負けん気が強い「和製トラウト」鈴木誠也選手
目次
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リアル”巨人の星”と例えられた鈴木誠也選手
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”負けん気の強さ”で養われたメンタル
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海を渡っても”神ってる”
リアル”巨人の星”と例えられた鈴木誠也選手
東京都荒川区生まれで生粋の江戸っ子である鈴木誠也選手。野球を始めたのは小学校2年生の頃でした。1歳でプラスチックのバットを握りゴムのボールを打っていたそうです。「勉強するなら走ってこい。お前は野球で食べていくんだ」と教えたのは父、宗人さん。中学の時の通知表は、体育と社会以外の7教科全てがオール1だったそうです。明けても暮れても小学校の頃から野球漬けの日々でした。
特注で作った鉄のバットでゴルフボールを打つという独特な練習法を編み出した父、宗人さん。この過酷な練習を実践していた当時小学生である鈴木誠也選手は、百発百中で打ち返せていたということに驚きます。まさに漫画「巨人の星」と言っても過言ではありません。
主人公の星一徹、飛雄馬親子が暮らしていたのも荒川区という設定でした。そのため、小学校5年生の時の鈴木親子を「平成の星親子」と例え、トスバッティングをしていた実際の映像なども交えてテレビ放送されました。
ちなみに、父方の祖父もプロボーラーとして全日本ボウリング協会でパーフェクトを達成した記録を持つアスリートでした。その類まれなる運動神経は、孫である鈴木誠也選手にも引き継がれているようです。
二松学舎大学附属高校へ進学し、1年の秋からエースピッチャーとなった鈴木誠也選手。2年生の夏、東京大会では準決勝で関東一高に敗れました。そして、3年生の夏も準決勝で成立学園高校に敗れ2年連続ベスト4止まり。甲子園出場の切符を掴むことはできませんでした。
しかし、エースピッチャーとして最速148キロのストレートを記録、バッターとしても高校通算43本塁打、一塁手として試合に出た時の守備なども評価された鈴木誠也選手はスカウトの目に止まり、2012年のドラフト会議で2位指名を受け広島カープに入団しました。選んだ背番号は「51」。同じ苗字であり、幼い頃から憧れたイチロー選手と同じ番号だったからだそうです。
”負けん気の強さ”で養われたメンタル
2016年から2018年に3年連続でリーグ優勝した広島カープ。球団初となる3連覇の立役者となり「神ってる」という言葉で一世を風靡した鈴木誠也選手でした。しかし、意外にも「あまりこの言葉は好きではない」と言います。
神頼みから”まぐれ”のように思えるそうで「まぐれではなく実力だと思われたい」そのためには、また頑張っていくと話す姿から感じるのは、優勝した選手とは思えないほどの飽くなき執念を感じます。まだ足りない”今後もさらに上を目指すぞ”という鈴木誠也選手の強い決意でした。
広島は「量で質を作る」という考え方で練習が厳しいと言われる球団です。多くの野球関係者は、鈴木誠也選手の練習量がさらに豊富であると証言します。そして、最も印象的なのは「凄まじいほどの目力」だと話すのは、鈴木誠也選手が入団当時に二軍監督を務めていた名打撃コーチである内田順三氏です。
当時甲子園に出場経験もない鈴木誠也選手は、言わば無名の選手でしたが、守備や脚力も十分プロで通用できるほどの走攻守の三拍子が揃った選手でした。肩も強いので外野としてなら即戦力に近いと評価されていました。一度は内野手として起用するも定着したのは、やはり持ち前の強肩が最大限に活きる外野で実力を発揮しました。
しかし、鈴木誠也選手の一番の武器は、メンタルの強さなのかもしれません。内田順三氏は、相手の目をじーっと見て話を聞く鈴木誠也選手の目力を見て強いハートとメンタルを持っていることを感じたそうです。実際、叱られても「なにくそ」という思いが伝わる鈴木誠也選手の強い姿勢はプレーにも活きているのです。
そして、シーズンオフでもジム通いしパワーをつけることを率先して始めたのは、広島時代の金本知憲氏の影響でした。この偉大なる選手の背中を見てきた広島カープの後輩たちは、それを広島の伝統として引き継ぐかのようにシーズンオフにも血の滲むような努力をしています。
鈴木誠也選手もウェイトトレーニングをしたことで技術にパワーが伴い、打撃スピードが上がってホームランになるようになったと言います。2021年シーズンにアメリカで大活躍しワクワクさせてくれた大谷選手のような飛距離、パフォーマンスは厳しいかもしれないと話す内田順三氏。「鈴木誠也選手は広角打つことも可能なことからチャンスメイクができる」「打つだけでなく、強肩で体も強い」メジャーでも良い成績を残す実力は十分だと語っています。
あと必要なものは、実際日本にやってくる外国人選手と同じく現地の環境に適応することです。言葉や食事などの生活面はもちろん、チームに溶け込むこと、きっと鈴木誠也選手の”負けん気の強さ”というメンタルがあれば問題ないと思います。日本で養ったメンタルの強さを武器に”侍JAPANの不動の4番”の快進撃が期待できます。
海を渡っても”神ってる”
ベストナインを6年連続で受賞、オールスターに5回連続出場。WBC、プレミア12、東京オリンピックでは4番バッターを務めた鈴木誠也選手は、まさに名実ともに日本を代表する4番バッターに成長しました。王貞治氏、落合博満氏に次ぐ日本野球界史上3人目となる6年連続3割25本を記録。
守備でもゴールデングラブ賞を5回受賞、その強肩は特に評価が高く最強捕殺を3度記録した鈴木誠也選手は、数えきれないほどの功績を残しました。そして、今シーズンから始まった鈴木誠也選手のメジャーでの新たな挑戦。メジャーデビュー4試合で、打率は4.17、本塁打は3とリーグでトップタイ、打点は8と2位の成績を残しました。
3本のホームランですが、2本は二打席連続で放ったもの。「本当に嬉しい。本塁打はたまたま。」と謙虚に話した鈴木誠也選手は、海を渡ってもまさに”神ってる”と言わんばかりの活躍ぶりでした。
そんな鈴木誠也選手には”己を貫く”という強い信念があります。「適応とか気にしていない。メジャーでも日本でも関係ない」とぶれない思いが強いのです。広島ではイチロー氏に憧れ51番を選んだ背番号。
カブスでは27番を選んだ鈴木誠也選手。この番号は、敬愛するエンゼルスのトラウト選手の背番号です。鍛えられた大きな背中から放たれる「世界一の選手」のオーラに憧れているそうです。この背番号の選び方でも全くぶれていない鈴木誠也選手なのです。
スポーツメンタルコーチとして選手の様々な価値観に触れることがあります。選手が大事にしている価値観が良くも悪くも結果につながっていくのです。その価値観の中でも、己を貫くことであり、具体的にどんなことを貫きたいと思っているのか?とても興味深いところではあります。
入団会見で「マイク・トラウト、アイラブユー」と告白し爆笑し笑いを取ったせず規制や選手でしたが、ジョークではなく本当に「ここで一番の選手になりたいという思いを持って日本でも取り組んでいた」と話しました。
感じるのは、夢の舞台でも関係なく負けん気の強さで「やってやろう」という強い心。SNSでは早くも「和製トラウト」との賞賛もありますが「まだ4試合。あと160試合近くある」と話す鈴木誠也選手は、最後まで飽くなき執念で取り組むのでしょう。怪我だけはせず、このシーズンが終わった時に幸せそうな笑顔が見たいものです。
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