で活躍できるスポーツ界に」荒川大寛さんのスポーツメンタルコーチングへの想い
スポーツメンタルコーチ資格講座卒業生インタビュー第25弾
今回の主役は当資格講座第13期の卒業生であり、現在はクリエイティブディレクター兼プロスポーツメンタルコーチとして活動している荒川大寛さん。
高校時代は神奈川県立横浜光陵高校のサッカー部に入るも奮わない3年間を過ごすが大学時代にバイトを通じて経験したライフガードとシンクロナイズドスイミングからスポーツの魅力とその凄さを肌で感じる。
大学卒業後は某大手企業で広告関係に15年間携わる一方で、2018年から大学院に通い自分がやりたいことを考える中でスポーツ領域に行こうという思いを大きくしていくところで代表の鈴木颯人のスポーツメンタルコーチングに出会い当資格講座の受講。
講座卒業後の現在は本業のクリエイティブディレクターを続けながらプロスポーツメンタルコーチとしてスポーツ選手のコーチングを始め、多岐にわたり様々な形でスポーツ領域で活動を進めている彼にスポーツメンタルコーチングへの想いと資格講座の経験談を聞いてみた。
自分が心から本当にやりたいことを見つけた。スポーツメンタルコーチになるきっかけとは
-荒川さんがスポーツメンタルコーチになろうと思ったきっかけはなんでしょうか?
僕は仕事の傍らで事業構想大学院大学という大学院に通っていたのですが、そこでは卒論として今後自分がやりたい事業を発表するんです。そのテーマは現職に近い住宅領域の延長線上にある事業構想計画だったのですが、最後の発表の時に一番お世話になった教授から「本当に荒川さんがやりたいように聞こえてこなかった」とフィードバックされてハッとしたんです。それについて反論できなかった自分もいて「これは本当に自分がやりたいことなのか?」って考えるようになりました。
それからビジネスコーチをつけて自分が一番やりたいことが何かを話したときに、たまたま1日の中で自分は何に一番時間を費やしているのかを見ることがあったんです。そうすると僕は空いてる時間はスポーツ系に多くの時間を費やしていて、例えば雑誌やWeb版の「Number」とか「ゲキサカ」、ドキュメンタリーの「情熱大陸」や「バースデイ」というようなスポーツ番組などを視聴している時間の割合が多かったんです。
-荒川さん自身がスポーツが好きだということを実感し始めたんですね。
そうですね。そこで「自分ってスポーツ好きなんだな」っていうことを感じて改めて思い出したのが中学2年生のときにサッカー選手になりたいという夢を諦めたことでした。そこであの時の気持ちと向き合って動いてみようと思ったのがスポーツ領域に行こうと思い始めたきっかけでした。何なら一人電車で移動しているときに「スポーツがやりたいんだぁ」って涙ポロポロ流すくらいの強い思いがありました。
でも僕が今からスポーツ選手になるのは難しいのでスポーツ選手と一緒に自分ができることはなにかと考えたときに、以前からコーチングを学んでいたこともあり「アスリートxコーチング」をネットで調べてみたんです。そうすると「指導者じゃない立場でもスポーツ選手を応援できる」ということを颯人さんが発信されていたので興味を持って颯人さんの説明会を受けてみたところ、とてもしっくり来たので僕もスポーツメンタルコーチになろうと思いました。
-そこで当協会の資格講座の受講を決める上で考慮されたことはありましたか?
まずスポーツメンタルのメンタルという言葉が私の中で医療的なものかどうかという疑問がありました。また私自身カウンセリングではない分野でコーチングをやりたかったのでカウンセリングの要素があるのかも気になりまず颯人さんのYoutubeを見ました。その後颯人さんが出されている本を全部買って読みましたね。
-そこでもうこれは自分がやりたいことだと確信して資格講座を受けられたのですか?
