最強の縁と向上心で育成から一流投手へ、千賀滉大投手
目次
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千賀滉大投手を作り出した”最強の縁”
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腹筋1000回ノルマをこなした”メンタルの強さ”
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豪華メンバーの自主トレが”向上心の原点”
千賀滉大選手を作り出した”最強の縁”
愛知県蒲郡市出身の千賀滉大投手。岩城滉一さんのファンであった父の影響で少し珍しい”滉”という字が名前に入りました。野球を始めたのは小学校2年生の時で”三谷東若葉”という少年野球チームがスタート。4年生から”北部サニーボーイズ”、中学でも硬式野球部に所属し、三塁手としてプレーしました。
愛知県立蒲郡高等学校へ進学後も経験がある内野手へのポジションを希望したそうですが、千賀滉大投手のキャッチボールをする姿を見た監督が「ボールの伸びが野手の球ではなかった。これは投手の球だなと思った」とピッチャーへの転向を打診し、1年の夏から投手として公式戦に登板します。
2年生からエースへ定着するも甲子園出場は果たせませんでした。しかし、育成ドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスからの4位指名を受けた千賀滉大投手。愛知県名古屋市内で”アマチュア野球に詳しい”と言われるほど地元では有名な西正ベースボールショップ経営者の西川正二氏からのススメでプロのスカウトから声が掛かったのでした。
思いがけない縁からプロ野球選手となった千賀滉大選手は、3年目にプロ初ホールド、初勝利を挙げると27登板試合連続無失点を記録。初出場となったオールスターゲームでは、2イニング無失点と4者連続を含む5奪三振で敢闘勝利賞を受賞しました。
5年目には、ポストシーズン”ジョーカー”として様々な場面で器用されCSや日本シリーズでも大活躍。6年目にプロ初完封勝利の後に開幕8連勝でシーズン10勝を挙げ、”NPBの育成ドラフト出身投手のオール先発によるシーズン10勝”そして”パ・リーグ育成ドラフト出身によるシーズン10勝”さらには”NPBの育成ドラフト出身投手による一軍公式戦でのシーズン最多勝利”など育成出身選手として史上初の様々な記録を作り出しました。
蒲郡高校時代も無名に近い選手がプロ野球のスカウトから見出されたという”最強の縁”から千賀滉大投手のプロ野球人生は始まっていったのです。
腹筋1000回のノルマをこなした”メンタルの強さ”
144キロの球速がスカウトに評価されながら「それはたまたま。基本は130キロ台だった」と話す千賀滉大投手。プロとなったルーキーイヤーには、当時3軍担当だったコーチから体の”基礎づくり”を厳しく叩きこまれた千賀滉大投手。様々なトレーニングの中でも最も印象に残っているのが、”一日1000回の腹筋ノルマ”だったそうです。
腹筋ノルマ100回くらいならどのアスリートのルーティーンにも含まれていたりしますが、1000回というのは桁違いの量。三軍の試合の真っ最中でも廊下にマットを敷いて同期入団の選手たちとひたすら腹筋しないと一日で終わらないくらいの量なのです。
しかし「背筋はランニングやスクワットでつくけど腹筋は鍛えないとつかない」と腹筋の重要性を理解していた千賀滉大投手。遠征中にもホテルに戻ってから深夜に及ぶまで廊下で腹筋をしていたそうです。
すると3ヶ月後、久しぶりにキャッチボールをした際に「相手に届くまでのスピードが明らかに速くなっている」と感じ、腹筋の成果に驚いたといいます。そして、スピードガンには150キロ台の数字が現れるようになったのでした。
球が速いだけでは一軍で投げる機会もないままプロ野球界を退く選手も数多いなか、一軍デビューを迎えることができたのも強運の持ち主であることを感じます。強いメンタルで厳しい腹筋ノルマをこなし、投手としての "体の基礎”を作り上げた千賀滉大投手。
育成ドラフト4位で入団した選手から一軍投手へそして優勝に貢献する投手へと成長していった姿は、”甲子園に出場していなくても、ドラフトで上位指名されなくてもプロで成功できる”ということを証明したのです。
豪華メンバーの自主トレが”向上心の原点”
育成選手だったルーキーイヤーから毎年欠かさず行っているルーティーンの一つが、アスリートコンサルタントの鴻江寿治氏が主催する自主トレ合宿への参加でした。
彼が推奨するのは、独自の骨幹理論により”うで体”と言われる猫背タイプと”あし体”と言われる反り腰タイプの2種類に分けてそれぞれの体の特徴を見極めた動作法です。
鴻江寿治氏との出会いも現在京都大学の監督を務める近田怜王氏からのお誘いの”縁”でした。当時ルーキーだった千賀滉大投手を一番可愛がってくれていたチームの先輩が近田怜王氏で一緒に参加しないかと誘いを受けたそうです。
「中日の吉見(一起)さんも来るらしい」とも伝え、同じ愛知県出身の吉見一起投手が来ることに大喜びし、驚いたのは、この合宿に中日のチェン投手や大野雄大投手、広島の安部友裕選手そして女子ソフトボールの上田由紀子投手も参加していたことでした。
鴻江寿治氏が感じた第一印象は「3球ほど見ただけで惹きつけられた。育成出身でも世界に通用する」というもので千賀滉大投手にもそのことを伝えたそうです。
高めの球は威力ありながらも低めの球は伸びずにコントロールが定まっていなかったため、改善ポイントをアドバイスしました。制球力を向上させるために必要だったのは”一本のライン”を作ることで、その軌道上にボールを通せばコントロールの安定が望めるというのが鴻江寿治氏の導き出した理論からの答えでした。
「投げに行く前に左足の外側を捕手に見せる。そこに自分の目があると思って、その部分で捕手のミットを見るつもりで投げてごらん」と一言。この鴻江寿治氏の言葉がコントロールを安定させ、低めのボールでも伸びが出て”投手としての基礎”が作られたのです。
現在でも参加する豪華メンバーが名を連ねるこの自主トレには、巨人の菅野智之投手なども参加しています。実践でも経験を積み、驚くほどの速さで成長を遂げていった千賀滉大投手。”向上心の塊”とも称されるプロアスリートにとって欠かすことのできない”原点”となったのです。
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