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”ポジティブな言葉がけ”でメンタルケア、ダルビッシュ有投手

アスリートの望む結果にメンタル面でサポートするスポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。15種類もの変化球を操ることができ、男女問わず多くのファンを魅了するダルビッシュ有投手。メジャーリーグでも活躍する日本を代表する素晴らしい投手です。TwitterやYouTubeなどで時に自身の思いを熱く語り、多くの人に注目される影響力もあります。

今回は、ダルビッシュ有投手についてスポーツメンタルコーチとしての視点でお話し出来ればと思います。

スポーツメンタルコーチ

目次

  • ”体格と才能”に恵まれたダルビッシュ有投手

  • メジャー経験で実感した”言葉の重要性”

  • ”選手を励ます人”になるのが夢

 

”体格と才能”に恵まれたダルビッシュ有投手

大阪府羽曳野市出身のダルビッシュ有投手。195.6センチの長身や日本人離れした彫りの深い顔立ちから分かるように、イラン人の父と日本人の母から生まれたハーフで三人兄弟の長男として生まれました。父のファルサさんは、元サッカー選手でイラン野球連盟の顧問も努めています。運動能力は父譲りなのでしょう。

 

アメリカ留学をしていた両親の影響で幼稚園入園するまでは英語で会話していたそうです。出生時イランと日本の2つの国籍を持っていましたが、22歳の誕生日に選択したのは日本国籍。両親が会社経営で多忙だったというダルビッシュ兄弟は、主に母方の祖父母に育てられたそうです。

 

6歳の時に巨人対ヤクルト戦を観戦し、サヨナラ本塁打で球場が盛り上がる場面を見て”野球をしたい”と感じたダルビッシュ有投手。本格的に始めたのは小学校2年生の時、羽曳野ブラックイーグルスに所属したことがきっかけでした。当時はアイスホッケーも習っていたそうです。

 

中学生で名門チームの全羽曳野ボーイズに所属すると野球1本に専念。7つの変化球を見事に投げ分けることができたダルビッシュ有投手は、3年生でエースとして全国大会ベスト8、世界大会3位の成績を残しました。3年生の夏には、最速144キロを記録。すでにその名は全国に知られ、50校を超える名門高校からスカウトされました。

 

進学先として絞った条件は”寮生活であること”そして”上下関係が比較的緩いこと”の二つ。上宮太子、広陵、東海大菅生、前橋育英も候補に挙がりましたが、最終的に選んだのが、東北高等学校でした。若生正廣監督の人柄やヤクルトスワローズで活躍した高井雄平氏が在籍していたチームの雰囲気を”一番野球環境が良い”と気に入ったことが、東北に入学した理由だと自身のYouTubeチャンネルで話しました。

 

東北高校出身者には、メジャーリーグでも活躍し大魔神と称された佐々木主浩氏もいます。高校入学当時はまだ成長痛に苦しんでいたため、別メニューをこなしていたというダルビッシュ有投手。1年生の秋からは、エースで背番号1。東北大会で優勝、明治神宮野球大会で全国デビューすると12奪三振の完封勝利でベスト4の成績を残しました。

 

高校1年生の時点で最速150キロを記録。2年生の春夏、3年生の春夏と4回連続で甲子園出場しました。高校3年生でノーヒットノーランを達成。”注目度ナンバーワン”や”松坂大輔以来の怪物”などと称されたダルビッシュ有投手は、ドラフト前からすでに多くの球団から大注目されていましたが、実際ドラフト会議で指名があったのは、日本ハムファイターズのみ。

 

単独指名で入団が決まり、高卒新人史上3人目の最高条件で契約を結んだと言われています。日本ハムファイターズ入団後は、5年連続で防御率を1点台に抑えるなど年間MVPを2回、5試合連続二桁三振、最多奪三振、ゴールデングラブ賞、ベストナイン、沢村賞など数多くのタイトルを獲得し、チーム日本一にも貢献したダルビッシュ有投手。日本代表としてもWBCで大会連覇に貢献したことで、日本を代表する投手として必ず名前が挙がるほどの選手となったのです。