はい。私自身が「スポーツだ!」ってなってから、こんなに心からやりたいと思えたのは初めてだったんです。今まで仕事だけを使命としてやってきたんですがどこかで「やらなければいけない:Have to(ハフトゥー)」の思いが強かったんです。でもスポーツ領域はノー・ロジックで「やりたい:Want to(ウォントトゥー)」という気持ちになれました。この領域でスポーツ選手と一緒にできるんだと思ったときには何の迷いもなく受講の申し込みをしていましたね。
実際に資格講座を受けてみて感じたこと
-実際に資格講座を受けてみてどうでしたか?
正直想像と全然違いました。僕は以前1年半スクールでコーチングを学んでいたので、コーチングの奥深さと短期間で身につくものではないという考えが大前提にありました。なので颯人さんの資格講座で学べることはどんなことなのかすごい興味を持っていました。
そんな資格講座の限られた時間の中で伝えるべきことが絞られてきた時に颯人さんから学んだことが2つあります。それはアスリートとの「向き合い方」と「寄り添い方」です。こういったことって普通のコーチングのビジネススクールでは教えてくれない内容ですが、実は一番大事で私にとっても良い意味で違和感があって学びになりましたね。
-資格講座の中で印象に残っているワークや颯人さんの話はありましたか?
特に印象に残っているのは、資格講座のオフライン1日目の終わりに渋谷のセミナールームで颯人さんに質問した時に返ってきた回答でした。僕は「スポーツ選手と初めてセッションをする時にどんなこと意識しますか?」と質問したんです。私の想像では「トップ選手のセッションほど経歴や現状、コンディションを調べて万全な準備をする」という答えが返ってくることを想定していたのですが、颯人さんの答えは「何も調べないしあえて準備しないことですかね」ということだったので「え?」っていう感じでした。
でもその理由はスポーツ選手って厳しい世界で戦ってきてまたメディアにさらされているという両面から普段スポーツ選手という鎧を着ているからなんです。そこでこっちが準備して行くと色眼鏡で見て鎧を着た状態の相手に接してしまうのでそれが良くないということがその回答に込められた真意でした。それを知って僕の中に稲妻が走ったような感覚がありそういうことかと合点がいきました。これはいまだに痛烈に記憶に残っていることですね。
-そんな資格講座の中で荒川さんにとってチャレンジだったことはありましたか?
そもそも僕自身がトップアスリートでもなければプロスポーツ選手の経験がありません。そこからスポーツメンタルコーチの仕事をすること自体がチャレンジではありますが、僕は自分がスポーツ選手出身ではないからこそできることがあると思っています。
また同時に僕みたいな一般の人にはトップアスリートの気持ちは到底分かりえないですし、むしろ分かってはならないものだとも思っています。だからこそフラットにかつアスリートが当たり前と思っていることに「それって本当にそうですか?」と一緒に考えて一緒に悩むことがスポーツ選手ではない僕にできることだと思っています。なのであえて一度立ち止まって一人の人間としてアスリートをちゃんと向き合えるようにするためにどうしたら良いかを常に考えるようにしています。
-ちなみに資格講座で一緒に学んだ同期の方との卒業後の繋がりはありますか?
かなりありますね。最近もスポーツメンタル勉強会で一緒に学びました。皆さん一人一人個性的でキャラクターも違うので同じことを学んでいるんですけど各々捉え方が違ったりします。その違いを感じたことで自分はどうなんだろうと客観的に見れるようになったのですごいありがたいです。
そういう形で彼らの個性や考え方を見ていく中で、改めて自分にしかできないことを気づかせてもらえることも多いので定期的に話をしたり勉強会でいろんな人のコミュニケーション取ることで刺激になっています。
-資格講座の後はプロ講座も受講されたとのことですがどんなことを学ばれましたか?
