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ハーフだからこその苦悩

 

 

今日はハーフアスリートについてお話ししたいと思います。ハーフとは、自分の父親、もしくは母親が日本人ではない親御から生まれた子をハーフと言います。ハーフアスリートといえば、大坂なおみちゃんや、ケンブリッジ飛鳥くん、鈴木武蔵くん、さらにはバスケットボールの八村塁くんでしたり、日本には沢山のハーフのアスリートが増えました。海外では当たり前ですが、日本でもハーフの人が身近に感じやすいケースが増えてきたと思います。同時にハーフだからこその悩みも。そんなハーフアスリートの悩みに答える記事を綴りました。
  1. ハーフだからこそ悩みを体験した10代
  2. 心の拠り所をどう作っていくか
  3. ハーフだからこその強みに目を向ける

 

 

ハーフだからこその悩みを体験した10代

 

私が小学生だった頃、ハーフと周りに伝えるとすごく異質の存在として扱われたイメージが鮮明に残っています。私自身はフィリピン人の母親を持つハーフでした。ハーフを元にいじめられたり、ハブられたり、そういう経験があります。日本人なのに日本人として扱ってもらえない、日本人なんだけれどもなんか日本人じゃない感覚をずっと持ってました。

 

特に印象的だったのが保護者会があった次の日。日本語がままらない母親が参加したことで「お前のお母さんは外人なんだな」と言われるのが堪らなく嫌でした。みんなと同じでいたい。普通じゃないことにとってもコンプレックスを持ちました。なので、20歳になる頃まで沖縄生まれと嘘をついたこともありました。

 

過去は変えられないし、生まれや、ハーフであることも変えられません。10代という多感な時期に孤立感や孤独感を強烈に抱いていたので、なかなか信頼できる友達も当然できませんでした。友達の数は少なく、その代わり心を許せる人とは心底気があう友達になりやすかったのです。そう言った経験が、今のスポーツメンタルコーチ像を作ったのは無理もありません。

 

心の拠り所をどう作っていくか

私が大人になり、スポーツメンタルコーチとして活動するとハーフのことで悩む選手が後を経たない現実がありました。肌の色、髪の毛、目の色、言語などなど。差別をいまだに感じている人は多いのです。

 

それ以外にも、日本に住んでこなかったんだけれども日本の国籍を持っているから日本の試合に出れることを僻まれたりします。そういう方からのお問い合わせやメンタルコーチングの依頼もあります。そう言った選手にとって「心の拠り所をどう作っていくか?」がとても大事になります。

 

そこで私がハーフアスリートのメンタル面を支えるために意識にしていることが3つあります。

 

競技を続けたい理由を明確にする

まず1つ目は、「アスリートとしてなぜその競技を続けているのか?」「どうしてその競技で結果を残したいのか?」競技を続けることを明確にするということを大事にしています。

 

先ほどもお伝えした通り、ハーフの選手ほど自分自身のアイデンティティがないことに苦しみを覚えます。海外だとそもそもハーフが普通なので違っていて当然だと思われるので気にしないのですが、日本に身を置くと自分自身がどう振る舞っていいかを見失ってしまうのです。その最中で、いじめを受けたり、馬鹿にされる経験をしメンタル面が病んでしまう事例が増えている現実があります。

 

しかし、アスリートだからこその気持ちがその際に芽生えます。その典型が、「バカにしたやつを見返してやる」という反骨心です。この反骨心は決して悪いものではないんですが、反骨心があるがゆえに、自分自身がスポーツを続けたい動機を見失ってしまうのです。さらには、その動機が他人の評価を変えようとするということにつながってしまうことがあります。

 

心理学ではこのようにモチベーションの動機づけを外発的動機といいます。この外発的動機が強くなればなるほど、モチベーションの起伏が激しくなってしまうことがわかっています。なので、そういった動機で競技を続けるのではなく、純粋に始めた時にどうしてこの競技を続けたいのか、外発的動機の反意語に当たる内発的動機を高めていくために、競技を続ける目的を明確にするということを大事にしています。

 

日本を理解する

2つ目は、日本という国を理解することです。それは、いい面もあれば悪い面の両面を見ることを意味します。日本という国は島国だとよく言われます。いろんな伝統や文化が今なお残っています。その中でも日本人の奥底に眠っている思想や気質があります。その中でも典型的なのが「武士道」です。この武士道的な考え方を理解することが、日本人を理解する上でとても重要になってきます。

 

その理由として、普段接しているまわりの日本人の人たちを理解しようとするのではなく、日本という国の全体像で見てほしいのです。「日本人ってこうだよね」という全体像で見てもらえると、普段付き合っている人たちとの接し方というのが変わってきます。武士道を学んでいくと、いろんな気づきや相手を思いやる気持ちが自然と芽生えてくるんじゃないかなと思います。郷に行ったら剛に従えという言葉があるくらいなので、私たちはハーフであるからこそ、客観的に見る視野が欲しいのです。

 

私がこの視点を持てるようになったのは20歳の頃にイギリスに住み始めた経験が大きいです。海外の人に、よく日本人って礼儀正しいよね?って言われたり、日本の文化はとてもいいよね!って言われました。なのに、私は日本の文化や歴史をそれほど詳しくなかったのです。日本人をちょっと差別的に思っていた自分からしたらカルチャーショックだったのです。日本っていい国だし、日本で育ったことをもっと誇りに思ってもいいと思ったのです。そして、ハーフだからこそ見えてきた日本人としての素晴らしをもっと学びたいと思ったのです。

 

こう言った過程を通じて、初めて私自身がハーフであったことを受け入れることができました。

 

ハーフの知り合いを作る

そして最後の3つ目が、できる限りハーフの知り合いを作っておくということになります。やはりハーフの選手というのは孤独なんです。自分の気持ちを理解してくれる人がまわりになかなかいないという経験を、人の何倍もしてきていると思います。その孤独を払拭するためにも、ハーフの人同士で仲良くするというのがいちばん手っ取り早いです。それは同一競技に限らず、競技を超えて、ハーフが故の悩みをしっかりとハーフ同士で共有してもらえるのがいいと思っています。

 

私自身もハーフのことですごく悩んだんですけれども、結果的に巡り巡って考えると、ハーフでよかったなと思えることが多々あります。ただ、そう思えるのに当然時間がかかったわけなんです。時間が掛かるからこそ、時間を掛けてゆっくりと自分を確立してけばいいのです。無理して日本人に染まったり、仲良くしようと思わなくていいのです。

 

その中でも私自身が強く感じたのが、いろんな文化を知るきっかけになったということなんです。私自身はフィリピン人とのハーフですがイギリスで生まれました。イギリスで生まれたから、イギリスに興味を持つようにもなりました。フィリピンの血が混じっているので、フィリピン人を理解しようと思いました。当然日本人なので、日本の文化も理解しようと思いました。なので、どこにでもある話ではないんですが、自分自身が日本人なんだけれども日本人じゃない部分もある。それが巡り巡って、自由自在にいろんな国に行き来できるような、そんなメンタリティが持てている自分がいます。1つに寄り掛かってないので、本当の意味で心が自由なのです。

 

「日本人だから」という考え方にもとらわれず、世界的な、グローバルな考え方を持つことができるのは、ハーフだからこその強みなんだと思っています。だからこそ、今はまだハーフであることをなかなか受け入れられない方もいるかもしれませんが、ゆくゆくは受け入れられる自分になると思いますので、そんな自分になれる過程をぜひ楽しんでみてください。もし、興味があれば体験コーチングでお会いできることを楽しみにしてます。

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プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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