身体か、身体以外かで使い分けたい”内的な意識と外的な意識”
目次
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体に焦点を当てる”内的な意識”
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体以外に焦点を当てる”外的な意識”
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違いを知って使い分けたい”2つのフォーカス”
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実践方法と結果のフィードバック
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スポーツ動作やテストなどの”具体的な応用”
体に焦点を当てる”内的な意識”
焦点やピントという意味を表すフォーカス。いわゆる”注意を向ける先”とも言えるものです。簡単に言えば”どこに注意を向けているのか”ということです。成果を出す考え方の一つとしてどこにフォーカスを向けているのかを重要視します。
逆に言えば、フォーカスされないのならどれだけの時間をかけても気づかれもしないのです。見ようとしない限り、一生見えません。このフォーカス(注意の向け方)が学習段階や家庭における運動の学習効果に多大な影響を与えることが報告されています。
一般的には、エクスターナル・フォーカス(外的な意識)の方が学習効果が長期間持続します。この重要な”注意”を向ける先となるフォーカス。大きく分けて2つに分類されます。まず1つ目に”身体への注意”となるインターナル・フォーカス(内的な意識)です。
運動時に自分の体の一部に焦点を持っていくこと。自分の体の中でも主に関節の動きを意識することを心掛けます。この内的な意識の特徴は、一つの動作に集中しやすいことで動作の改善や技術の体得したい場合に優れているとも言われます。
例えば、スクワットを行う際にお尻あたりに力を入れるように意識します。またダンベルをあげるトレーニングでは、ダンベルをあげるために自身の筋肉に焦点を持っていくこと。それが内的な意識=インターナル・フォーカスなのです。
体以外に焦点を当てる”外的な意識”
フォーカスのうちの2つ目が、”身体外部(外)への注意”となるエクスターナル・フォーカス(外的な意識)です。インターナル・フォーカスとは逆で運動時に自分の体以外に焦点を持っていくこと。
例えば、スクワットを行う際にバーが垂直に動くように意識します。バーという自分、自分の身体以外のことに焦点を持っていっている。またダンベルをあげるトレーニングでは、自身の筋肉ではなく、上げようとしているダンベルにフォーカツを当てることが重要です。
この外的意識によって多種の運動パフォーマンスが向上する研究成果が多くあります。元々高度な能力やパフォーマンスを持った人は、監督やコーチが言う外的な意識も内的な意識もパフォーマンスを低下させる可能性が高いことも指摘されています。
また、外的な意識によって筋電図(EMG)の活動が低下する傾向もあります。しかしながら、外的な意識によって筋持久力パフォーマンスが高まる可能性が高いとされているのです。
違いを知って使い分けたい”2つのフォーカス”
成長痛や学習能力の向上に違いが出るとされている2つのフォーカスの違い。インターナル・フォーカス(内的な意識)を使用している筋肉は、筋肉の肥大率を考える時に効果的だとされています。
これに対して外的な意識であるエクスターナル・フォーカスは、体以外(外側)に意識を向けることで連動した全体の動きを取り込みやすくなります。その結果パフォーマンス向上へとより近づけるようになるのです。
この2種類の違いを理解し、用途によって使い分けることが重要です。筋肉の肥大を目指したいのであれば、インターナル・フォーカス。スポーツを志す上でのパフォーマンス向上を目指したいのであれば、エクスターナル・フォーカス(内的な意識)を行うことが理想的です。
自分自身でありたいイメージをしっかりと持つこと。そして内的、外的な意識をしながらトレーニングを行うことこそが、アスリートにとって効率よくトレーニングを行うことができるのです。
実践方法と結果のフィードバック
実践する際に確認すべきなのは、2つのこと。
まず1つ目に”身体の一部を意識している”のか”です。そしてもう1つは、”身体以外(外)の結果を意識しているのか”。はっきりとわからなければ割合で考えても大丈夫です。何度やっても上手くいかないと感じた際には、身体の一部を意識している割合を増やしたり減らしたりで再度実践してみることをオススメします。
また良い結果を出せた際には、フィードバックすることも必要。ポイントなのは監督やセラピストなどの第三者に見てもらうことです。客観的なフィードバックを得ることができれば、自分の知らない自分に気づくことができます。
しかし結果をフィードバックしなければ、同じ失敗を何度も繰り返すことになります。『自分がどのような状況で練習しているのか』『第三者から見て自分がどのような状況なのか』を客観的に理解することが重要となります。こうすることで『他人は分かっているが、自分にはわからない』など不明箇所を見つけ出すことで可能性が無限大に広がるのです。
スポーツ動作やテストなど”具体的な応用”
具体的な研究結果としてご紹介するのは、まずバスケットのフリースロー。経験者を対象としたもので『リングに焦点を当てた側をエクスターナル・フォーカス(外的な意識)』そして『手首の動きに焦点を当てた側をインターナル・フォーカス(内的な意識)』として実践した結果、リングに『フォーカスを当てたエクスターナル・フォーカス(外的な意識)』の方がシュート成功率が高かったという結果が出ました。
2つ目にご紹介するのは、力こぶのトレーニングと称されるバイセプスカール。バーの動きを外的な意識であるエクスターナルフォーカスより筋そのものを捉えるインターナルフォーカス(内的な意識)の方が筋出力が高かったという結果が出ました。
そして3つ目にご紹介するのが『保持テストと転移テスト』。保持テスト、転移テスト共にエクスターナル・フォーカス(外的な意識)の方が”結果が良かったという結果が出ました。
保持テストの内容は、運動などの学習結果を確認するもので3日間練習して2日休んだ後に再度どれだけ適切な動作を実行できるのかをテストするというもの。もう一方の転移テストの内容は、スキルの難易度を上げた時の対応総力を確認するものです。両脚のスクワットから片脚スクワットに難易度を上げた時にどれだけ適切に実行できるかをテストするというものでした。
パフォーマンスやプレイにおける動作の習得や運動学習においては、エクスターナル・フォーカス(外的な意識)。筋肥大が目的であれば、インターナル・フォーカス(内的な意識)の方が良いということになります。トレーニングの目的によって意識し、より効果的なトレーニングの手助けとなるのです。
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