プロ講座は自分の内面に向き合うことや自分のあり方を研ぎ澄ませて頂いた貴重な時間だったなと思います。自分のミッションでもある「Excitement with Athlete」というスポーツ選手と感動体験あふれる世界をつくるということやそのミッションビジョンバリューを作ることができたのがすごい良かったなと思っています。
あとまだまだ学びの途中ではありますが、コーチングをしていると自分の在り方が相手に伝わることもすごく多いので自分自身のマインドセットについてもよく考えることが大事なんだなと気付かせて頂いた講座でした。
-またその後のチームメンタルコーチング講座で学ばれたことはなんでしょうか?
この講座ではとある高校のサッカー部の学生に向けてセミナーをやってみたんですが、良い意味で想像と全然違ったというところが多くありました。相手の表情や行動を見ながら、どんな話に興味があるかがよく分かったり、颯人さんがよく仰ている「言葉の地図」というものに対して高校生の場合はどんなものがあるんだろうって考えることができる貴重なトレーニングの機会だったなって思います。特に高校生という仕事の面でも日頃接していない相手に対して接することで、相手にどういう言葉をかけてあげたら伝わるのかを考えさせていただける良い学びの場でした。
想定外に対応する「型のない」スポーツメンタルコーチング
-色んな気付きや学びがあったこの講座を通して感じた自分の変化はありますか?
僕自身何事に対しても準備を大切にしていますし、仕事柄ディレクターという立場もあってシナリオ通りに物事を進めていくことが正解とされる世界で生きてきたんです。一方で颯人さんは「想定外を楽しむ、今を楽しむ。今はどうなの?」っていうところをすごく大事にされていました。
こういうイレギュラーで型がないことって、一番最初に聞くと困惑するかと思うんですが色々学んできたからこそ大切なことだと気づきました。スポーツって勝ち負けを含め、想定外のことがたくさん起きるのでその想定外をいかに楽しめるかが大事で、だからこそスポーツメンタルコーチとして選手との向き合い方や寄り添い方など本質的なところをちゃんと学ばないといけない。それを学べるのはここの講座だけじゃないかなって感じます。
-「想定外を楽しむ」という新しい学びからスポーツメンタルコーチとして本質的なことに気づいたのですね。
はい。また颯人さんから学んだ「緩さ」は今までの僕にない部分だったので自分の中の変化につながりましたし、もう一つ学んだことが自分の弱いところを認めて自分をさらけ出すことの大切さでした。本当の意味で僕のチャレンジはここかもしれませんが、「できないことはできないと言って助けを求める」という自分の弱さを認めることをトレーニングしていきたいなと思います。
今までの自分は自己受容をあまりしてこなかったこともありますが、そういうことが信頼関係を築く上で必要なことだと思いますし人間は完璧じゃないんだよっていうのを伝えたいですね。
-また荒川さんが以前学んできたコーチングとこの講座で学んだコーチングの違いや強みの両方を知っているからこそ感じることはありますか?
本当の意味で想定外を楽しむためには、守・破・離の「守」の部分、元となる型や知識が必要だと思っています。そこで両方のコーチングを知っているという振れ幅の中で行ったり来たりすることで良い意味で力が抜けて客観的に見れるので可動域が広くなる感覚はあります。
一つのやり方しか知らないとそこに固執してしまうし、ここでのポイントはアスリートとの向き合い方や寄り添い方がポイントなのでそういう意味では両方を知って振れ幅ができて良かったなと思います。
-最近の実績や活動状況についても聞かせてもらえますか?
