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セカンドキャリアは心配ない!スポーツメンタルコーチが考えるアスリートのキャリア理論

アスリートのキャリアは、競技生活の成功だけでなく、引退後のキャリアの構築にも深く関連しています。引退後のキャリアに対する不安や悩みを抱えるアスリートは少なくありません。本記事では、スポーツメンタルコーチの視点から、アスリートが引退後にどのようにキャリアを築くべきか、キャリアトランジションと偶発性計画理論を含むキャリア理論を基にアドバイスを提供します。アスリートが新たなステージで成功を収めるためのヒントと戦略を紹介します。

スポーツメンタルコーチ

【このコラムの著者】

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事
慶應義塾大学健康情報コンソーシアム 幹事会員
メンタルトレーニング推進国会議員連盟 所属

鈴木颯人
プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

[冒頭文アスリートのキャリアトランジションにおける主要な課題

自身のアイデンティティの再構築

 

アスリートの引退後に直面する大きな課題は、自身のアイデンティティの再構築です。競技中は「アスリート」としてのアイデンティティが強く、社会的な地位や自己評価もその延長に依存しています。しかし、引退後にはこのアイデンティティが突然失われることが多く、心理的なストレスや不安が生じることがあります(Wylleman & Lavallee, 2004)。

 

アイデンティティの再構築には、新たな目標設定や興味を見つけることが重要です。スポーツメンタルコーチは、アスリートが新しい自己認識を持ち、新しい目標を設定する手助けを行います。アスリートが引退後の生活で新たな役割を見つけるプロセスをサポートすることで、スムーズな移行を促進します。

 

スキルと経験の移行

 

アスリートは、競技を通じて多くのスキルや経験を積んでいますが、それを新しいキャリアにどのように活かすかが課題です。アスリートのスキルには、リーダーシップ、チームワーク、目標設定能力などが含まれます。これらのスキルはビジネスや教育、メディアなど様々な分野で価値があります(Gordon, 2009)。

 

スキルの移行には自己分析やフィードバックが必要です。アスリートがどの分野で最も能力を発揮できるのかを見極め、それに合わせたトレーニングやネットワーキングを行うことが求められます。スポーツメンタルコーチは、このプロセスを支援し、効果的なキャリアパスを描くためのアドバイスを提供します。

 

キャリアトランジションとその重要性

 

キャリアトランジションとは、職業人生の中での大きな変化や転換を指します。アスリートの場合、競技から引退し新たなキャリアを築くことがまさにキャリアトランジションに当たります。この過程は、単なる職業の変更だけでなく、ライフスタイルやアイデンティティの再構築も含まれるため、非常に複雑で感情的なプロセスです(Schlossberg, 1981)。

 

キャリアトランジションの成功には、計画的な準備と柔軟な対応が求められます。スポーツメンタルコーチは、アスリートがトランジションの各段階をスムーズに進められるよう、感情的なサポートや実践的なアドバイスを提供します。例えば、新たなキャリアに必要なスキルや資格の取得、心理的な準備などが含まれます。

偶発性計画理論とアスリートのキャリア

偶発性計画理論とは?

 

偶発性計画理論(Planned Happenstance Theory)は、キャリア開発における予期しない出来事や機会がどのようにキャリアに影響を与えるかを説明する理論です。この理論は、キャリアパスが単に計画的なものでなく、偶発的な出来事や機会が重要な役割を果たすという考え方に基づいています(Krumboltz, 2009)。

 

アスリートが引退後に直面するキャリアの選択肢や機会も、偶発的な要素が含まれることがあります。偶発性計画理論に基づくと、アスリートが新しいキャリアに挑戦する際には、偶発的な機会を積極的に活用し、柔軟に対応することが重要です。これにより、予期しないチャンスを逃さず、より豊かなキャリアを築くことができます。

 

偶発性計画理論を活用したキャリアの構築

 

偶発性計画理論を活用することで、アスリートは予期しないチャンスをキャリアに結びつけることができます。スポーツメンタルコーチは、アスリートに対して柔軟なキャリアプランニングの重要性を伝え、偶発的な機会に対するオープンマインドを持つようアドバイスします。具体的には、ネットワーキングや新しいスキルの習得、異なる分野への挑戦などが含まれます(Savickas, 2002)。

 

アスリートは、自身のキャリアプランを固定せず、偶発的な出来事や新たな機会に対して積極的に対応することで、より多くの可能性を広げることができます。スポーツメンタルコーチは、このプロセスをサポートし、アスリートが予期しないチャンスをうまく活用できるように導きます。

スポーツメンタルコーチが提供するサポート

メンタルスキルの強化

 

