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過去の弱い自分と向き合いメンタルを克服!藤澤五月選手

アスリートの望む結果にメンタル面でサポートするスポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。北京ピックも折り返し、メダリスト達もいろんな競技で誕生しています。今回スポットを当ててお話しするのは、北京オリンピックで2大会連続のメダル獲得を目指すカーリング女子日本代表”ロコ・ソラーレ”です。2018年の平昌オリンピックでは、日本史上初となる銅メダルを獲得しました。

試合中に選手が口にする「そだねー」は流行語大賞に、ハーフタイムにスイーツを食べる姿は「もぐもぐタイム」と言われ、その愛らしさに誰もが夢中になりました。そんなロコ・ソラーレの中でも、一際注目を集めるのは、チーム司令塔、藤沢五月選手。今回はそんな藤澤さんについてスポーツメンタルコーチとしての視点でお話し出来ればと思います。

スポーツメンタルコーチ目次

  • 『天才スキップ』藤澤五月選手

  • メンタルで克服した弱点

  • 悪女の誘惑で掴んだ銅メダル

  • まだまだ笑顔が見たい北京オリンピック

 

『天才スキップ』藤澤五月選手

藤澤五月選手の出身は、チームのある北海道北見市です。カーリング選手だった父親の影響で、幼い頃からカーリング場が、遊び場だったそうです。5歳の時にカーリングを始めた藤澤五月選手は、すぐに頭角を現し「天才スキップ」と呼ばれます。

 

スキップとは戦略を立て他の選手に指示を出す司令塔。そして最後の2投(4番目)を投げるフォースという役割も担うチームの大黒柱です。「プレッシャーはありますが、勝った時はスキップやっていてよかったな」と思うのだそうです。

 

普段は、地元の保険代理店に勤める藤澤五月さん。しかし氷上では、日本最強のカーラーと世界から恐れられます。武器は超攻撃的なショットです。高校時代、日本ジュニア選手権で優勝し、世界ジュニア選手権にも出場。高校卒業後、カーリング部の創設選手として長野の中部電力に入社し、2011年から日本選手権を4連覇しました。

 

しかし、2013年ソチオリンピックをかけた日本代表決定戦で出場権を逃し、さらに5連覇をかけた日本選手権でも敗れます。2015年に中部電力からの移籍を決めます。チームを離れ、故郷の北見に帰った藤澤五月選手はマリリンの愛称で親しまれる本橋麻里選手に誘われます。

 

本橋さんが創設した『チーム北見』、後に一般法人化され名称変更される『ロコ・ソラーレ』に加入します。新たなチームでも司令塔を務め、チームと共に経験を重ね大きく成長をします。そして、2017年古巣の中部電力に勝利し、ついに自身初のオリンピック出場を決めました。

 

26歳で挑んだ2018年平昌オリンピックでは、日本史上初となる銅メダルを獲得。ロコ・ソラーレという名を知らない人でも、期間中に話題となった『もぐもぐタイム』や流行語大賞にもなった『そだねー』は、誰もが知る言葉です。

 

明るい笑顔でファンを魅了する藤澤五月選手ですが、その笑顔とは対照的で、とても”負けず嫌い”な性格だそうです。そして2つ上の姉、汐里さんの話は「妹のカバンを黙って借りた時、一生口きかないて泣きじゃくっていたのに、私のものは平気で使っていました。」という歳下の特権で甘えるマイペースな藤澤五月選手のエピソードもあります。

 

アスリートにとって大事な気質の1つに「負けず嫌い」があります。藤澤選手の良さでもあるこの「負けず嫌い」ですが、実は諸刃の剣でもあります。なぜならば、過度に相手を意識しすぎてしまい自分を見失しかねないからです。しかし、藤澤選手はそのバランスを上手に補っているように感じます。そのエピソードをご紹介します。

 

メンタルで克服した弱点

 高校卒業とともに長野の中部電力に入社した藤澤五月選手。故郷を離れ絶対的スキップとして日本選手権を4連覇するなど黄金時代を築きましたが、 その一方で、大事な場面で力を発揮することができないメンタルの弱さも指摘されてきました。

 

2013年日本代表決定戦は、大本命と言われながらも逃してしまったソチオリンピックへの切符。「私がチームを引っ張っていければよかったんですけれど、そこまでチームを支えれてなかった」と悔し涙を流し、敗戦の責任を背負いました。

 

この時の気持ちを藤澤五月選手は、「スキップっていうポジションだから、弱みは見せちゃいけない。頼られるポジションじゃなきゃいけないって思ってたので、自分ではメンタルが弱いってわかってるのに誰にも助けを求められなかった」と話しています。思い悩んでしまい結局は、チームを退団。”カーリングから離れたい”と考えたそうです。

 

