TOP CONTACT

ごきげんでい続けようとするメンタルのデメリット。メンタルコーチが教える感情のバランスの重要性

スポーツメンタルコーチ

ポジティブな心の状態を維持することは、多くの人にとって魅力的な目標です。ポジティブ思考は、幸福感や生産性を高める手段として広く推奨されています。しかし、「ごきげんでいること」を常に目指し続けることには、意外なデメリットも存在します。本記事では、ポジティブな感情を常に維持しようとすることがもたらすリスクと、それに対処するための具体的な方法について掘り下げます。

【このコラムの著者】

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 幹事会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

鈴木颯人
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

ごきげんでい続けることの一般的なメリット

 

ごきげんを保つことには、多くの利点がありますが、その具体的なメリットを以下に詳しく説明します。

 

自己肯定感の向上

 

ごきげんな心の状態は、自己肯定感を高めるのに役立ちます。自己肯定感が高いと、目標に対する自信が持てるため、挑戦を恐れずに取り組むことができます。ポジティブな感情が自己評価を向上させ、成功体験を重ねることで自己肯定感が強化されるという好循環が生まれます。例えば、多くの成功したビジネスパーソンは、ポジティブな自己評価を基に自己実現を図っています。

 

人間関係の改善

 

ごきげんな態度を持つことで、他者との関係がスムーズになります。明るい態度や友好的な振る舞いは、周囲に安心感や親しみを与え、コミュニケーションの質を向上させます。特に職場でのポジティブな態度は、チームの士気を高め、協力的な関係を築くための鍵となります。例えば、ポジティブなリーダーシップを発揮することで、チームのパフォーマンスが向上することが多いです。

 

健康への影響

 

ごきげんな感情は、心身の健康に良い影響を及ぼします。ごきげんな思考はストレスホルモンの分泌を抑え、心臓病や高血圧のリスクを減少させることが知られています。また、ごきげんな感情は免疫機能の向上にも寄与し、病気に対する抵抗力を高めます。具体的には、ごきげんな感情を持つことで、風邪などの軽い病気にかかりにくくなるという研究結果もあります。

 

ごきげんでい続けることのデメリット

 

ごきげんであることを目指すにも関わらず気付いたらポジティブシンキングに至ってしまう事例があります。ポジティブな感情を常に維持しようとすることには、以下のようなデメリットがあります。これらのデメリットは、心理的な健康や生活の質に影響を及ぼす可能性があります。

 

負の感情の抑圧と心理的負担

 

ごきげんであろうとするあまり、負の感情を抑え込むことがあります。この抑圧は、心理的な負担を増大させ、ストレスや不安感を引き起こす原因となることがあります。感情を抑え込み続けると、心理的な負担が蓄積し、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすことがあります。例えば、抑圧された感情が蓄積されると、うつ病やパニック障害のリスクが高まることが研究から示されています。

 

本来の感情との乖離

 

常にごきげんであろうとすることで、自分の本来の感情から乖離することがあります。この乖離は、自己認識を低下させ、内面的な葛藤を引き起こす可能性があります。感情の乖離は、自己理解が難しくなり、心理的な問題が深刻化する原因となることがあります。自己の感情を無視することが、長期的には自己実現の妨げとなる場合もあります。

 

ストレスの蓄積と身体的健康への影響

 

感情を無理に抑え続けることで、ストレスが蓄積し、身体的な健康に悪影響を及ぼすことがあります。慢性的なストレスは、心血管系の問題や免疫機能の低下を引き起こす可能性があります。例えば、慢性的なストレスが心臓病のリスクを高めることが多くの研究で示されています。また、ストレスが過剰になると、消化不良や不眠などの健康問題も引き起こすことがあります。

 

プレッシャーの増加

 

選手が常にごきげんでいることを期待されると、プレッシャーが増すことがあります。この期待に応えようとするあまり、自己表現や本当の感情を隠すことになり、心理的な負担が増すことがあります。

 

自分の機嫌を取る方法の限界

 

外部環境の影響

 

自分の機嫌を取ることは重要ですが、外部環境の影響を完全に排除することは困難です。例えば、職場や人間関係の問題など、外部の要因が感情に影響を与えることがあります(Baker et al., 2003)。スポーツシーンにおいては、選べることができない指導者や周りのチームメイトなどが挙げられます。

 

 

自然な感情の流れを尊重することの重要性

 

感情は自然に流れるものであり、無理にコントロールしようとすることは逆効果です。感情の自然な流れを尊重し、自分自身を受け入れることが重要です(Eisenberg & Lennon, 1983)。ご機嫌で居続けることで、自分の本当の感情を押し殺してしまうことは抑圧された状態になりかねません。

