ベテランとして”若手に託すべきもの”、青木宣親選手
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日本球界のみならずメジャーでも活躍した青木宣親選手
宮崎県出身の青木宣親選手が、野球を始めたのは小学校1年生の時。全日知屋スポーツ少年団に所属し、6年生の時にはピッチャーとして宮崎県大会で優勝を果たしました。宮崎県立日向高等学校に進学した青木宣親選手。2年生からエースと務めますが、宮崎県大会では準々決勝で敗退し、甲子園出場は叶いませんでした。大学では、指定校推薦を受けた早稲田大学人科学部スポーツ科学科に進学。高校時代に肩を壊したため、大学からは野手に転向しました。
早稲田大学の同期には鳥谷敬氏、1学年上には和田毅選手が在籍するなどメンバーに恵まれ、早稲田大学野球部史上史上初のリーグ戦4連覇を果たしました。東京六大学野球リーグでは、首位打者のタイトルを獲得しベストナインも3度受賞。迎えたプロ野球ドラフト会議では、東京ヤクルトスワローズから指名を受け4位で入団しました。
2年目には、プロ野球新記録となるシーズン169単打、202安打で最多安打を記録しリーグ首位打者、新人王にも選ばれた青木宣親選手。また元日に放送された人気番組”スポーツマンNO1決定戦”のショットガンタッチで世界新記録となる13m60cmを記録、パワーフォースでもNO1を獲得し総合3位輝き、野球ファン以外にもその存在が日本中で知られることになりました。
WBC(ワールドベースボールクラシック)の日本代表にも選ばれ、優勝に貢献。その後も首位打者や最高出塁率のタイトルを獲得するなど勢いが止まることはありませんでした。北京オリンピックにも出場し、2度目のWBCの日本代表に選ばれた青木宣親選手は、大会ベストナインにも選出。WBCでの活躍で宮崎県知事であった東国原英夫氏から宮崎県民栄誉賞を授与されました。
ポスティングシステムを利用しメジャーリーグへ挑戦した青木宣親選手。ミルウォーキー・ブルワーズ時代には、日本人初となる1試合2本の本塁打を記録。さよならホームランでファンの心を掴んだのでした。翌年にも球団タイ記録となる72打席連続無三振を記録。カンザスシティ・ロイヤルズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、アストロズ、トロント・ブルーウェイズ、ニューヨーク・メッツと渡り歩き、メジャーの7球団でプレーした青木宣親選手は、MLBの両リーグ全地区に所属した初めての日本人となりました。日本球界に復帰後は、古巣である東京ヤクルトスワローズでベテランとして日本一にも貢献したのです。
”集中と自信”で強いメンタルへ
「日本人とメジャーリーガーには、メンタルの強さに違いがある」と話す青木宣親選手。メジャーの選手は、ここぞという場面での集中力がすごいのだそうです。メジャーでは、1球団に1人メンタルトレーナーがついている球団もあるほど選手のメンタルを非常に重要視しています。このような球団の考え方やメンタルに対する文化も発達しているため、選手たちは、最大限野球に対して集中することができます。
心・技・体の”心”の部分に対しての考え方が日本との大きな違いです。青木宣親選手も特に重要視したのは、この”心の重要性”を説いたものでした。自信を持って取り組むために一番大事なのは”できる”と思うことだと言います。もちろん監督やコーチにダメだと言われる時もありますが、それでも自分を信じ、自信を持ち”できる”と思い続けることでいつかできるようになるのだそうです。
「なんとか打ちたい。盗塁したい。」と厳しい状況の中でも自信を持って”できる”と思い続けることを常にでも大事にしているのです。能力を最大限に発揮する”集中”と自分を信じ抜く”自信”の二つを身につけることが、成長と活躍を目指すのに大きな影響を与えるのです。
”冷静に眺める”ことがベテランとしての心構え
メジャーにいた頃の青木宣親選手は、ヒットが出ればもちろん溢れんばかりの笑顔、間一髪でアウトになれば心底悔しがり、何試合もノーヒットが続けば見てられないほどに落ち込み、逆に何試合もヒット続けば楽しそうにヘラヘラするなど喜怒哀楽の激しい選手だそうです。しかし感情豊かな反面、とても冷静に物事を眺めているのだそうです。
自分やチームが置かれている状況、監督やコーチがどのように見ているのか、そして四六時中考えているのが打撃の事でした。頭や手の位置、軸足の股関節、スタンスの幅や開き方、足首、バットやグローブ、そしてスパイクなど事細かく考え抜くのが日常でした。青木宣親選手のベテランらしい心構えです。積み重ねてきた多くの経験が、青木宣親選手のメンタルも強くしました。日本球界復帰後もプロの野球選手としてチームのベテランとして練習や試合への準備、そして心構えに対する日常はメジャーリーグで戦った頃と何一つ変わっていないのです。
”若手の活躍”を誰よりも願うベテラン
メジャーでプレーしていた頃、”あと一勝”のところでワールドシリーズ頂点に届かなかった青木宣親選手。ヒットかと思われた打球は、相手の好守備によって阻まれ同点のチャンスを逃し惜敗しました。あとほんの数センチでヒーローになれたかもしれない、頂点に届かなかった悔しい思いは日本球界に復帰後の夢として引き継がれました。青木宣親選手が復帰を発表した年、ヤクルトは最下位から2位にまで躍進し広島との優勝争いを繰り広げました。
翌シーズンは、誰もがスタートで「今年こそは優勝」を目標にするもの。しかし「去年は去年。2位からスタートするわけではない。頑張ったら2位になれる実力があることがわかっただけ。他のチームもヤクルトにできるんだったらって思っただろうし、ちょっと気を抜いたらまた最下位になってしまう」と話した青木宣親選手。その見解通りその年、翌年の2年連続最下位となりました。
”チームが強くなるためには何が必要なのか?”そう聞かれると「上乗せが欲しい。そのためには若い選手の成長が必要。もちろん僕らみたいなベテランも頑張らないといけないけど、何年もいる選手の頑張りは(既に)チームの計算に入っている。村上や宮本みたいな選手が活躍したほうが、チーム全体の力の上乗せになる。去年と同じ力なら他のチームが頑張れば抜かれてしまう」と話した青木宣親選手。
確かに日本一となった東京ヤクルトスワローズで輝いたのは、高橋奎二投手や奥川恭伸投手、村上宗親選手や宮本丈選手などの若手選手の躍進が大きく影響しました。その若い力に石川雅規投手や青木宣親選手などのベテランのちからも合わさることで脅威的な強さを発揮したのです。
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