そんな時に声をかけられたのが、マリリンの愛称で親しまれ、2006年トリノオリンピック7位、2010年バンクーバー8位として活躍したカーリング選手の本橋麻里選手です。底抜けに明るくカー娘ブームの火付け役となった大先輩です。「一緒にやりたいなって思いもあったので、さっちゃん一緒にやろう」「(北見市に)帰ってくりゃいいじゃん」と声をかけたそうです。

 

藤澤五月選手は「ちょっと自信も失いかけていた時だったので、自分を求めてくれている人もいるっていうことがすごく嬉しかった」と当時の気持ちを話しました。故郷北見市で新たなカーリング人生を歩み始めた藤沢五月。夢中で遊んでいた幼き頃のような笑顔が戻ったのです。

 

そして弱点克服のため、取り入れたのは、メンタルトレーニングでした。心の奥底にしまっていた過去の弱い自分と徹底的に向き合いました。

 

「弱みを見せられるようになりました」「故郷の仲間、いろんな経験をしている(本橋)マリちゃんもいれば、ソチオリンピックに出場した(吉田)知那美もいて頼っていいんだな、弱みを見せてもいいんだな』とメンタルトレーニングによって、強さを得ると同時に不要な力もフッと抜けたようです。

 

メンタルを克服したことにより、2016年世界選手権日本の銀メダル、そして念願の2017年平昌オリンピック出場を果たしたのです。

 

一般的には自分の弱さを人に見せることを禁じる傾向にあるのが日本のスポーツシーンです。しかし、本当に成長できる人はそんな弱みすら打ち明ける勇気をこころの奥底に持っています。それが、どのタイミングで垣間見れるかは、多くが逆境の時なのかもしれません。その際に、メンタル面をサポートしてくれる人がいるかどうかはとても大きなキッカケだったのかもしれません。

 

悪女の誘惑で掴んだ銅メダル

「チャレンジャーとして臨むつもりはなく、自分達も、トップチームの一つなんだという自信を持って戦いたい」とオリンピックへの強い気持ちを話した藤澤五月選手。

 

平昌オリンピックが行われた韓国では、ウェブサイトの検索ワードランキングにて『藤澤五月』が、2日連続で検索結果1位になるという社会現象が起きました。元々は、韓国の美人女優に似ていると話題になり『人形のようなルックス』『美女』などのコメントからです。

 

韓国内の新聞にも『男心を狙い撃ちした』選手として取り上げられるほどの大人気。準決勝で延長の末、その韓国に惜しくも敗れます。悔しいはずの敗北直後に、喜びを分かち合う韓国選手の和に駆け寄り、お互いの検討を讃える挨拶に来た行動が『心まで美しい』『真のスポーツ精神』とさらに賞賛を受けたのでした。

 

3位決定戦で銅メダルをかけて戦ったイギリス戦。藤澤五月選手のラストショットは『悪女の誘惑』と呼ばれたミスショットでした。最後の一投を残したミュアヘッドは、このまま同点で仕切り直しの延長戦という選択もできましたが『シンプルで簡単なショットを決めれば、あなたが3位です』と聞こえたかのように投じました。

 

イギリスの解説者も『ミュアヘッドなら100本中99本は決められるショットだ』と解説していた一投は、何と「Off ,off,off」。オフとはカーリングでは、絶望的な状態をさすものです。これが悪女のストーンとぶつかり、カンカンカンとぶつかり出ていったたくさんのストーン。最後に中央のハウスに一番近かったのは日本のストーンという劇的な展開で見事勝利し、日本史上初の銅メダルを掴んだのでした。

 

私がスポーツメンタルコーチとして選手をサポートする際に大事にしているのが前提条件を変えることです。藤澤選手の事例で言うと、チャレンジャーという前提条件をトップチームであると書き換えたのです。この事を私は「思い込みのフタ」と伝えてます。専門的にはセルフイメージとなります。人は自分自身に対してのラベルを無意識に持ってます。このラベルを張り替える人が「メンタルが強い人」と言われるのです。

 

北京オリンピック

 30歳で藤澤五月選手が挑む2022年北京オリンピック。10チームが総当たり戦をし、上位4チームが準決勝に進むことができます。

日本は世界ランキングでは、7位。1試合目は、世界ランキング1位の強豪スウェーデンを相手に、前半は主導権をとりますが、5対8で逆転負けします。ランキングだけで見ると7位の日本も上位の国にとても良い試合ができています。カーリングは、何が起こるか本当にわからないようです。無事に準決勝に進んみました。そして2大会連続となるメダルを掴みました。

 

カーリングの歴史に名を刻むだけでなく、北海道の北見市を盛り上げた功績は多く人の心に刻まれることだと思います。また、スポーツの発展は同時に地域社会与える影響もとても強いです。近年では過疎化の問題もあるだけにカーリングを通じて地方がどんどん盛り上がっていく姿はスポーツに携わる人間としてとても嬉しく思います。

【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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