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”臨機応変なメンタル”で世界一のバックローへ、姫野和樹選手

W杯でベスト8に貢献したラグビー日本代表の姫野和樹選手。187センチ112キロというアスリートとして恵まれた身体を持ちます。メンタルの強さが必要不可欠なラグビーという競技で「世界一のバックローになる」という目標を掲げ、日々懸命に鍛錬を重ねています。今回は、姫野和樹選手についてお話します。

目次

  • ”ルーキー・オブ・ザ・イヤー”の大活躍、姫野和樹選手

  • ”師匠のような存在”、ラグビーを通して学んだ多くのこと

  • 必要に応じて変えられる”臨機応変なメンタル”

 

”ルーキー・オブ・ザ・イヤー”の大活躍、姫野和樹選手

愛知県名古屋市出身の姫野和樹選手がラグビーを始めたのは、中学校に入学した頃でした。野球やサッカー、バスケットボールなどさまざまな球技競技を経験し、当時愛知県で盛んだったラグビーを試しにやってみました。すると『自分に一番合うスポーツはラグビーだ』と運命を感じたそうです。

 

当時すでに170センチと周りの同級生の中でも大きかった姫野和樹選手は、身体的に有利さを感じたこともあり、本格的に取り組んでいきました。競技を始めてすぐに掲げたのは”日本代表に入りたい”という目標。春日丘高等学校に進学するとLO(ロック)のポジションでプレーしました。次第にジュニア・ジャパンIRBパシフィックラグビーカップでフォワードにも抜擢されるほどに成長。高校3年生の時には、異例の飛び級でU20日本代表に選出されるなど着実に成実力を積み重ねていきました。

 

大学は、帝京大学に進学した姫野和樹選手。当時、W杯で活躍する日本代表選手の姿を目に焼き付けました。憧れと共に抱いたのは『このチームの一員としてプレーしたい。ここで活躍して世界に羽ばたきたい』という強い思いでした。日本選手権でNECを破る大勝利にも貢献し、大学卒業後は、トヨタ自動車ヴェルブリッツに加入。公式戦出場前にも関わらず、1年目からキャプテンに抜擢されるほど大きな期待を寄せられました。リポビタンDチャレンジカップでは、オーストラリア戦で日本代表として選出。

 

その年の秋には、代表に選出される可能性が高い者を選抜して編成される選手集団サンウルブスに移籍が決まりました。この年、トップリーグ新人賞ベストフィフティーンを受賞。そのわずか2年後に長年憧れ続け、目標に掲げてきた念願のW杯の日本代表として選ばれました。ニュージーランドのハイランダーズに移籍後も活躍した姫野和樹選手は、ルーキー・オブ・ザ・イヤーにも輝いたのです。

 

”師匠のような存在”、ラグビーを通して学んだ多くのこと

ゴルフやサーフィンなど活動的な趣味を持つ姫野和樹選手。一方で読書や音楽、映画などで気持ちをリフレッシュして落ち着ける過ごし方も好みます。ファッションもジーパンに白のTシャツとスニーカーでシンプルな着こなしが落ち着くのだそうです。

 

相手をなぎ倒す”スマイル重戦車”と称される身体と強靭なメンタルの持ち主ですが、ネガティブだったという大学時代。帝京大学に進学した1年目と2年目は「怒られるとイジけ、拗ねてやる気を無くすなど全くダメだった」と自身を振り返っています。しかし、ある時試合に出られなくても愚痴を言わずやるべきこともしっかりやっている先輩を見て自分を恥じ『人としてかっこよくなりたい』と心掛けるようになったそうです。

 

卒業後、入社1ヶ月でジェイ・ホワイト監督からトヨタ自動車ヴェルブリッツのキャプテンを打診された姫野和樹選手。普通であれば、入社して間もない部員がキャプテンなど凄まじい重圧から断りそうなものです。しかし『自分が成長できるビッグチャンス』と感じ、引き受けたといいます。

 

もちろん最初からうまくいったわけではありません。チームメイトからキャプテンとして認めてもらうこともできず、一人部屋で泣いて過ごす毎日。それでも練習後、毎日22時まで近所のカフェで”チームをよくするためのアイデア”をひたすら探しました。読者など多くの書物を読んだり見識を身につけ『自分の見解がチームの公式見解になる』という強い思いを持ち続けたのです。

 

その後チームメイトからの信頼も受け、キャプテンとして活躍できるようになりました。ラグビーは、自分にとって『親でもなく、”師匠”みたいなもの』と例えた姫野和樹選手。ラグビーを通して学んだのは、人を大切にすることや情熱も持つことなど多くのことでした。『今の自分があるのは、ラグビーのおかげ』と話すほど何にも変えることができない唯一無二の大きな存在なのです。

 

必要に応じて変えられる”臨機応変なメンタル”

身体をぶつけ合う厳しい競技ラグビーで日々恐怖に打ち勝ちながらプレーする姫野和樹選手。自分よりもさらに大きな相手チームの援護役に引き剥がされそうになりながら必死にボールを守り、レフリーの反則コールまで堪えるという我慢強いプレーが必要となります。そんな彼がさらなる進化を求めて望んだのが、W杯で3度の優勝を達成したニュージーランドへの挑戦でした。

 

元日本代表の田中史朗選手も在籍したことがあるハイランダーズへ期限付きの移籍が決まりました。『日本人としての証明。自分の証明。今後、ラグビーを日本になくてはならないものにしたい』という強い思いを胸に臨みました。新型コロナウイルスの隔離期間を終え、参戦したリーグで新人賞を獲得。

 

チームメイトとの共同生活から一人暮らしに移行し落ち着いた時間を持ちました。すると一種の燃え尽き症候群に似た感覚なのか次への活力が湧かなくなってしまったのだそうです。日本を出発するときに『絶対に帰りたいと言わんとこう』と思っていたそうですが『あ、帰りたいな』と言葉にしてしまうこともありメンタルがやられているのを実感していたのです。幸いだったのは、この時にちょうど1週間ほどのオフがあったこと。これまで自分の目標や思いをボードに書くなどしてきた姫野和樹選手は、この期間を利用して”メンタルの考え方”をガラリと変えました。

 

出発時に持っていた『日本人としての証明。自分の証明。今後、ラグビーを日本になくてはならないものにしたい。』と強い思いを一度あえて捨てました。“自分が結果を残すかどうかで日本人選手の価値観が変わってくる“と自分にプレッシャーをかけてしまうことでメンタルがやられてしまったと自己分析。このままではダメだと感じ、『ラグビーを純粋に楽しもう』と心に決めました。

 

『結果を残さなくてもいい。日本人選手の価値が下がってもそれはそれでいい』というメンタルに割り切って移行したことで活き活きとプレーできるようになったのでした。ニュージーランドのゆったりした時間のなかでオンとオフの切り替えができ、良い意味でも悪い意味でも適当に考えることができたことが良かったそうです。日本だと凄くきっちりしているぶん、自分の時間を大切にできない部分があり、自分を大切にすることを見失いがちでもあるのです。

 

「必要に応じてメンタルを変えられたのは、大きく成長できた要素だと思っています」ニュージーランドでの成果を語りました。未来の主将候補と呼び声も高い姫野和樹選手。環境に応じて変えられる柔軟で強固なメンタルの持ち主であり、今後の活躍も楽しみな選手なのです。

 

今回は、姫野和樹選手についてお話しました。強いプレッシャーに押し潰されることなく、持ち前のポジティブさでメンタルを立て直せたのです。今後もアスリートにとって有益となる情報を発信していきたいと考えています。

 

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【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

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