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スポーツパフォーマンスが高い人と低い人は心拍変動(HRV)が違う?

スポーツメンタルコーチ

スポーツをしていると、運動神経の差を見せつけられる瞬間が誰しもあると思います。生まれ持った体格差であったり、トレーニング量の違いでスポーツパフォーマンスが変わってくることは事実ですが、スポーツパフォーマンスの高い人と低い人では心拍変動(以下HRVという)にも違いがあることはご存じですか?体格や身長などの外面的な要素だけでなく、内面的な要素もスポーツパフォーマンスに関係してくるのです。この記事では、トップアスリートとそうでないアスリートのHRVなどの内面的な要素の数値結果から、スポーツパフォーマンスが高い人になるためにはどのようなHRV、内面的な要素が必要なのかを考察し、読み解きます。

目次

  1. HRVとは?
  2. スポーツパフォーマンスが高い人と低い人はHRV数値が違う!
  3. まとめ

HRVとは?

 HRVとは、Heart rate variability の略称で日本語では心拍変動と言われています。心拍変動と聞くと、1分間の心拍数を指すのかなと考える方もいらっしゃると思いますが、実はちょっと違うんです。

 

HRVとは、簡単に言うと心拍数の変化の度合いを測るものです。自分で脈を測った経験がある方はわかると思いますが、安静時の心拍数は一定に感じますよね。しかし、心拍数のリズムは一定ではないんです。自分で測ると分からない心拍変動の違いを機械を使って調査することで、ストレスに関する指標や、自律調整の影響などを知ることができます。その数値を利用して、心拍数の変化を規則的であるか、不規則的であるかを評価する指標をHRVと言います。このHRVの指数が規則的であるほど、身体的や精神的に安定しているとされていて、スポーツパフォーマンスが高くなると言われています。

 

少し小難しく感じる方もいらっしゃると思いますが、今全て理解していなくても、この記事を最後まで読んで頂ければHRVがもたらす効果を知ることが出来るので、気になる方はぜひ読み進めてみてください。

HRVとスポーツパフォーマンスが高い人と低い人の違いは?

この章では、「Heart rate variability features and their impact on athletes' sports performance(心拍変動の特徴とアスリートのスポーツパフォーマンスへの影響)」と言う論文内の調査結果をもとにHRV指数とスポーツパフォーマンスの関係性を読み解いていきます。

 

この論文内の調査では、33人の海外アスリートを対象としてHRV指数の測定が行われました。

 

レスリングや射撃など6つの分野のアスリートをAグループとBグループに分類して測定結果を比較しました。Aグループは、大会でメダル経験があるトップアスリートグループで、スポーツパフォーマンスが高いとされるグループです。Bグループは、アスリートとして活動はしているがメダル経験がない、Aグループと比較するとスポーツパフォーマンスが低いとされるグループです。

 

HRVの測定は安静状態のアスリート達を座らせた状態で5分間計測されました。その結果をグループごとに平均化したものが下の写真です。 英語で記載されているため少しわかりにくいですが、必要な用語は解説をつけて説明するのでご安心ください。

 

 

 

実験の結果、6,8,9行目のIRSA、HF、LFの数値が、グループAや一般平均値に比べてグループBの数値が非常に高いということが分かりました。IRSAとは、身体の調節システムの活動を示す指数です。HFは、高周波パワーと言って、副交感神経の活動レベルを知ることができます。LFは反対に、低周波パワーと言い、血管運動中枢の活動レベルを知ることができます。この数値が高いという事は、身体のシステムが緊張状態であるという事を示しています。

 

この結果は、グループごとの平均値で比べたものなので、よりこの差異について分析されました。

 

その結果グループBは、グループAと比べて、NArrとVLAパラメータにおいても高い数値が検出されました。NArrは、不整脈の数をしてしたものです。VLAは、非常に低い低周波パワーで、交感神経活動のレベルを知ることができます。Narrの数が多いという事は、心拍変動のリズムの変動指数が高いと言えます。VLAの指数が高いことは、体温調節やエネルギー交換に必要なシステムの活動が減少している可能性を示唆しています。

 

この実験の結果から考えられる、スポーツパフォーマンスへの影響を次の章でまとめました。

考察

  • 自律調節機能の違い 自律調節のシステムが緊張状態にあると、イライラしたり睡眠の質が下がる可能性があります。体調を万全に整えることができないことから、スポーツパフォーマンスが低下する可能性があります。
  • 副交感神経、血管運動活動の違い 副交感神経活動のリズムが乱れると、安静時にも身体機能的にはリラックスできていない状態になることが示唆されます。血管運動中枢が活性化すると血管の収縮や拡張機能がうまく働かず不整脈を引き起こすことが示唆されます。 身体がリラックスできない状態でストレスがかかることや、血管機能がうまく働かないことは、身体の不調に繋がるためスポーツパフォーマンスが低下する可能性があります。
  • 体温調節やエネルギー交換の違い 体温調整やエネルギー交換を行う中枢システムの活動が低下することで、体温調節がうまくできないことや、エネルギー代謝の効率が悪くなるなどの障害が発生しやすくなります。 この障害は、脱水症状が起こりやすくなったり身体が疲れやすいなどの症状があるためスポーツパフォーマンスに影響がある可能性があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?HRVの指数が違うだけでスポーツパフォーマンスに関わる様々な弊害が起こってしまうことが多いと分かったと思います。

 

では、どうすればトップアスリートのHRV指数に近づくことができるのでしょうか?それは、心身の健康と、睡眠の質の改善、生活リズムの改善、バランスの取れた食事をとるなどの日常的な管理を行うことが大切です。

 

スポーツパフォーマンスを高めるために練習だけではなく、日常的な取り組みにも目を向けてみるのもいいかもしれませんね。 最後までご覧いただきありがとうございました。この記事が、皆さんにお役に立てば幸いです。

 

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プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

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