格闘技を盛り上げる“天才キックボクサー“、那須川天心選手
目次
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”神童”と称された那須川天心選手
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強いメンタルを得た“努力の天才“
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”キックボクシングをメジャーにしたい”気持ち
”神童”と称された那須川天心選手
千葉県出身の那須川天心選手は、5歳の時に空手を始めます。”礼儀をしっかりと身につけさせるため”という父からのすすめで、最初は嫌々通っていたそうです。稽古の途中で道場から逃げ出してしまった経験もありましたが、幼稚園の時に初めての試合で負けた那須川天心選手。この人生初の敗北が、格闘技中心の生活となるきっかけでした。
”中途半端が嫌い”という那須川天心選手の父が、自宅で猛特訓を開始し毎週のように試合に出場するようになりました。その特訓の成果が現れ、全ての試合で1本勝ちという圧倒的な強さを見せ県大会を優勝。体格の良い選手を相手に戦うことに苦戦した全国大会でした。その後、体格差の不利を覆して勝利するためにステップを駆使して特訓すると”当てさせずに当てる”という那須川天心選手の試合スタイルを確立しました。
小学校4年生の時に、10キロ以上の体格のハンデを克服し、判定勝ちで成し遂げた全国制覇。さらに小学校5年始で出場した極真空手のジュニア世界大会でも優勝し「空手はやりきった」と思っていた時にTVで見た”キックボクシング”に憧れた那須川天心選手。これが、キックボクシングに転身したきっかけとなりました。
キックボクシングに転向した翌年には、判定勝ちで優勝し初タイトルを獲得。その後もムエタイチャレンジ、藤原敏男杯、全日本空手道選手権でも優勝を重ね「大人でも技が当てられない」ために”神童”と称された那須川天心選手。105戦のアマチュアキックボクシングの戦績は、99勝5負1分37KOという脅威的な勝率でした。
数々のアマチュア全国、世界大会のタイトルを総ナメにした那須川天心選手が称されたのは「ジュニアのパウンド・フォー・パウンド最強」という呼び名。全階級で体格差のハンデがない場合に”誰が最強であるか”を指す称号なのです。
強いメンタルを得た“努力の天才“
5歳の頃から毎日トレーニングをしてきた那須川天心選手。”天のように大きな心を持ち、感謝の気持ちも忘れない人間になって欲しい”という父の思いからその名が付けられました。優勝した大会であってもいつも通りの動きができていないと帰宅後、食事も取らずに何時間も父との練習が始まったそうです。
「親子じゃなかったら普通はそこまでできない」と自他共に認めると言うのは、父の凄まじい思い。優勝することでも相手ではなく”息子が自分自身に勝つ”ことにこだわっていたのでしょう。那須川天心選手自身もそのプレッシャーが凄いものだったと言います。タイトルマッチや大舞台で感じるプレッシャーですら「父のプレッシャーに比べると大したことない」と感じてしまうというから相当なものだったことがわかります。
そして18年もの間、格闘技だけに専念してきたため高校時代の友達はいないこと、同年代の子が過ごしていたようなゲーセンに行ったり自転車で二人乗りしたりという青春時代を過ごしていないそうです。しかし「後悔したことなど一度もない」と言います。人と同じことをすると同じにしかなれないですが、格闘技をすることによって誰とも比べものにならないほど強くなれるのが嬉しかったと言います。
答えがない格闘技で、限界のない強さというものを常に追い求めることは、とても大変なことです。だからこそ「人生をかける価値がある」と格闘技への思いを話しました。上限がないのはメンタルも同じです。”天才”と言われてきた那須川天心選手ですが、毎日のトレーニングで惜しみない努力をしてきました。
高校生からは、通常のトレーニングに加えフィジカルトレーニングにも通い、強さに対する飽くなき欲求からその強いメンタルは強固なものとなって行きました。メンタルは経験すればするほど強くなるものです。那須川天心選手は、天才ではなく”努力の天才”だったと言うべきなのでしょう。
努力の天才と呼ばれる選手はイチロー選手など有名ですが、「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように競技を愛する気持ちがあってこその努力の天才と言えるのだと思います。こういった選手ほど、メンタル面においても充実した気持ちを持ち続けることができるのです。
”キックボクシングをメジャーにしたい”気持ち
キックボクシング転向後は、ジムに所属せず出稽古に出向いていたと言う那須川天心選手。出稽古先でアマチュアボクシングの岡本祐繭選手を紹介され、ボクシングトレーナーを頼むようになりました。その後、近所の体育館を週に一度借りて父と岡本トレーナー、そして那須川天心選手の3人で結成したのが”TEAM TEPPEN”。TEAM TEPPENでは一般の子供たちの指導も行うようになり、数々のジュニアチャンピオンを育てています。
このチームから伝わってくるのは、格闘技をより多くの人に広め、メジャーにしたいという強い思いです。その思いが強くなったキッカケは。高校2年生の時でした。当時、那須川天心選手が対戦を熱望したのがK-1のカリスマと称される武尊選手。試合後にマイクパフォーマンスとして対戦相手を名指しするのは、よくあることですが、現実的に対戦が叶う相手に限られます。
武尊選手とは、所属団体の違いやキックボクシングとK-1という違う競技であるため、実現しないだろうと誰もが思っていた対戦。しかし、常に強い選手に挑戦し続けてきた那須川天心選手だからこそ望んだ対戦相手でした。
所属する団体で優勝した時に周りを見渡してみると日本で対戦したいと思った強いと感じた唯一の選手が武尊選手。高校生だったため契約や団体のことは分からないながらも“キックボクシングをスポーツ紙の一面を飾るほどのメジャーなものにしたい“と言う純粋な思いからの名指しだったのです。
キックボクシングを今まで見たことなかった人にも目にする機会を作れば、格闘技全体を盛りあげることができます。そうすれば、今以上にファンを増やしキックボクシングをメジャーにすることもできるでしょう。ボクシングへの転向を決断し、キックボクシングの世界を引退することを表明した那須川天心選手。“強い者を倒したい“という格闘技への純粋な思いを胸に、どの競技であっても全身全霊で挑み続けました。
彼のように個人としての結果にとどまらず、業界を思って背負って立とうとする人間はモチベーションの動機付けも尋常ではないと感じます。武尊選手との戦いを終えて「武尊選手 ありがとうございました。 感謝しかないです」と語っていました。キックボクシング界だけでなく、格闘技界を背負って戦う姿は多くの人を勇気づけたのではないのかなと思います。
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