セカンドキャリアにおいても、メンタルスキルは重要です。スポーツメンタルコーチは、アスリートが新しい環境で直面する挑戦に対処できるよう、メンタルスキルの強化をサポートします。ストレス管理や自己肯定感の向上、目標設定のスキルなど、競技生活で培ったメンタルスキルを新たなキャリアでも活かせるようにすることが求められます(Vealey, 2007)。

 

メンタルスキルの強化により、アスリートは新しいキャリアに対する自信を持ち、困難な状況にも前向きに取り組むことができます。スポーツメンタルコーチは、カウンセリングやトレーニングを通じて、アスリートがセカンドキャリアでの成功に向けたメンタル準備を整える手助けを行います。

 

ネットワーキングとプロフェッショナルな関係の構築

 

セカンドキャリアにおいては、人脈の構築が成功の鍵となります。スポーツメンタルコーチは、アスリートが新しい分野でのネットワーキングを行い、プロフェッショナルな関係を築くサポートを行います。業界のイベントやセミナーへの参加、プロフェッショナルなグループへの加入など、ネットワーキングの機会を提供し、アスリートが新しいキャリアを築くための基盤を整えることが重要です(Cox, 2013)。

 

ネットワーキングを通じて得られる情報やリソースは、アスリートのキャリア転換を円滑に進めるための大きな助けとなります。スポーツメンタルコーチは、このプロセスをサポートし、アスリートが有意義な関係を築き、キャリアの成功へとつなげるためのアドバイスを提供します。

 

キャリアトランジションの計画と目標設定

 

セカンドキャリアの計画には、明確な目標設定が不可欠です。スポーツメンタルコーチは、アスリートが自分自身の目標を明確にし、それに向けたアクションプランを立てるサポートを行います。目標設定には、短期的な目標と長期的な目標を組み合わせ、達成可能なステップを設定することが重要です(Locke & Latham, 2002)。

 

明確な目標を持つことで、アスリートは自分のキャリアの方向性を確認し、具体的な行動を起こすことができます。スポーツメンタルコーチは、アスリートが目標を達成するための戦略を策定し、進捗を管理するサポートを行います。

まとめ

アスリートのキャリアトランジションには、多くの課題と可能性が存在します。アイデンティティの再構築、スキルの移行、キャリアの選択肢と計画、偶発性計画理論の活用が成功のカギとなります。スポーツメンタルコーチは、アスリートが新しいキャリアに向けて準備を整え、成功するためのサポートを提供します。メンタルスキルの強化、ネットワーキングの構築、目標設定の支援を通じて、アスリートが引退後のキャリアを充実させるための戦略を共に考え、実現していきましょう。

 

参考:キャリアカウンセリングサービスおすすめ18選【意味ないのかも解説】|サクフリブログ

 

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引用論文一覧

アスリートのキャリアトランジションに関する論文

 

Wylleman, P., & Lavallee, D. (2004). "Contemporary model of transitions in sport." Current Issues in Sport Science.

この論文では、アスリートのキャリアトランジションに関するモデルが説明されています。特に、競技から引退後の移行に関する心理的、社会的な側面が議論されています。

 

Schlossberg, N. K. (1981). "A model for analyzing human adaptation to transition." Counseling Psychologist, 9(2), 2-18.

Schlossbergのキャリアトランジションモデルが紹介されており、人生の大きな変化に対する適応についての理論が説明されています。

 

Gordon, S. (2009). "The role of sport in the career development of young athletes." Journal of Career Assessment, 17(1), 67-82.

アスリートがスポーツを通じてどのようにキャリアスキルを発展させるかについて述べられています。

 

偶発性計画理論に関する論文

 

Krumboltz, J. D. (2009). "Happenstance learning theory." Journal of Career Assessment, 17(2), 135-154.

偶発性計画理論(Planned Happenstance Theory)の詳細と、それがキャリア形成にどのように影響を与えるかが説明されています。

 

Savickas, M. L. (2002). "Career construction: A developmental theory of vocational behavior." The Career Development Quarterly, 50(3), 150-163.

キャリア構築理論について説明されており、偶発性計画理論との関連も含まれています。

 

Krumboltz, J. D., & Levin, A. S. (2004). "Luck and chance in career decision-making: The role of planned happenstance." Journal of Career Assessment, 12(2), 189-202.

偶発性計画理論の実用的な側面について、キャリア決定における「幸運」と「偶然」の役割が議論されています。

 

メンタルスキルとキャリア支援に関する論文

 

Vealey, R. S. (2007). "Mental skills training for sports." Applied Sport Psychology: Personal Growth to Peak Performance.

メンタルスキルの強化がアスリートのキャリアにどのように役立つかについて説明されています。

 

Cox, R. (2013). "Sport and Exercise Psychology: A Critical Introduction." Routledge.

スポーツメンタルコーチングの役割と、キャリアトランジションにおけるサポートの提供方法について詳述されています。

 

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