その日本愛は本物、アンドレス・イニエスタ選手
目次
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世界最高アンドレス・イニエスタ選手の能力
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友人との別れを乗り越えたメンタル
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待ち遠しいイニエスタJAPAN”
世界最高アンドレス・イニエスタ選手の能力
スペインでもフエンテアルビージャという小さな村の出身であるアンドレス・イニエスタ選手。サッカーを本格的に始めたのは、地元のチームであったアルバセテ・バロンピエに入団した8歳の時です。徐々に頭角を現し、12歳の時に出場したスペインの全国大会では、すでに有名クラブから注目されその名を馳せすことになりました。
元々レアル・マドリードの下部組織に入団予定でしたが、FCバルセロナの下部組織であるラ・マシアを見学した時に好印象を持った両親が最終的に、FCバルセロナへの入団を決めたそうです。当時12歳のイニエスタ少年は、500キロも離れた所で寮に入り練習に励んでいました。
最初は、ホームシックにかかり毎日のように涙を流していたようです。そのような過酷な境遇が、落ち着きのあるアンドレス・イニエスタ選手の性格を作り上げたのでしょう。普段控えめな性格であるイニエスタ少年は、ピッチ上になると足に糸がついているかのようなボール捌き、正確なパスやボディコントロールと子供ながらにして、当時から既に素晴らしい選手だったそうです。
キャプテンを務めることになると、サッカーテクニックのみならずその人間性にも注目されるようになります。味方のチームメイトに対して口を出しすぎることなく、的確に程よい指示を出せるイニエスタ少年。ピッチ外に出るとさほど喋ることはなかったほど穏やかな性格で、当時から素晴らしい人間性だと称され悪くいう人は誰もいなかったそうです。
親元離れ寮生活まで経験したアンドレス・イニエスタ選手は、22年という長い期間在籍したFCバルセロナで数々の輝かしい成績を残しました。リーガエスパニョーラで9度優勝、UEFAチャンピオンズリーグで4度の優勝など35のタイトルを獲得。スペイン代表としてもU16のチームに招集され、UEFA EUROやFIFAワールドカップでも多くの大会で優勝に貢献しました。
アンドレス・イニエスタ選手のプレーの魅力は、針の穴を通すかのように精密でありながら柔軟性ある変幻自在なパス、ディフェンスからファウルを覚悟で足をかけられても倒れないボディコントロール、パスを受けた味方選手でさえもあっと驚くほど魅了するパスは、見るもの全てを魅了しました。
友人との別れを乗り越えたメンタル
スーパースター、アンドレス・イニエスタ選手は、友人の死がキッカケとなり、過去に”うつ病”として苦しんでいたことがありました。同じくスペインリーグのエスパニョールでプレーしていたダニエル・ハルケ選手がシーズン開幕前の2009年に26歳という若さでなくなっていたのでした。
死因は、心筋梗塞であまりにも突然の事でアンドレス・イニエスタ選手も理解することができなかったのでしょう。当時の気持ちを「自分が自分ではないような感じで、何をしても楽しめず、感情もなければ情熱もないという状況だった」と話しました。
自分の内面も空っぽだったとの事でワールドカップを翌年に控えたアンドレス・イニエスタ選手。その症状は専門家が必要なほど重症だったと言います。「あの状況から抜け出すためには、誰かに相談するしかないと判断する力がまだあった。大切なことはあの時期に、私が決して正気を失わなかったということだ」と話しました。
その後メンタルヘルスの専門家の力を借り”うつ病”を克服したアンドレス・イニエスタ選手は、2010年南アフリカW杯にスペイン代表として出場しました。決勝までコマを進めたスペインは、オランダと対戦。そしてどちらが勝っても初優勝となる状況で、セットプレーの力もほぼ互角と言われた両チーム。
決勝戦としては最多記録となる9枚のイエローカードが出るほどオランダの激しいディフェンスに耐えたスペインは、徐々に本来の美しいパスサッカーを展開します。決着はつかず延長戦に入り後半で1人退場となったオランダ。スペインのディフェンスにあたったように見える審判の判定はスペインボールとなり、そのリズムのままゴール前まで運びました。
最終的にゴールネットを揺らす長い戦いの決勝点を決めたのはアンドレス・イニエスタ選手でした。ゴール後、警告を受けてもユニフォームを脱いだアンダーシャツには、”ダニ・ハルケは、いつも我々と共に”と書かれていた亡き友人へ対してのアンドレス・イニエスタ選手の思いでした。
また、この友人の死の直前には、太ももの筋肉が重症の怪我でシュートを打つことができなかったことや2014年には、夫婦共に待ち望んでいた子供を流産で失い健康や命に対しての人生の苦しみを乗り越え強靭なメンタルを得たであろうアンドレス・イニエスタ選手。「肉体的にも精神的にも、全てが重荷で仕方ないリアルに身につまされる日もある。でも例え自分が怪我をしていたとしても結果を出さなければならない。それが選手なんだ」と話しました。
待ち遠しい”イニエスタJAPAN”
FCバルセロナからヴィッセル神戸にやってきたアンドレス・イニエスタ選手。「私を日本に引っ張ってきたのは”キャプテン翼”だと言っても間違い無いでしょう」と話すアンドレス・イニエスタ選手。3年契約でしたがさらに2年延長でプレーすることが決まりました。日本に来て驚きの連続だったそうです。
まず一つ目は、日本人の物静かさです。スペインでは自分に気づいた人は必ず声を掛けてきて、こちらもファンサービスをすることが当たり前だそうです。しかし、日本では気づいても”プライベートだから声は掛けない”という文化があります。最初は少し寂しく感じたそうですが、慣れてしまうと気兼ねなくプライベートを過ごせるということは著名人にとってこの上なく快適なことでしょう。
二つ目に、日本の治安の良さです。外国では子供たちを遊ばせるにも大人が目を離せないというのが現実なようですが、ある程度大きくなった子供であれば、日本では子供たちだけで遊びに行かせることもできます。
三つ目が一番の驚きだったそうです。落としてしまった財布が自分の元に返ってきたことです。中身のお金までが全く無くなることなく遺失物センターに届いていた時には、日本の安全さと拾って届けてくれた人の親切さに本当にびっくりしたそうです。
「神戸の良さを全てみよう」と妻や4人の子供たちと神戸のまちをのんびり散歩することを楽しみ、公園でもよく子供たちと遊んでいるというアンドレス・イニエスタ選手。神戸に限らず法善寺や道頓堀へもお散歩、お寿司や日本酒も好み、桜の時期に家族でお花見したり、またゲームセンターや地下鉄にも乗るなど”日本通”のように見えます。
日本でスクスクと成長する子供たちは既に日本に馴染んでいるそうで、現在妻と共に2日置きに日本語を学んでいるというアンドレス・イニエスタ選手。さらにコーチの資格を取りたいという目標もハッキリしているとのことです。多くの人が待ち望んでいる日本代表監督として彼の姿を見れる日は現実となるのでしょうか。
【このコラムの著者】
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