TOP CONTACT

資格講座をオンラインだけで学ぶことでの取り返しのつかないデメリット

スポーツメンタルコーチ

現代のデジタル化が進む中、オンラインで資格を取得する選択肢が増えています。特に、忙しいビジネスパーソンやアスリートが、効率よく学習するためにオンライン講座を選ぶことが多いです。しかし、オンラインでの学びには、特にスポーツ関連の資格取得において、いくつかの重要な弊害が存在します。この記事では、オンライン講座のデメリットとその科学的な根拠について詳しく解説し、どのようにこれらの問題が学習に影響を与えるのかを探ります。

【このコラムの著者】

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 幹事会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

鈴木颯人
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

オンライン学習の利便性とその裏にある落とし穴

時間と場所の自由がもたらすメリット

 

オンライン講座は、学習者に対して時間や場所に縛られない柔軟な学習機会を提供します。この利便性は、多忙な生活を送る人々にとって非常に魅力的です。例えば、スポーツ選手やトレーナーは、練習や試合で多忙なため、通学する時間が取れないことが多いです。この点において、オンライン学習は非常に有用です。しかし、この自由すぎる環境は、自己管理の難しさを引き起こしやすいという弊害があります。自己管理能力が低いと、学習の進捗が遅くなることが多いです(Duckworth et al., 2007)。特にスポーツ関連の資格では、単なる知識だけでなく、実技や応用力も必要です。自由度が高すぎる環境は、学習の質を低下させる可能性があります。

 

自己管理能力が問われる

 

オンライン学習では、自分で学習計画を立て、それを実行する能力が求められます。自己管理能力が不足していると、学習の進捗が遅れるだけでなく、モチベーションの維持も困難になります(Zimmerman, 2000)。特にスポーツに関連する資格では、理論的な知識だけでなく、実践的なスキルが重要です。自由すぎる学習環境は、自己管理能力が試される要因となり、学習の質に影響を与えることがあります。

 

スポーツに特化した資格に必要な対面指導の重要性

 

スポーツ関連の資格では、対面での指導が非常に重要です。実技やロールプレイングを通じて学ぶことが求められます。対面指導の効果に関する研究では、直接的なフィードバックや対話が学習成果を向上させることが示されています(Ericsson et al., 1993)。オンライン学習では、実技の指導やフィードバックが不足しがちで、実践的なスキルが十分に身につかないリスクがあります。特にスポーツのように身体を使うスキルの場合、リアルタイムでの指導と修正が不可欠です。

 

実践的なスキルが身につかない可能性

フィードバックの不足

 

オンライン講座では、講師からのフィードバックが不足しがちです。研究によれば、フィードバックは学習成果を向上させるために不可欠であり、特にスポーツに関するスキルの習得には、リアルタイムでの修正と指導が重要です(Hattie & Timperley, 2007)。オンライン学習では、受講者のパフォーマンスを直接確認する機会が少なく、フィードバックが表面的になりがちです。このため、スキルの習得や問題解決の能力が十分に育たない可能性があります。

 

実技やグループワークの不足

 

スポーツ関連の資格取得には、実技やグループワークが重要です。実技を通じて理論的知識を実践的なスキルへと変えることが求められます。学習理論では、実践的な学習が理論の理解を深め、スキルを向上させることが示されています(Kolb, 1984)。オンライン学習では、実技やグループワークの機会が限られており、実際のスキルの習得に限界があります。例えば、スポーツトレーニングの技術や戦術を学ぶ場合、実際の練習や試合での経験が重要であり、オンラインだけではそのような経験が得られません。

 

実践的なケーススタディの不足

 

スポーツに関連する資格取得では、実践的なケーススタディが重要です。実際のケースを通じて学ぶことで、現場で直面する問題に対処する力を養うことができます。学習理論では、実際の状況をシミュレーションすることが効果的な学習方法とされています(Schunk, 2012)。オンライン学習では、実践的なケーススタディが不足しがちで、資格取得後の実際の業務に適用する能力が十分に養われないことがあります。

 

人間関係やネットワークの構築が難しい

同じ目標を持つ仲間との交流不足

 

オンライン学習では、同じ目標を持つ仲間との交流が限られることがあります。研究によれば、仲間との交流や情報共有は学習のモチベーションを高める重要な要素です(Pintrich & Schunk, 2002)。スポーツ関連の資格取得では、他の受講生と実際に交流することで、新たな気づきや学びが得られることがあります。オンラインでは、このような交流の機会が制限されており、モチベーションの維持が難しくなることがあります。

 

指導者との信頼関係の構築が難しい

 

オンライン学習では、指導者との信頼関係を築くのが難しいことがあります。対面での授業では、講師と受講生の間に信頼関係が生まれやすく、学習効果が高まることが示されています(Cohen & McKeachie, 1980)。オンラインではこの信頼関係が築きにくく、学習の質に影響を与える可能性があります。特にスポーツ関連の資格では、指導者との密なコミュニケーションが成功に繋がる場合が多いです。

 

スポーツ業界でのネットワーク構築の難しさ

 

スポーツ業界では、ネットワークが非常に重要です。通学型の講座では、同じ業界の人々との人脈が自然と形成され、仕事の機会が増えることがあります。ネットワークがキャリアにおいて重要であることは多くの研究で示されています(Granovetter, 1973)。オンライン学習では、そのようなネットワークを築く機会が限られており、資格取得後のキャリアに不利になる可能性があります。

 

科学的根拠に基づくデメリット

脳の学習プロセスにおける対面の利点

 