最近はXリーグの選手やJリーガー、関西で強豪のバスケットボールチームまたは海外で活動する野球選手をコーチングしています。先日はBリーグ選手と一緒にサマーキャンプを企画して、そこでメンタルの講師として親御さん向けのセミナーをしたり、スポーツメンタルコーチとセミナー講師を行っています。
またJ1ガンバ大阪との「シャレン!」という社会貢献活動企画に関わっていて今年(2022年度)も10月29日のジュビロ磐田との最終戦では中学生に向けて「どういう仕事がにつきたい?」というようなキャリア教育をテーマとしたイベントを企画・運営させていただきます。
あとはオンラインコミュニティ「Space」で「CAREER DRIVEN、一流アスリートから学ぶ、自分らしいキャリアを描くために必要なメンタルとは?」というイベントをJリーガーや五輪メダリストなどトップアスリートの方々と一緒に企画しています。
-いろんなことをされていますがどういう風にこういうお仕事に繋げていらっしゃるんでしょうか?
自ら営業もしますし、スポーツビジネスアカデミーを通して繋がりを作らせて頂いたりご紹介していただく中でお仕事をもらうような感じです。
-ちなみに実際に活動されている中で活用した講座内のワークはあったりしますか?
「思い込みの蓋を外す」ワークですね。トップアスリートや実績がある方ほど大事にしている価値観みたいなものがあってこうしなければならないとやってきている中で思い込みと気付いていないこともあります。思い込みの蓋って言葉になかなか出てこないもののやっぱりあるんだなって感じますし、そういう部分を深掘りしていくことでその思い込みの蓋を外すことが大事で実践でもこのワークは使わせて頂いてます。
今後の目標と資格講座を検討している方へ一言
-スポーツメンタルコーチとしての荒川さんの目標を聞かせてください。
私のビジョンの「Excitement with Athlete」通りにアスリートと一緒に感動体験あふれる世界をどんどん作っていきたいと思っています。スポーツメンタルコーチを起点としながらアスリートと一緒に取り組んでいく中で、選手たちが現役の時に得た価値観をフィールドが変わっても軸を通して物事にチャレンジできるようにしてあげたいなと思っています。
その一環として現在は選手のパーソナルブランディングを始めているのですがこういう動きを通して選手一人一人のミッションビジョンバリューを一緒に紡いでいきながら、それを大事にした働き方やSNSを通じた社会への発信を進めていきたいと思っていますし選手のスポンサー獲得みたいなところもゆくゆくはやっていきたいです。
またプロスポーツクラブと地域の架け橋になりたいと思っています。プロスポーツクラブや民間企業と三位一体になりながらスポーツの力で地域の社会課題を解決するということに本腰を入れてやっていけたら良いなと思っています。
-最後に資格講座を検討している方へ一言お願いいたします。
この講座を受けることで一番大きいのは同じ想いを持った人と集まれることでこれはとても貴重なことだと思います。特にスポーツ領域というところに皆さんいろんな思いがある中でその熱が伝播する感じがあり、それぞれの思いが自分の思いに乗っかって勢いづけてくれることもあるので自分が突き進んでいることを再確認できます。そういった安心感をもらえることも大きいなと思います。
そしてもう一つ感じることはこの資格講座終わってからの方が学びが多いということです。こういうインタビューでお話しさせて頂く機会やオンラインコミュニティ「Space」での活動もそうですし、卒業後にサポートスタッフで入って資格講座をサポートしたり、受講生と学びを深める時間が一番学びがある気もします。そういう意味では資格講座の単発ではなくて、資格講座を受けた後に続いていく学びや人との繋がりが魅力ということも伝えたいです。
荒川大寛プロフィール
福岡生まれ横浜育ちのクリエイティブディレクター兼プロスポーツメンタルコーチ。大学時代に経験したライフガードとシンクロナイズドスイミングからスポーツの魅力とその凄さを肌で感じる。大学卒業後は某大手企業で広告関係に15年間携わる一方で、2018年から大学院に通い自分がやりたいことを考える中でスポーツ領域に行こうと思い始める。その後スポーツメンタルコーチングと当資格講座に出会い受講。卒業後は本業を続けながらプロスポーツメンタルコーチとしてスポーツ選手のコーチングを始め様々な形でスポーツ領域で活動を進めている。
Interview and Edit by 畠山 大樹
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