”弱点を起点としたポジティブ思考”な頭脳派指揮官、岡田武史監督
目次
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進学校から見出された”ダイヤの原石”
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”日本が世界に誇る最も優れた名監督”
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一方で現実を認識する”現実主義な一面”
進学校から見出された”ダイヤの原石”
大阪府出身の岡田武史監督。産婦人科の開業医を父に持つ裕福な家庭で育ち、小学校も私立の帝塚山学院に通っていました。”南海ホークス子供の会”で野球を始めた岡田武史監督。ポジションはピッチャーとファーストを任され、1学年下に阪神タイガースの岡田彰布監督も在籍したチームで汗を流す野球少年でした。
しかし中学生になると野球部の厳しい上下関係が自分に不向きだと感じ、メキシコシティオリンピックで人気を博したサッカーに夢中になっていった岡田武史監督。「プロになってドイツでプレーする」と宣言し、家族を困らせたそうです。
それでもサッカー選手にもならず、勉学も懸命に励んだことで大阪府内の超難関校である天王寺高等学校に合格します。この学校でもサッカー部に入部しますが、進学校のチームでは上位進出は難しいものでした。
しかし、練習試合での岡田武史監督の活躍を目にしたサッカー関係者がいたことで2年生の時に大阪選抜に選ばれました。3年生の時には、たった3人しか選ばれなかった高校生でのユース代表の枠にも選出されます。クウェートで行われたアジアユース選手権に出場するほどのサッカーの才能があったのです。
そして試合の時にしか居なかった監督に変わり、キャプテンとして天王寺高校での日々の練習メニューまで考えていた岡田武史監督。大学は、一年浪人して早稲田大学に入学しました。
早稲田大学サッカー部の部長から、体育専攻での受験の提案をされましたが、「1年浪人しても勉強しても合格は無理だろう」と言われた悔しさをバネに必死に勉強したメンタル強さの持ち主です。念願の早稲田に入学しながらもサッカー部に所属せず、サッカー愛好会に入部しました。
しかし、日本サッカー協会の専務理事から「何のためにユース代表に選ばれたと思っているんだ」と言われてしまいました。その翌日からサッカー部として活動をスタートさせた岡田武史監督。早稲田大学在籍中には、ユニバーシアード日本代表に選ばれるなど才能を発揮しました。まさにサッカー関係者が見出したダイヤの原石である岡田武史監督。負けず嫌いな性格で、サッカーとの文武両道を貫いたメンタルの強い人物なのです。
”日本が世界に誇る最も優れた名監督”
マスコミ業界への就職を熱望しながらも古河電工に入社することになった岡田武史監督。のちにジェフユナイテッド千葉となるこのチームでサッカー部に所属しました。
学生時代と同じく、頭脳派乳フェンダーとして日本サッカーリーグで2度のリーグ優勝。そして日本チーム初となるアジアクラブ選手権でも優勝に貢献しました。
日本代表としてもアジア大会に出場し、因縁のライバルである韓国戦では代表初ゴールを決めた岡田武史監督。現役時代の自身のプレーを「ディフェンスで相手を潰すことが得意だったが、申し訳なさそうな顔をするのでイエローカードをもらわなかった」と話しました。
大学卒業間際に学生結婚した理由も「就職したら上司に仲人を頼まないといけないし、しがらみができるのが嫌だから」とサッカー以外のことでも頭で先読みできる頭脳派プレーヤーだったようです。
現役引退後の翌年から古河電工のコーチに就任し、指導者としてのサッカー人生をスタートさせた岡田武史監督。ドイツでのコーチ留学も経験し、Jリーグ発足の熱気ある頃に帰国しました。
古河電工からジェフ市原に改名したチームでコーチを務め、翌年には日本代表コーチに就任。フランスW杯を目指しながらもアジア予選敗退の窮地に陥る成績不振で解任された監督の後任として抜擢されましたが、代理監督として指揮を取り始めました。
そして日本を初となるW杯出場に導いたことで正式に監督へと就任。その後も監督としてコンサドーレ札幌のJ2優勝、横浜F・マリノスを2年連続でJ1優勝に導きました。
再び日本代表監督へと選ばれ、本戦出場を果たした南アフリカワールドカップではベスト16まで勝ち進んだことで日本列島を歓喜で包みました。横浜F・マリノスを連覇させ、日本代表を2度ワールドカップ出場へと導いた岡田武史監督。”日本が世界に誇る最も優れた名監督”の一人と称される指揮官なのです。
一方で現実を認識する”現実主義な一面”
監督としてチームの勝利に貢献し、結果を出し続けてきた岡田武史監督。チーム状態を見て練習メニューを考案したり、試合で戦略を考えることが本来の”監督の役割”。そして選手へ指導したりアドバイスすることがコーチングです。
監督やコーチからのコーチングは、アスリートにとって良いパフォーマンスを発揮できるかを左右する重要なものです。特に日本代表となると日頃違うチームでプレーする選手たちの集まりで個々の能力が高くてもまとめ上げるのが大変です。そんな代表選手たちのチームをW杯出場という目標に向けて引っ張れたのは、岡田武史監督のコーチングスキルが高かったためだと賞賛されます。
どれだけ優秀な選手にでも弱点は必ずあります。克服せずに放置していると、試合での勝利や記録更新などの目標を達成できません。しかし弱点に目を向けすぎてもダメージを受けてしまうのが人のメンタルです。
「メンバーにとって欠点を指摘され続けることほど苦痛なことはない。そこに触れて欲しくないというのが人間の本音。欠点を指摘するだけのリーダーは、悲観主義のメンバーを量産するハメになる」と話す岡田武史監督。コーチングの際に”弱点を攻めるような向き合い方はしないそうです。
「この弱点を克服すれば、もっと強いチームになる。弱点もあるけど強みもある」と弱点を起点としてポジティブ思考に繋げるのが大きな成長に繋がると話しています。スポーツ心理学で重要視されているのが、最高の自分をイメージする”ピークパフォーマンス法”というメンタルトレーニングです。「結果に一喜一憂してしまう選手にはオススメできる反面、一方で自分自身の現実をしっかりと認識しておく必要もある」と話しています。
成功する場面を思い描いていると幸福感に満ち溢れますが、逆に失敗した時に感じるショックにより感情の落差が大きくなります。メンタルをそれ以上悪化させないためには、最高の自分をイメージすると同時に失敗するという最悪の自分もイメージしておく必要もあるそうです。
一見ネガティブな発想に感じてしまいがちですが、最悪の状況に陥ってしまったとしても事前に対策を練っていれば乗り越えることができるのが人の持つ力と言えます。想像できないことを目の当たりにすると、人はパニックになるからです。だからこそ、ポジティブな楽観思考で励まし、失敗体験から学ぶことが重要です。
結果の原因について、運や努力、課題の難しさや能力という要素を挙げています。成功した時には「”運”よりも”努力”のせいにしたほうが自信がつく」反対に失敗した時には「”能力になさ”よりも”課題が難しかった”という理由にしたら落ち込みが少ない」と話す岡田武史監督。チーム作りのなかで重要視するのは、失敗から弱点を発見し克服へのプランを考えることだと話してくれています。
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