強い信念とメンタルの持ち主、坂本勇人選手
今年もプロ野球のシーズンが始まりました。まだスタートしたばかりですが、読売ジャイアンツが首位をキープし圧倒的な強さを見せています。2試合目までは欠場し心配されていましたが、早くも第一号ホームランが飛び出し「芸術だ」と絶賛されるほどの完璧な一発を放った坂本勇人選手。
翌日にも豪快なホームランを放ちました。誰もが一度は憧れる人気球団の巨人から6億を超える年俸の評価をされているのは、一流選手の証。多くの野球ファンから最も強い指示を集める人気選手と言っても過言ではないでしょう。今回は、そんな巨人でキャプテンとして大活躍する坂本勇人選手にスポットを当ててお話します。

目次
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凄まじいポテンシャル
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頑固さがメンタルの原動力
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好奇心の旺盛さが伸びる秘訣
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今後の坂本勇人選手にも期待
凄まじいポテンシャル
「ディフェンスが素晴らしい。その上で一、二番を務められる打力と技術もあり完璧なプレーヤー」とマリナーズ所属のメジャーリーガー、ハニガー選手から称され、同じくマリナーズのジェリー・ディポトGMからも「凄まじいポテンシャルの持ち主」と絶賛される坂本勇人選手。
兵庫県伊丹市出身の坂本勇人選手は、1988年生まれ。左利きだった坂本選手は、兄のお下がりのグローブを渡され母が「そういえばあの子は左利きだった」と気づき、新しいものを用意しようとふと見た時には、すでに使いこなしていたというエピソードがあります。
小学校の頃は、両打ちの両打ちのスイッチヒッターだったことからその器用さは幼少期から健在だったのでしょう。今でもペンや箸は左手で持ちますが、現在は右打ち。同級生にはT-岡田選手、前田健太選手、田中将大投手がいます。小学校1年生で野球を始めた坂本勇人選手は、元々はピッチャーで当時バッテリーを組んでいたのは、この頃キャッチャーだった田中将大投手。
今となってみれば本当に豪華なバッテリーです。その後、名門である八戸の光星学院高校に進むと1年の秋からショートのポジションでレギュラーの座を掴み、春の選抜甲子園にも出場。高校通算39本のホームランが評価され、高校生ドラフトの一巡目に巨人から指名を受けた坂本勇人選手。
2軍でスタートし、一軍に昇格後も経験をどんどん積み上げ4年目には巨人から1億円プレーヤーという評価を受けた坂本勇人選手。戦後最年少である26歳で主将を任され、巨人に欠くことができない唯一無二の選手である坂本勇人選手のポテンシャルは、未だに誰も計り兼ねない凄まじいものなのです。
頑固さがメンタルの原動力
坂本勇人選手の凄さは「とにかく試合に出続けている」ことです。レギュラーとして試合に出続ける体力は、まず何より大事なことです。この体力というものは何もストイックなトレーニングのみで作られるものではなく、食事などの節制なども影響してきます。これは、巨人の先輩である阿部慎之助コーチより教わったことだそうです。
爽やかな笑顔で多くのファンからイケメンと評判が高いですが、ウチに秘めた心は「自分の信じるものにしか耳を貸さない」という頑固さがある坂本勇人選手。
「耳を貸さない」と言っても全く話を聞かないというわけではありません。「たくさんの人の話を聞いて自分に必要なことを実践する」一見当たり前のように思いますが、この”実践すること”が、ストイックな人間でないと実は最も難しいのです。
「自分で考えて”これは”というものしか吸収しない。だからぶれない。」強い信念を持つ坂本勇人選手。これが多少のスランプはあっても大きく崩れることがない坂本勇人選手のメンタルの原動力なのでしょう。
好奇心の旺盛さが伸びる秘訣
「伸びる選手が考えていることは、多くの疑問」なぜうまくいかないのか「あの選手はどうして(自分にできないことが)できるのか?」と理由を考え、分からなければ聞きに行こうとします。
このような選手の代表が、坂本勇人選手だったと元巨人の代走スペシャリストである鈴木尚広氏は話します。後輩が先輩にアドバイスを求めることは、何気ない普通のことのように感じます。しかし、坂本選手のようなタイプは稀であり多くの人は「鈴木さんは特別」「鈴木さんだからできる」と考えてそこで終わらせてしまうのだそうです。
最初から決めつけてしまうと疑問も湧いてきません。伸びる選手でなければ、疑問に思ったりヒントを教えてもらおうとは考えつかないのです。2軍から抜け出せない選手についても鈴木尚広氏は「いつも群れて和気あいあいと楽しそうにしている」と話します。きっと集団に身を投じているだけで精一杯やった気になってしまうのでしょう。
しかし一流の選手は、自分に足りないもの、必要なものを考え身につけるために1人でも納得のいくまで練習します。そのため孤独なことにも慣れているのです。坂本選手もそのタイプだと先輩である鈴木尚広氏に名前を挙げてもらえるほどなので、かなりの練習量を積んできたのでしょう。
そんな坂本勇人選手は、今でも鈴木尚広氏に会うと「何かアドバイスくださいよ」と聞いてくるそうです。しかし、名実共に一流選手となった坂本勇人選手にできるアドバイスはもうないと言います。すでに素晴らしい選手でありながらさらに高みを目指す、まだまだ伸びたいという旺盛な好奇心。これが坂本勇人選手の強さの秘訣なのでしょう。
今後の坂本勇人選手にも期待
2020年に31歳10ヶ月の最年少で史上53人目となる2,000本安打を達成した坂本勇人選手。30半ばという年齢から3,000本安打への期待もしてしまいます。レギュラーになったプロ2年目から13年間で1年の平均として約160本のヒットを打っている坂本勇人選手。そのペースで打ち続けると単純計算で38歳くらいには、3,000本安打を達成できる計算です。
もちろんペースは、年々落ちてくるでしょう。しかし、メジャーリーガーであるハニガー選手も絶賛するように、守備の面でもショートというポジションで重労働がかかっている坂本選手。
2021年に鳥谷敬氏が持つ「遊撃手通算最多出場記録」の1,778試合を更新した坂本勇人選手は、生涯ショートのポジションで出場したい思いもあるかもしれません。
しかし、次期ショートの後継者が巨人に現れれば、もっと大きな偉業を視野に入れ、さらなるバッティング向上に集中できるようになる坂本勇人選手。サードくらいで試合に出続ける事ができれば、3,000本安打というのも夢ではなくなるのです。イチロー氏が持つ日米通算4,367本の世界記録は到底破れるものではないでしょう。しかし、張本勲氏が持つ日本野球界の歴代最多安打3,085本安打ならまだ追い抜く可能性は十分あります。
そんな坂本勇人選手は、チャリティーTシャツをデザインし、その売り上げを日本赤十字社に寄付しています。そして、東京ドームに「坂本勇人赤十字シート」を用意し、児童養護施設の子供たちを招待するなど兼ね揃えている素晴らしい人間性。今後も野球での活躍はもちろんのこと、素敵な坂本勇人選手の活動も楽しみにしています。
【このコラムの著者】