”リベンジの強いメンタル”で掴んだパリ五輪へ、松田詩野選手
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”初日に波乗りをマスター”、松田詩野選手
神奈川県出身の松田詩野選手。サーフィンを始めたキッカケは、実家が茅ヶ崎の海岸近くだったことです。父はロングボード、母もボディボードの経験者である両親そして5歳年上の姉にもサーフィンの経験があります。近くに住んでいると遊ぶところも海で幼い頃から美しい海に親しんできました。どんなスポーツよりも身近に海の競技を始めるのもごく自然な流れでした。
そんな松田詩野選手がボードを持って初めて海に入ったのは、6歳の時。地元の茅ヶ崎でサーフィンスクールに入門すると初日にも関わらず、すぐに波乗りをマスターして周囲を驚かせたと言います。好奇心豊な挑戦心と波乗り一家のDNAで才能はすぐに開花。小学校6年生の時には、日本サーフィン連盟公式のショートボード検定で2級と1級に合格しました。そして中学2年生で出場した夢屋サーフィンゲームズ田原オープン大会では3位入賞し、同時に日本プロサーフィン連盟(JPSA)公認のプロ資格まで取得。若干14歳でプロサーファーの仲間入りを果たしました。
さらにこの年に出場した全日本サーフィン選手権大会ガールズ部門でプロ1年目にして初優勝を飾った松田詩野選手。日本一を達成した彼女は、世界プロサーフィン連盟公式ツアーであるワールドサーフリーグにも参戦しました。中学時代は、朝起きると2時間ほどサーフィンをして学校に登校。そして放課後にまたサーフィンをするという毎日を過ごしました。
時間があれば海で過ごす生活のなかで成果も実り、中学生のうちにプロサーファーになれたことが彼女にとって何より大きな財産です。サーフィンを第一に考え、高校は通信制の飛鳥未来高校に進学。この学校の卒業生には、モデルやタレント業を幅広くこなす藤田ニコルさん、プロゴルファーの藤田光里選手などの著名人がいます。”自由度が高かったこと”が進学先に選んだ理由だそうです。世界ジュニアランキングでアジア1位、世界選手権でアジア最高位である15位に入った松田詩野選手。
日本ではすでにトップクラスの実力を備え、世界でも上位に入賞する日本が誇れる素晴らしいアスリートなのです。
バランスボールで得た”体幹”、身につけた強い”メンタル”
ロングボードとボディボードの経験者である両親を持つ松田詩野選手。2人とも娘のサポートを懸命に行ってきました。サーフィンの練習や大会の送迎は、全て父がサポート。毎日のことになると非常に大変なことですが「親も楽しい」と嬉しそうに話しました。
さらに「(松田詩野選手が)免許を取って一人でいくと暇になっちゃう」と自分自身の日課が無くなってしまうと困ってしまうという様子さえ感じます。そしてアスリートにとって重要なメンタル面については、母がしっかり支えてくれるそうです。
負けて悔しがったり落ち込んだ時には、ポジティブな言葉で励まし続けてくれたと言います。母の励ましで綺麗さっぱり気持ちを切り替え、サーフィンのスキルと強いメンタルを身につけてきました。「(サーフィンが)うまくなるためにはどうすれば良いか」を3人で話しあい、試合のビデオを見て研究する日々。「こうした方が良い」とアドバイスをくれる両親は、松田詩野選手にとって何よりも強い心の支えです。
好きなアーティストであるシンガーソングライターの平井大さんとRADWIMPSの楽曲を聞いてメンタルをリラックスさせることもあります。また漫画が大好きという一面も持つ松田詩野選手の一押しは、『名探偵コナン』や『あたしンち』。『エアロテック』や『FCS』などの有名サーフブランドとのスポンサー契約はもちろん今後の期待からトータルケアブランド『LUX(ラックス)』や食品大手メーカー『マルハニチロ』ともスポンサー契約を結んでいます。
バービー人形にもなってしまうほどのルックスからモデルとしても活躍し、一流アーティストのけってにも出演するほどマルチな才能を持つ松田詩野選手。TVに出演した際には、バランスボールを使用したトレーニング方法も話題となりました。愛用するのは、半球のバランスボール。この上でバランスを取り、体幹を鍛えているのだそうです。
どのスポーツ競技においても重要な体幹ですが、特にバランスを取ることがパフォーマンスを左右すると言っても過言ではないサーフィンにおいて欠くことができない大切なスキルなのです。
天才少女念願の夢、”パリ五輪”へ向けて
東京オリンピックで代表に内定しながらも掴んだ切符がすり抜けていった松田詩野選手。幼い頃から才能を発揮し、数々の大会で優勝してきた彼女も決して平坦な道のりを歩んできたわけではありません。17歳という若さでアジア最上位に入り、条件付きでありながらも東京オリンピックの代表に内定。
しかしコロナ禍の延期で日本3位に順位を落とし、当時の規定で代表権を失ってしまったのです。”練習中も悔しさを思い出すようにした”と乗り越えてきました。「”絶対次は自分がオリンピックを取るんだ”というリベンジの気持ちを強く持っていた」と話した松田詩野選手。試合前に強く念じていたのは「”自分を信じる気持ち”自分で自分を一番信じてあげるということ」そして海と波を感じることだったそうです。
右肩の手術と体を戻すために行ってきた厳しいリハビリも必死に乗り越え、さらにメンタルは強固なものになりました。”サーフィンができる喜び”を再確認した良い経験になったとも言います。自然を相手にするスポーツであり、自身の努力ではどうにもならないことも多いのがサーフィン。勝ち負けに一喜一憂することもあるそうです。
しかし「サーフィンの大会では嬉しい気持ちや悔しい気持ち、どっちも味わえてその感情だったり経験が自分をすごく成長させてくれた」とも話し、”サーフィンは自分の人生そのもの”と微笑む松田詩野選手にとって何よりも大切な大きな存在のようです。また「もっと自分も活躍して女性サーファーを増やしたい。
女性ならではのサーフィンスタイルなど自分の良さや強みをもっと向上させていきたい」と現状に満足せず、今後も挑戦し続ける強い思いも話しました。幼い頃からサーフィンの魅力をたくさんの人に伝えたいと感じてきた松田詩野選手。オリンピックは、その思いを伝えることができる数少ない大切な機会なのです。
今回は、松田詩野選手についてお話しました。幼い頃から大好きなサーフィンで結果を残し楽しい思い出を積み重ねてきた分、東京オリンピック以降に経験した思いはジェットコースターの急降下のようなものでした。しかし持ち前のポジティブさと強いメンタルで乗り越え、さらに強く美しく成長した彼女の活躍を見守り続けたいと思います。
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