脳の学習プロセスに関する研究によると、対面での学習は記憶の定着や情報の理解を促進する効果があります。例えば、対面でのインタラクションは、脳内でのシナプス形成を促進し、長期的な記憶に寄与します(O'Reilly & Munakata, 2000)。オンライン学習では、このような対面でのインタラクションが欠けるため、記憶の定着やスキルの習得に影響を与える可能性があります。

 

フィードバックの遅延とその影響

 

オンライン学習では、フィードバックが遅れることがよくあります。迅速なフィードバックは学習成果を向上させるために重要であり、即時の修正が学習効果を高めることが示されています(Shute, 2008)。オンラインでは、フィードバックが遅れることが多く、学習の進捗が遅れる可能性があります。特にスポーツ関連の資格では、実技に関するフィードバックが遅れると、スキルの習得に大きな影響を与えることがあります。

 

学習の深さと対面の違い

 

学習の深さに関する研究では、対面での学習がより深い理解を促進することが示されています(Ericsson et al., 1993)。対面では、直接的な対話や質問が可能であり、深い理解を促進することができます。オンライン学習では、直接的な対話が制限されるため、学習の深さに欠ける可能性があります。特にスポーツのような複雑なスキルを学ぶ場合、対面での深い学びが必要です。

 

理想的な学び方

ハイブリッド学習の導入

 

理想的な学び方としては、対面とオンラインのハイブリッド学習が挙げられます。対面での実技やフィードバックを受けることで、スキルの習得を確実にしつつ、オンラインでの学習で知識を補完する方法です。このアプローチは、学習の柔軟性を保ちながら、実技の習得やネットワーキングを効果的に行うことができます。実際、ハイブリッド学習が学習成果を向上させることが示されています(Garrison & Kanuka, 2004)。

 

定期的な対面の機会を設ける

 

特にスポーツ関連の資格では、定期的に対面での指導やグループワークを取り入れることが重要です。これにより、実技の練習や直接的なフィードバックが得られ、スキルの習得がスムーズになります。対面の機会を設けることで、実践的なスキルの習得が効果的に行えます。

 

オンラインと対面のバランスを取る

 

オンライン学習と対面学習のバランスを取ることで、両者の利点を最大限に活用することが可能です。例えば、オンラインで基礎知識を学び、対面で実技やケーススタディを行うといった方法です。これにより、知識の習得と実技の練習の両方を効率よく行うことができます。このアプローチは、学習の効果を高めるために有効です。

 

まとめ

 

オンライン学習は、その柔軟性やアクセスの容易さから、多くの人々にとって魅力的な選択肢です。しかし、特にスポーツ関連の資格取得においては、対面での学びが不可欠な要素であることが多いです。実技の指導やフィードバック、仲間との交流、そしてネットワークの構築など、対面での学びにはオンラインにはない重要な要素があります。これらの要素を考慮し、オンライン学習だけではなく、必要に応じて対面での学びも検討することが、資格取得の成功に繋がるでしょう。冒頭文

参考論文

  1. Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D. R. (2007). "Grit: Perseverance and passion for long-term goals." Journal of Personality and Social Psychology, 92(6), 1087-1101.
  2. Zimmerman, B. J. (2000). "Self-regulated learning: Theories, measures, and outcomes." Handbook of Self-Regulation, 13-39.
  3. Ericsson, K. A., Krampe, R. T., & Tesch-Römer, C. (1993). "The role of deliberate practice in the acquisition of expert performance." Psychological Review, 100(3), 363-406.
  4. Hattie, J., & Timperley, H. (2007). "The power of feedback." Review of Educational Research, 77(1), 81-112.
  5. Kolb, D. A. (1984). Experiential Learning: Experience as the Source of Learning and Development. Prentice Hall.
  6. Schunk, D. H. (2012). "Learning theories: An educational perspective." Pearson Education.
  7. Pintrich, P. R., & Schunk, D. H. (2002). Motivation in Education: Theory, Research, and Applications. Pearson Education.
  8. Granovetter, M. (1973). "The strength of weak ties." American Journal of Sociology, 78(6), 1360-1380.
  9. Cohen, P. A., & McKeachie, W. J. (1980). "The role of the teacher in student learning." Journal of Educational Psychology, 72(3), 345-358.
  10. O'Reilly, R. C., & Munakata, Y. (2000). Computational Explorations in Cognitive Neuroscience: Understanding the Mind by Simulating the Brain. MIT Press.
  11. Shute, V. J. (2008). "Focus on formative feedback." Review of Educational Research, 78(1), 153-189.

☆講演のお知らせ☆

 

【受付中スポーツメンタルコーチ入門講座

-アスリートのパフォーマンスを引出すメンタルコーチになる為には-

 

スポーツメンタルコーチRとして活躍する上で大事なエッセンスをお伝えする講座です。アスリートのパフォーマンスを高めるために大事にしたい3つの秘密をお伝えします。

詳細・お申込みはこちらからお願いします。 

 

 

講座はまだ早いと思う方は無料メールマガジンをどうぞ!

スポーツメンタルコーチ,職業,仕事,働き方メルマガ

 

 

その他のおすすめ記事

【第3期】プロ・スポーツメンタルコーチ資格講座・感想集1、受 2024年10月に無事に修了式を迎えた【第3期】プロ・チームメ‥ 続きを読む
現役の頃に必要だったのはメンタルの知識以上の存在 【このコラムの著者】 一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会‥ 続きを読む
スポーツメンタルコーチが言葉を大切にしたい理由。 【このコラムの著者】 一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会‥ 続きを読む