”独自性”から得たのは鋼のメンタル、村上宗隆選手
目次
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家族から引き継いだ”スポーツ一家のDNA”
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大事にしているのは”独自性”の美学
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ベテランから学んだ”柔軟性”へのこだわり
家族から引き継いだ”スポーツ一家のDNA”
熊本県出身の村上宗隆選手が野球を始めたのは5歳の時。野球好きだった祖父と父の影響でした。祖父が警察官だったため、特に挨拶や食事のマナーに厳しく育てられたそうです。返事が小さいだけでもかなり叱られたと言います。村上宗隆選手の父もかつては、甲子園出場を目指した球児でしたがケガで断念。そのため、自身の夢を息子に託したい気持ちがあったのでしょう。
2歳年上の兄と5歳年下の弟がいる3人兄弟。体育会系の父の厳しい指導方針の分、母が優しくサポートしてくれたそうです。母もバレーボールの経験者で両親ともに元アスリート。祖父も警察官の職業柄から日頃から剣道や柔道の武術を身につけています。運動一家のDNAが村上宗隆選手にも組み込まれていたのです。
小学校4年生で軟式野球チームに入り本格的に野球をはじめ、6年生で硬式野球のリトルシニアのチームに入りました。中学2年生の冬、九州選抜チームのメンバーに選ばれ台湾での遠征を経験。そして、3年生の時には、熊本県硬式野球選手権大会で優勝しました。
ちなみにこの時のチームメイトには、福岡ソフトバンクホークスの増田珠選手、オリックスバッファローズの西浦颯大選手がいます。高校は、九州学院高等学校に進学。一塁手としてレギュラーを掴むと熊本県大会を制し、夏の甲子園への切符を掴みました。4番バッターとして出場しましたが、無安打に抑えられ初戦で敗退。
1年秋には捕手に抜擢されますが、2年3年の夏共に熊本県大会の決勝で惜しくも敗れています。高校時代に通算52本ものホームランを放ち、その長打力から”肥後のベーブ・ルース”と称されていた村上宗隆選手。高校時代は捕手や1塁手としてプレーしていましたが、ドラフト会議では野手として指名されました。
豪快なホームランを放つ打撃力が大きく評価されたのでした。プロ入り後は、山田哲人選手とウラディミール・バレンティン選手に弟子入りを志願。2選手に並ぶほどの素晴らしいバッターに成長していきます。父の夢を叶え甲子園出場を果たした村上宗隆選手。史上8人目となる高卒野手で新人王を獲得し、”高卒長距離砲”と称されるほどの選手に成長したのです。支えてくれた家族へこれ以上ない最高の恩返しとなりました。
大事にしているのは”独自性”の美学
”独自性が強く、自分らしくありたい”という思いを持つ村上宗隆選手。みんな違ってみんな良いという言葉通り、他の人と異なる独自性を持った自身を認める”ユニークネス欲求”がとても強いのだそうです。「このような人は、同調圧力に飲まれることもなく、”独自性”の美学を突き通す勇気と結果に繋げる力を持っている」と公認心理士より診断を受けると嬉しそうな笑顔を見せました。
巨漢のホームランバッターでありながら時折見せる優しい笑顔が魅力でファンから愛されキャラの村上宗隆選手。「課題はどこまで行っても”野球に対する探究心”へと繋がる」と話します。そんな村上宗隆選手が、試合前に必ず行うマイルールが二つありそうです。
まず一つ目は、試合前に顔に化粧水を塗ることです。顔が乾燥していると打席に入った時に顔が引きつってしまい集中しにくくなるからで「しっとりさせた方が試合に入りやすい」と理由を話します。ヤクルトが出している化粧水を利用しているので、村上宗隆選手がオススメするのと「同じものを使いたい」というファンもいるようです。
そして二つ目は、バットを磨くことです。「(滑り止めの)スプレーを使うとバットに残ってしまい、ベタつきで感覚が変わってきたりする。試合前に毎回磨いて、新品同様の状態で使うようにしている」と理由を話します。まるで試合前にバットを磨いてメイクを落とし、そして打席に入る直前にバットにスプレーでメイクを施すかのようだと例えています。
三振が多くても気にせず、その分ホームランを量産する村上宗隆選手。まるで外国人かのようなパワーと鋼のように強いメンタルは、他者の成績を気にせず”自分らしく”という思いを大事にしているからこそ培われた強固なものなのでしょう。
ベテランから学んだ”柔軟性”へのこだわり
普段から心掛けているのが、お風呂で必ず”湯船に浸かる”ということだという村上宗隆選手。体がとても柔らかいことが身体的特徴の一つですが、この柔軟な体作りの秘訣を1日に3度入るお風呂だと挙げています。
朝、練習前、そして試合後にも入りますが、どんなに気温が高くても(暑い夏であっても)必ず湯船に使ってお風呂に入るのだそうです。「朝の目覚めにも効果的ですが、次の動作、ストレッチにスムーズに入りやすいように体を温めている」と話します。体を起こすことはもちろん、全身を芯まで温めることによってストレッチの効果も最大限に上げることができるのです。
188センチ、97キロとホームランバッターとして恵まれた体格を持つ村上宗隆選手。体が柔らかいというのは、怪我や故障に繋がるリスクも軽減できます。さらに体が柔らかい方が可動域も広がり、スイングスピードにも良い影響を及ぼすのです。バットを持つ時はもちろん、守備に着く際にも役立ちます。柔軟な体の重要さについてプロ1年目の自主トレ時に、青木宗親選手に教えてもらったのだそうです。
ちなみにメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手も体が柔らかいことは有名です。プロ入り後から現在まで怪我をすることなく、ずっと試合に出続けている村上宗隆選手。怪我をしないことは、プロアスリートにとって才能の一つでもあります。ホームランバッターにとって体の柔軟性もまた大きな武器となります。
日本代表として4番バッターを務めてきた筒香嘉智選手、鈴木誠也選手でもチームの主力となるまでに4から5年もかかりました。しかし村上宗隆選手は、ルーキーイヤーからその素晴らしいバッティングで活躍し、2年目には新人賞も獲得。日本代表として東京オリンピックで金メダルを獲得し、ヤクルトとしてリーグ優勝、日本一のタイトルも獲得しました。
通算100本塁打、シーズン100打点の日本プロ野球史上最年少記録も保持しています。”清宮幸太郎選手のハズレ1位”といわれた村上宗隆選手は、日本野球界にとって唯一無二のホームランバッターに大変身を遂げた彼の活躍は超一流と言ってもいいのでしょう。
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