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両親譲りの”不屈のメンタル”で次の目標へ、松島幸太朗選手

バックスというポジションを並はずれた能力でこなすラグビー日本代表の松島幸太朗選手。ラグビーは、チームプレーでありながら個々のスキルも重要な競技です。相手と身体のぶつかり合いがあるために強固な肉体も必要。またメンタルの強さにパフォーマンスも左右されます。日本選手史上初となるハットトリックを達成した松島幸太朗選手。ラグビー選手にとって必要な能力を全て併せ持つと言っても過言ではない注目すべきアスリートです。今回は、松島幸太朗選手についてお話します。

目次

  • ゆかりある”南アフリカからの歴史的勝利”

  • 両親の生き様が”不屈のメンタルのルーツ”

  • 次の目標を見据えての行動”覚悟と責任を持つこと”

ゆかりある”南アフリカからの歴史的勝利

南アフリカ、プレトリア出身の松島幸太朗選手。ジンバブエ人の父と日本人の母との間に生まれました。経済記事を多く書いていた記者の父とNGO(非政府組織)の研究員だった母。ジャーナリストとして海外で働く父の影響で物心がつく3歳から4歳の時期には、日本と南アフリカを行き来しました。

 

5歳の時に日本国籍を取得。6歳の時に来日し、東京で暮らすことが決まりました。サッカーファンだった父の影響で小学校時代には、サッカーをして過ごしていたそうです。ラグビーを始めたのは、中学1年生の時。冬頃から1年間限定で南アフリカのグレーム・カレッジへ留学したことがキッカケでした。

 

現地の中学校の監督から声を掛けられ始めたラグビー。するとU13カテゴリーのMVP(最優秀選手)に選ばれるほどの選手へと成長を遂げました。南アフリカでの留学期間は、父と二人で暮らしていた松島幸太朗。たった1年でもこの期間は、海外を飛び回っていた父とゆっくり過ごせた大切な時間だったそうです。

 

日本へ帰国後、中学にラグビー部はありませんでした。しかしラグビースクールの早稲田クラブに通い、ラグビーを続けました。中学3年生の時には、東京都スクール選抜に選出。花園ラグビー場で行われた冬の全国大会にも出場しました。大阪府中学選抜との準決勝では、独走トライで勝利へと大貢献。

 

高校は、神奈川のラグビー名門校である桐蔭学園高等学校に入学しました。1年生からレギュラーとして活躍。2年生の時に飛び級で高校日本代表に選ばれました。3年生で出場した全国大会で桐蔭学園を初優勝に導き、全国制覇も達成。準決勝では、自陣ゴールから100m近く独走しトライを決めてしまったそうです。

 

高校卒業後は、大学進学ではなく再び南アフリカへ留学。南アフリカラグビー協会の育成組織である強豪クラブのシャークスで2年間プレーしました。声が掛かった南アフリカU20の代表候補も「日本代表として強いチームに勝ちたい」と強い意思があったため、辞退した松島幸太朗選手。

 

21歳の時に東京サントリーサンゴリアスに加入し、日本代表にも選ばれました。翌年ワラターズに移籍し、日本代表としてワールドカップに出場。日本列島が歓喜に沸いた五郎丸歩選手のトライをアシストするなどの活躍をしました。自身もゆかりがある南アフリカとの対戦でフル出場し、見事に歴史的快挙となる大勝利を達成。”日本代表として強いチームに勝ちたい”という夢を成し遂げたのです。

 

両親の生き様が”不屈のメンタルのルーツ”

運動能力が高く、ラグビーの上達も早かった松島幸太朗選手。しかしハーフであるがゆえの悩みにも直面したこともありました。個性よりも周囲と同じように無難に過ごしたいという風潮がある日本。特に子供は、正直すぎることで個性ある人をイジメの対象にしてしまうことがあります。

 

