”どんな選手にも通じる”強いメンタル、錦織圭選手
目次
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”全国大会3冠”を達成した幼少期の才能
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”世界の頂点を目指す”師弟関係
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マイケル・チャンコーチが授けたメンタル
”全国大会3冠”を達成した幼少期の才能
錦織圭選手がテニスを始めたのは5歳の時。社員旅行先のハワイで父がテニスラケットを買ってきたのがきっかけだそうです。最初は、父と4歳年上の姉と共に雲南市の公園で練習をしてました。2ヶ月たった頃に公園のテニスコートに通い出しました。
1年後には、姉の通う”グリーンテニススクールに入会。小学校4年生になると中国地方代表として全国小学校テニス選手権大会に出場し、5年生でベスト8の成績を残します。6年生で全国選抜ジュニアテニス選手権大会12歳以下の部で優勝を果たした錦織圭選手。
この大会の準決勝を観戦していた松岡修造氏から”修造チャレンジトップジュニアキャンプ”への招待状が届きます。このキャンプの日程は、修学旅行と重なっていましたが、迷うことなくキャンプに参加。その後行われた全国小学校テニス選手権大会では、全試合ストレート勝ちの優勝を果たしました。
全日本ジュニアテニス選手権大会でも全試合ストレート勝ちの完全優勝、史上5人目となる全国大会3冠を達成した錦織圭選手。2度目となる修造チャレンジでは、松岡修造氏の恩師である名コーチのボブ・ブレッド氏が参加したためテレビ局のカメラも密着取材していました。
このプレッシャーのなかで30cmもの身長差のある高校生に勝利した錦織圭選手は「大柄な選手に勝ったことは大きな自信になった」と言います。松岡修造氏、そしてボブ・ブレッド氏にも賞賛され、メディアからも大注目された錦織圭選手。
その松岡修造氏に次ぐ日本男子史上2人目のATPツアーを18歳で優勝、全米オープンで準優勝、アジア男子史上初のグランドスラム(4大大会)ファイナリストとなりました。リオデジャネイロオリンピックでは銅メダリストも獲得。
ATP(男子プロテニス協会)が発表する世界ランキングで自己最高4位、アジア人男子歴代最高位で日本男子史上初の世界ランキングTOP10入りも果たした錦織圭選手。日本が誇るプロテニスプレーヤーへの階段を駆け登っていきました。
”世界の頂点を目指す”師弟関係
「圭のコーチを引き受けたのは、自分の時間を割く意義をすごく感じたから」そう話すのは、マイケル・チャンコーチ。出身地と国籍は、アメリカ合衆国。両親が台湾からの移民であるために身長が175センチで、178センチの錦織圭選手よりも小さいです。
しかし自己最高ランキングでは2位、グランドスラムで1回、ATPマスターズシリーズでも7度の優勝。17歳3ヶ月で男子シングルスグランドスラムを優勝した最年少記録保持者、アジア人にルーツを持つ男子選手として唯一のグランドスラム優勝者でもあります。豊富な運動量と正確なショット、頭脳明晰でメンタルも強いと定評がありました。
錦織圭選手からすると同じアジア系の選手として目指すべきお手本のようなテニスプレーヤー。そのマイケル・チャンコーチの指導について錦織圭選手は「一番感謝したいのは、自分のテニスをすればどんな選手にも通じると信じさせてくれたこと」と話しました。トップ10に入る選手との対戦成績が、9勝23敗から11勝7敗と目に見えて成長が現れ、右足親指の手術明けで欠場を考えていた全米オープンにも出場すべきだとアドバイスしました。
当初は、ダンテ・ダンテボッティーニコーチにフルタイムで指導を受けていたため、マイケル・チャンコーチに期待していた役割は”精神面のアドバイザー。しかし必要な点を見抜くと”足りない点”をピンポイントで指摘し、技術面の指導も積極的に徹底して教え込まれたと言います。
錦織圭選手に好かれようとではなく、時に厳しく指導されることで本当に熱意を持って指導されていたと感じたそうです。まず克服すべきは、二人の共通点でもある身長差でした。世界で活躍するテニスプレーヤーの多くは、身長180センチ以上。170センチ台と小さかった二人にとって世界との差を補うために必要なことは”俊敏なテニス”をすることでした。
小柄ながら世界の頂点で競い合ったマイケル・チャンコーチが、実際にプレーしたサーブトスの位置や肉体のメンテナンスまで指導を受けました。もちろん反論も多少するそうですが「押し付けじゃなくて、一つ一つ丁寧に理論的に説明してくれるし、実際に言われた通りに打ってみると納得できることが多い」と話した錦織圭選手。
実績あるマイケル・チャンコーチからの技術、戦術指導だからこそ納得できる指導内容なのでしょう。テニス人生のゴールが「世界17位の現状維持などトップ50なら自分は必要なし。でも圭のゴールはもっと上にある。それを後押ししたい」と話したマイケル・チャンコーチ。この言葉通り錦織圭選手は、着実に成長していきます。
マイケル・チャンコーチが授けたメンタル
依頼した当初から「Believe yourself(自分を信じて)」が口癖だったマイケル・チャンコーチ。自らも現役時代の試合中に「I can do it(自分はできる)」とラケットをしっかり見つめ何度も呟いていたと言います。
17位だった錦織圭選手の世界ランキングは、5位にまで上がりました。36勝19敗だった成績も54勝14敗とたった1年でこれほど数字に現れました。世界トップ7の壁は非常に分厚く、技術だけではなくフィジカルも相当強いものです。
昔とは違い、スポーツ医科学の進歩で経験豊富なベテラン選手も大きな故障や手術後にも復帰して活躍できる時代。錦織圭選手が尊敬するフェデラー選手に敗戦した時には「コートの外ではどれだけ相手を尊敬しても構いません。
だけどコートの上では、自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかない」と決して気後れしないようにとメンタル指導したマイケル・チャンコーチ。更に「勝てない相手はもういないと思え」という言葉を何十回も言われ「お前はショーをしに行くんじゃない。勝ちに行くんだ」と勇気づけられたそうです。
「良い意味で思い込み、自分を信じられるようになった」と言う錦織圭選手。グランドスラムの5セットマッチになると4、5時間の試合時間は覚悟しないといけません。その長いゲームを7試合勝たなければ優勝できないため、常にポジティブで大事な局面でギアを上げるために一定の精神状態が必要になります。
「”無”でいられる時が一番強い」「無でいながらもしっかり頭で考えて、次はどこへ打つか、同時に予測しながら戦う。”ゾーンに入っている”とも言いますけど」と話した錦織圭選手。マイケル・チャンコーチと出会えたことで強いメンタルを得ることができました。
生計を立てるためには十分なお金があったマイケル・チャン選手は、まだ娘も幼く家族で過ごす時間を最優先にしてきました。そのためコーチするのが、他の選手の依頼なら断っていたそうです。しかし”鉄壁の絆”とまで称されたマイケル・チャンコーチと錦織圭選手、強い信頼で結ばれた二人の師弟関係。錦織圭選手との出会いでテニスプレーヤーとしての血が騒ぎ”この選手を育ててみたい”と感じたのでしょう。
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