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 プロメンタルコーチが解説。渋野日向子が全英オープンで勝てた理由

渋野日向子プロ、全英オープン優勝が日本スポーツ界の在り方を変える

 記憶に新しい42年振りの優勝を果たした渋野日向子選手。陸上競技の選手であったご両親を持つアスリート一家の元、ソフトボールで鍛え上げられたパワーと精神力も紹介されます。そして何よりも笑顔と駄菓子によって多くのアスリートの常識を破壊してくれたと思います。
 そんな新人類とまで言わしめた渋野さんの強さの秘密についてスポーツメンタルコーチ目線でご紹介できればと思います。

写真引用・スポーツナビ

 

目次

1、変わろうとしているスポーツ界の現状を見つめ直す
2、渋野さんの勝利はスポーツ界を変えるキッカケになる
3、非常識が必ず常識になる時が来る
4、笑顔と駄菓子の効果について
5、

変わろうとしているスポーツ界の現状を見つめ直す

 まず、一つだけ言いたいのは「ゴルフ界の常識」であったり「スポーツ界の常識」が覆るような世の中になりつつあるということです。

 例えば、ダルビッシュ選手がTwitter上で張本氏のコーナーを揶揄したことから高校野球の在り方が問われる自体に。毎年、この時期になると必ずと言っていいほど高校生の球数問題が起きるなかで指導者だけでなく協会や大会を運営する側の姿勢が問われています。
 

 それ以外にも指導者による体罰問題で広島の緒方監督、香川ファイブアローズの衛藤晃平ヘッドコーチが1年間の公式試合に関わる全職務の停止など、指導者と選手の関係性も未だに年にメディアで紹介されるほどの問題が起きています。
 

 そういった背景からまだまだスポーツ界の常識は変化しようとしている幕開けであって、根本的に何かが改善されていない状況を物語っています。変わろうとするのではなく、周りからの声によって変えざるおえないような状態に追い込まれて初めて変化していく世界でしかないと言わざるおえません。
 

 つまり、問題があって初めて調査が起き、問題があって初めて問題として捉えるのが現状です。このような思考サイクルでは日本のスポーツ界は世界においていかれる一方です。勝つために変わるべきなのは選手だけえなく、協会や運営など、長年、競技に携わってきた方々のマインドセットが必要不可欠です。

渋野さんの勝利はスポーツ界を変えるキッカケになる

 渋野さんの優勝がどれだけ大きいことか?それは単に42年分に全英オープンを制したことに留まらずスポーツ界を大きく変える歴史的一歩になったとスポーツメンタルコーチの鈴木颯人は思うのです。その一つに、スポーツ界の常識が大きく覆る出来事があったからです。それこそが、「競技中の振る舞い」になります。
 

 私たちは無意識に試合で勝つための方程式を求めたがります。その方が再現性を高めていくことが出来るからです。スポーツはある種、再現性を常に追い求める競技であるのです。
 

 再現性を高めるためにどうしたらいいか?つまり、結果を出し続けるためにどうしたらいいか?を考え抜くことで栄光を勝ち取るのです。となると、それぞれの指導者が独自の方程式を持っています。
 

 その多くが自分自身の経験によって導き出された根拠があるようであやふや理由で方程式が出来上がっています。この指導者の独自の方程式こそが日本スポーツ界が世界に遅れをとる理由になっています。

 

 つまり、多くの指導者は持論を展開しすぎており、科学的に再現性が高い理由を追求していないことを意味します。裏を返せば、自分の方程式が正しいというのを証明するために20年、30年と指導者を続けていくわけです。

 

 しかし、それだけの年数を続けられる人は稀であって結果を残せない指導者は圧倒的に淘汰されていく世界でもあります。その中でも、誤った方程式を持っていても結果を残し続ける人がいます。それはなぜでしょうか?それは、その指導者を良しとする人もいる世の中でもあるということです。間違ったことはNoと言えない、もしくは、間違っているけどそれを正しいと思い込むバイアスが掛かっているのです。