ある時「お母さんと同じ肌の色が良い」と母に話したことがあるという松島幸太朗選手。「周囲のクラスメイトと肌の色や瞳の色そして何より体格が大きいことでイジメられた」そう察した母は、悩む息子の心をそっと優しく包み込みました。

 

母は「思っていることをしっかり話すことで周りが変わる」とアドバイス。NGO(非政府組織)の研究員としてアパルトヘイト問題にも携わった母の強い眼差しと言葉でハッキリを伝えることの大切さを学びました。母に相談したことで自信を持てた松島幸太朗選手。「やめてほしい」とハッキリと力強く伝え、意思表示をしました。その結果、イジメられることも無くなったそうです。

 

母と同じく松島幸太朗選手へ強い影響を与えた父は、高校2年生の時に病気で命を落としたそうです。数日間部屋にこもってしまうほど相当なショックを受けました。南アフリカでの留学時期は、海外に行き来することが多かった父を身近に感じられた唯一の時間となりました。「勉強もしっかりしなさい」などしつけも厳しかったそうですが、多感な時期を乗り越える強いメンタルを養えたのも父のおかげなのだと言います。

 

父を早くに亡くした松島幸太朗選手。しかし、その分まで母の愛に支えられて心身共に成長してきました。息子の誕生日に贈った母からの手紙に素敵な言葉が書かれていました。『その美しい肌の色と、キラキラした目と、自由な心がイイね』。アパルトヘイトなどの差別問題に長年携わった母だからこそ差別への強い思い、そして息子に外国人である父の血が流れていることを誇りに思ってほしいという思いが込められています。

 

松島幸太朗選手も『僕は人生の転機で自分を導いてくれる人たちに出会った、その始まりは母親です』と今の自分があるのは、母のおかげだと話しました。

 

やりたいことをみつけた息子を優しく包み込み、時には背中を押して自分の力で切り開く勇気を与えた母。そして短い時間であったものの人生を生き抜くために大切なことを押しててくれた父。”自分の意思を強く持つこと、妥協せず進むこと”そんな両親の生き様が、松島幸太朗選手の不屈のメンタルのルーツなのです。

 

次の目標を見据えての行動”覚悟と責任を持つこと”

怪我をしてリハビリなどで3ヶ月間を過ごした松島幸太朗選手。ラグビーから完全に離れた期間は、身体にもメンタル面でも良かったと感じているそうです。日本代表として試合に出れなかったことで不安があるのも事実でした。

 

しかし「周りと同じことをやっていたら成長できない」とポジティブに考えます。ベテラン世代となった松島幸太朗選手にも、ある覚悟ができています。

 

「パフォーマンスが落ちてきて思うようにプレーできなくなったらすぐに代表を離れてもいいんじゃないかな」と考えているそうです。また「日本代表にもっと活きの良い選手が出てくるかもしれない」と思うことも楽しみの一つなのだと言います。もちろんワールドカップでどの試合も”全部出たい”という強い思いがあります。

 

それでも前回の成績を超えることを目指す日本代表にとって何より大切なのが”層の厚さ”。たとえどの選手が試合に出ても同じくらいのレベルで選手一人一人がハングリー精神を切らさずプレーしないといけません。チームプレーでありながら個人の努力から得た一人一人の力が重要となります。その大きな力が合わさった時、より強固なチームが出来上がります。

 

日本代表桜ジャージの袖を通すことで生まれるのは、大きな責任感。しかし責任感にあまりプレッシャーを感じすぎず、代表に選ばれたことに自信と誇りを持つことも大切です。日本代表の将来の目標を見据えて覚悟を決め、責任を持つことそして何より自信を持つこと。今後もラグビーで活躍する姿を見守っていきたいものです。

 

今回は、松島幸太朗選手についてお話しました。職業柄もあり強い信念を持った両親の生き様が、メンタルの強さを形成しました。次の目標を見据えての行動からは、ラグビーを愛する気持ちが伝わってきます。活躍されることを楽しみにしているアスリートの一人です。

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【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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