”野球に集中して取り組める環境”でメンタル作り、山下舜平大選手
目次
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”キャッチボール1つ”で切り開いたプロへの道
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大谷翔平選手との共通点、”若くしてプロの思考”
- ”状態が悪い中でどうしたら良いのか”を考えるメンタル
”キャッチボール1つ”で切り開いたプロへの道
福岡県福岡市出身の山下舜平大選手。本人も「ちょっと癖のある名前で」と話すほど一度聞いたら忘れられないインパクトある名前です。母の美智代さんが、20世紀を代表する経済学者ヨゼフ・シュンペーター氏からとって名付けたそうです。
ドラフト会議の記者会見で彼の名前について「響きが良くて海外の人も発音しやすいから」と理由を話していました。1900年から1950年頃に活躍したヨゼフ・シュンペーター氏は、現在でも良く使われる”経済成長”という概念を確立させた有名な経済学者です。山下舜平大選手のチームメイトからの愛称は”ペーター”で「みんなに下の名前で読んでもらえるので親には感謝したい」と自分自身でも名前を気に入っていることを話していました。
そんな山下舜平大選手が野球を始めたのは、小学校3年生の時。”筑紫丘ファイターズ”に入ったことがキッカケでこのチームに在籍中は、ピッチャー兼キャッチャーで当時から肩が良さが評価されていました。中学校でもこの2つのポジションも兼用したままプレーをします。中学3年生の秋には、U15全国KWB野球秋季大会の福岡県選抜に選ばれ、準優勝に貢献しました。
高校は、県内でも野球の名門である福岡大附属大濠高校に進学。1年生の秋にはベンチ入りし、高校2年生の時には、エースピッチャーとしてチームを引っ張りました。しかし高校最後の年に夏の全国高校野球が中止になるコロナ禍での異例の事態が、高校球児に降り掛かりました。しかし”がんばれ福岡地区大会”では見事に準優勝し、その後に甲子園で行われたプロを目指す高校3年生を対象にした”プロ志望高校生合同合宿練習会”に参加することができました。
大勢の12球団のスカウト陣が見つめるなか参加した選手は、山下舜平大選手を含めて77人。この練習会では、キャッチボールをしていただけだそうです。しかしプロのスカウト陣の目が釘付けになったのが、ボールの軌道。「外野の左翼側から中堅方向へ向かって投げたボールが低く、浮かび上がるように相手のブラブに突き刺さる」と中日スポーツに掲載されました。
通常なら左翼から中堅方向へは、甲子園名物の浜風に押されて球が落ちていくもの。「山下のボールが描く軌道は、全くの別物だった。ものが違う。ストレートであれば高校生ではナンバーワン」と高く評価されました。甲子園が中止になるという不運な年にも並はずれた才能でプロへの道を切り開くことができたのです。
大谷翔平選手との共通点、”若くしてプロの思考”
”大谷翔平2世”と称され、野球に取り組む姿勢や美しい投球フォームまで共通点が多い山下舜平大選手。チームの方針からプロ1年目、2年目を”体つくり”に費やしてきたため、1軍への登板はありませんでした。しかしその結果「エグいっす。バケモンでした。今まで捕った中で一番速かった。この先が怖いです」とバッテリーを組む森友哉捕手から最高の褒め言葉をもらうことができました。
桐蔭高校時代に藤浪晋太郎選手、西武時代には菊池雄星選手と名だたる名投手たちのボールをキャッチしてきた森友哉捕手。彼がそこまで絶賛するのが、山下舜平大選手のボールだったのです。さらに話題をさらったのは、プロでの1軍登板の経験がないまま開幕戦で”開幕投手”を務めることでした。これは、セ・リーグとパ・リーグの2リーグ制になってから初めての快挙でした。
こんな大舞台でも緊張していないと話した山下舜平大選手のメンタル強さは、相当なものです。「明日になってみないとわからない部分はあるんですけど緊張しないと思います」と笑顔を見せたのです。開幕戦の雰囲気がわからないことやこだわりや特別感もないと感じながらも”勝ちたい”と言う強い思いがありました。プロデビューが開幕投手と言う華々しい試合を初勝利で飾り、家族も訪れた地元での初登板でも勝利をあげることができました。
二十歳を過ぎて1年以上経ってもお酒を飲んだことがないと言う山下舜平大選手。理由について興味が無いため「飲もう」とも思わないのだそうです。”休みの日にお金を出してお酒を飲む場に行きたいと言う欲が無い”のだと言います。先輩に誘われても外食もほぼしないのだそうです。もちろん声をかけていただくのは”ありがたい”と言う気持ちがあるものの「寮に居れば栄養も摂れる。(外食は)お金がかかります」とプロ選手なのにとても倹約家なところも親近感を感じてしまいます。
また”夜は部屋にいてゆっくりしたい”「睡眠は8時間くらい寝たい。ナイターの時は10時間くらい寝ます」と体への気遣いが半端ないことも話しました。髪型も入団当時のままの黒髪。色にこだわりは無く、パーマはたまにかけることもあるそうです。その理由もかけた方が邪魔にならないからだと言います。
体格に恵まれ、別物と評価されるボールを投げることができる山下舜平大選手。さらに食へのこだわりや体を大切に休養するなど大谷翔平選手と同じように”ただ野球に集中して取り組める環境”を求めているのです。
”状態が悪い中でどうしたら良いのか”を考えるメンタル
開幕当初に比べ、打ち返されることも増えてきた山下舜平大選手。しかし焦りなどは、一切無いそうです。疲労も出てくるため、真っ直ぐが落ちてきてしまうのも想定内だったそうです。もちろん落とさないように心掛けますが、それでも状態がよくない時に自分自身どう対応するのかが大事なことだと考えているそうです。
シーズンを通して毎回調子が良いピッチャーは誰一人いません。むしろ調子が悪い時の方が確率的に多いかもしれませんが、そんななかでも抑えるのがプロの投手です。ストレートが走らない日やカーブが不調な日でもランナーを出してしまったのならば、そこからギアを上げ直そうと気持ちを切り替えます。
大切なのは、”ここで点を取られたら相手に流れが行く”という勝負どころでは得点を許さない”勝負勘”です。山下舜平大選手が持つ勝負勘は、他の選手が簡単に手に入れることができないものです。これはもしかしたら、他のことに興味が無いほど”野球に集中できる環境も求める”プロ思考の高さがあるからこそ身につきたのかもしれません。
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