 

 

 

メジャー経験で実感した”言葉の重要性”

ポスティングシステムでメジャーリーグへの挑戦を決意したダルビッシュ有投手。レンジャーズに6年契約で移籍しました。日米から大注目された1年目は、16勝を挙げオールスターにも選出されました。2年目にも10勝、5年目にはメジャー通算50勝を記録。次に移籍したドジャースでは、ワールドシリーズで先発投手を務めました。

 

その後、6年契約でカブスに移籍するとリーグ7位タイとなる229奪三振を記録。日本人初のメジャー最多勝に輝き、防御率2位、奪三振でもリーグ4位を記録しました。そしてパドレスに移籍後は、開幕投手に抜擢され197試合目でメジャー通算1500奪三振を達成。メジャーリーグでもその類まれなる才能を存分に発揮しました。

 

しかし、これほど素晴らしい成績を残してきたダルビッシュ有投手でも苦しんできたのが、他人からの”ネガティブな言葉”。恵まれた体格と運動能力、日本でも頂点を極めたダルビッシュ有投手は、満を辞意してメジャーリーグへの挑戦。強いメンタルを持ってしても慣れないチームの環境は、緊張や不安でいっぱいでした。

 

初めてメジャーリーグで在籍したレンジャーズ時代、チームから「ファーボールが多い」ことや「昨日はファーボール4個だ」と数字まで言われ「コントロールが悪い」などの自身のプレーを否定するような言葉ばかりをずっと言われ続けたそうです。きっと野球から離れてプライベートの時間になっても言われた言葉が頭から離れなかったのでしょう。

 

その結果、ピッチングのみならず気持ちまでも崩れてしまったと当時のことを話したダルビッシュ有投手。特に制球について厳しく言われた時には「自分に鎖が付けられていく感じがした。野球を好きではなくなっていく感じがした」と話したその言葉からは、相当苦しんだことがわかります。

 

他人からの”ネガティブな言葉”が、ここまで恐怖や不安を植え付けるということに初めて気づいたのでした。そして、自身の苦しんだ経験から”ポジティブな言葉を”と心がけました。この心がけが、良い変化をもたらしたことで”言葉の重要性”を実証できたダルビッシュ有投手。その後、移籍したドジャースやカブスでは、再びポジティブに過ごすことができ、”野球が楽しい”という気持ちを取り戻すことができたそうです。

 

 

”選手を励ます人”になるのが夢

ポジティブな言葉は、アスリートのみならず多くの人に自信を与えます。常に勝敗を左右する世界で戦うアスリートにとっては、メンタルを左右するほど重要になってくるのも言葉なのです。自分に自信がないときは、視野が狭い状態になっていることで強いメンタルを保つことは難しいです。

 

そんななかでもプレーしなくてはならないのが、プロとしてお金をもらう選手の宿命。しかし野球に関して言えば、ドラフトに指名されプロ野球選手になる夢を達成した時点でその人は”すごい人”だと自信を持って良いのです。「ポジティブな言葉がどれだけ人を助けるか」を実感し「今は自分が人を助けられるようになっている」と誰かのメンタルケアの相談に乗ることもあるというダルビッシュ有投手。

 

もし、どこかの球団が雇ってくれるなら「コーチとかではなく”選手たちを励ます人”になりたい」と話しました。「その選手にあったポジティブな言葉を言える自信はある。プロ野球選手はプレッシャーが強く(メンタルの)アップダウンが大きい。僕は大丈夫。明日も頑張ろうと思ってもらえるような存在になりたい」と引退後の夢を話したのでした。

 

今回は、ダルビッシュ有投手についてお話しました。“選手を励ましたい“という思いを発信したことで多くの人の心の支えになったはずです。将来的にどこかの球団や他のスポーツでメンタルケアを担当して選手をサポートする夢が叶うのでしょうか。投手としてだけではなく”ダルビッシュ有”という一人の人間の活躍を今後も楽しみにしています。

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【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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