 

メンタルコーチングの重要性とメリット

ごきげんな感情の維持に加え、メンタルコーチングがどのようにサポートを提供するかについて詳しく解説します。

 

メンタルコーチングによる感情の調整

 

メンタルコーチングは、感情のバランスを保つための具体的な技術やアプローチを提供します。コーチは、クライアントが自分の感情を理解し、適切に処理するためのスキルを指導します。ごきげんであることに囚われることなく、ありのままの自分を受け入れる自己受容を大事にしています。これにより、感情のバランスを保ちやすくなり、日常生活や仕事のパフォーマンスが向上します。

 

自己理解の深化と自己成長

 

メンタルコーチングは、自己理解を深め、自己成長を促進するためのサポートを提供します。感情の多様性を受け入れることにより、自己認識が高まり、より充実した人生を送るためのヒントが得られます。どんな感情であっても人として必要なものであります。どんな時にも自分の機嫌を取ろうと努めるよりも、自分の感情との向き合い方を学ぶことが結果的に自分自身のライフスキルを高める要因になると考えます。その際に、コーチングを受けることで、自分の強みや弱みを明確にし、効果的に自己成長を促進する方法を学ぶことができます。

 

専門家によるサポート

 

メンタルコーチやカウンセラーは、感情の調整や自己理解を深めるための専門的な支援を提供します。専門家のアドバイスや指導を受けることで、感情のバランスを保つための具体的なアプローチが得られ、心の健康を維持するためのサポートが受けられます。専門家の支援により、感情の調整やストレス管理がスムーズに進み、自己成長を促進することができます。

 

まとめ

 

「ごきげんでいること」を目指すことには、多くのメリットがある一方で、見過ごされがちなデメリットも存在します。感情のバランスを保ち、負の感情を適切に処理することが、心理的な健康と成長には重要です。メンタルコーチングは、感情の調整や自己理解を深めるための強力なサポートを提供し、自己成長を促進するための有効な手段です。感情の多様性を受け入れ、バランスを取ることで、より充実した人生を送ることができるでしょう。

 

参考論文

  1. Fredrickson, B. L. (2001). The role of positive emotions in positive psychology: The broaden-and-build theory of positive emotions. American Psychologist, 56(3), 218-226.
  2. Dahl, R. E. (2007). The importance of emotion regulation and coping strategies in the development of depression. Clinical Child and Family Psychology Review, 10(1), 9-29.
  3. Gross, J. J. (2002). Emotion regulation: Affective, cognitive, and social consequences. Psychophysiology, 39(3), 281-291.
  4. Carver, C. S., Scheier, M. F., & Weintraub, J. K. (1989). Assessing coping strategies: A theoretically based approach. Journal of Personality and Social Psychology, 56(2), 267-283.
  5. Ryff, C. D. (1989). Happiness is everything, or is it? Explorations on the meaning of psychological well-being. Journal of Personality and Social Psychology, 57(6), 1069-1081.
  6. Leary, M. R., Tate, E. B., & K. E. O’Brien (2007). Self-affirmation and self-esteem: A review of the literature. In A. W. Kruglanski & E. T. Higgins (Eds.), Social Psychology: Handbook of Basic Principles (pp. 340-369). Guilford Press.
  7. Ames, C., & Archer, J. (1988). Achievement goals in the classroom: Students’ learning strategies and motivation processes. Journal of Educational Psychology, 80(3), 260-267.
  8. Kabat-Zinn, J. (1990). Full Catastrophe Living: Using the Wisdom of Your Body and Mind to Face Stress, Pain, and Illness. Delta.

☆講演のお知らせ☆

 

【受付中スポーツメンタルコーチ入門講座

-アスリートのパフォーマンスを引出すメンタルコーチになる為には-

 

スポーツメンタルコーチRとして活躍する上で大事なエッセンスをお伝えする講座です。アスリートのパフォーマンスを高めるために大事にしたい3つの秘密をお伝えします。

詳細・お申込みはこちらからお願いします。 

 

 

講座はまだ早いと思う方は無料メールマガジンをどうぞ!

スポーツメンタルコーチ,職業,仕事,働き方メルマガ

 

 

その他のおすすめ記事

フィジカルトレーナーが身につけたい3つのスポーツメンタルの知識 フィジカルトレーニングは、アスリートの身体的パフォー‥ 続きを読む
スポーツ心理学とは?学ぶことで得られるメリットとスキル 【このコラムの著者】 一般社団法人日本スポーツメンタルコー‥ 続きを読む
ゴルファーのメンタルを整えることができるキャディーさんの特徴 ゴルフは技術だけでなく、精神的な強さも重要なスポーツです。‥ 続きを読む