 

 これこそが非常に怖い指導者という教祖を作り上げる原因でもあります。しかし、そういった指導者が淘汰される一つのキッカケこそが今回の渋野さんの劇的な優勝劇なのです。

 

非常識が必ず常識になる時が来る

 「歯を見せてはいけない」つまり競技中に笑顔になってはいけないと指導者に怒られた世代がありました。それ以外には「水を飲むな」と呼ばれていた時代もあります。今では考えられませんよね。では、なぜこのように常識が覆ってきたのでしょうか?その一つに科学の進歩になります。

 

 今、若い世代の指導者の台頭が起きています。2019年夏の東東京大会を制したのは当時29歳の尾崎監督でした。一昔前であればちょっと考えられないことが高校野球では起きている訳です。それ以外にも、愛知県代表になった誉高校の監督は普段は電気屋さんでした。立命館宇治の里井監督はパン屋さんでした。
 

 教員が必ずしも指導者とは限らない。指導者は教員ではなくてもいいのです。私は、チーム競技において最も大事なのはチームワークです。このチームワークであったり人のモチベーションを上げていかないと事業が成り立たないような世界での経験がある経営者こそが高校野球の指導者になり結果を示したことも大きな革新が起きていると思っています。そういう指導者であれば、「笑顔を大事にしよう!」と言えるでしょうし、「休憩中に駄菓子」だって許せる器は持っているはずです。

 

 常識で言えば、あの笑顔と駄菓子を注意する人がいても可笑しくなかったからです。しかし、それすら注意せずに渋野さんはここにきて素晴らしい結果を残してきたわけです。これは偶然だったのか?それとも、笑顔と駄菓子の効果を知っている人がいたのでしょうか?

 何れにせよ、大きなことを成し遂げるときに、その理由や秘密というのは我々たの一般的な常識の外に答えがあるものです。

笑顔と駄菓子の効果について

 ここで改めて笑顔と駄菓子の効果をお伝えできればと思います。笑顔については、表情筋に刺激を与えることで副交感神経が優位になると言われます。副交感神経が優位になると一般的にリラックス効果が見込めると言われています。また肩の筋肉も微妙に緩むのでゴルフにおいて正確無比なショットに大きく影響が出るでしょう。

 もう一つの駄菓子ですが、駄菓子自体は添加物が多いのであまりオススメできません。しかし、今回の渋谷さんが食べていたのは噛む力必要とするようなお菓子ばかりでした。それほど硬くないですが、よく噛むことで味が出るような物ばかりでした。

 このように噛むという咀嚼運動を通じて科学的にリラック効果が見込めると言われています。噛むことで脳の司令塔と呼ばれる前頭前野も活性かされて冷静さもてにいれていたと思われます。笑顔と噛む効果は非常に効果的なのです。しかし、今までのスポーツ界の常識で捉えると許される行為ではなかったのです。

スポーツの在り方が変わる瞬間

 常識が非常識になり、常識が非常識になるのは渋野さんのような勝利が非常にインパクトが強いです。だとしても、最初は少数派であり、マイノリティーが力を手に入れるためにはその少数派を増やしていく活動が非常に意味をなしていきます。
 
 私も今こうしてスポーツメンタルコーチとして活躍できてますが10年前に比べて大きく世間の見方が変わってきています。その際にTwitterを通じてメンタル面の重要性をずっと訴え続けてきたからこそ今があると思っています。
 
 それと同時に多くのトップアスリートから賛同を頂けたことが何よりも大きいのかなと思います。今は昔のように根性論では勝てなくなってきている世界です。その世界を変えるためにこれからも科学的な話をもっと交えたいと思って本を書いたり、セミナーを通じて伝えてます。
 
 そして、科学的にも正しい理由で勝てた選手のサポートを通じて日本スポーツ界が世界でも勝てるように、そして1人でも多くのアスリートの未来がより切り開けるように頑張ります。
 
 より多くの競技でアップデートが起こることを祈ります。
 

【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

 プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから
 

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