探究心というメンタルが生み出した小柄なホームランバッター、吉田正尚選手
目次
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”和製大砲”と言われる吉田正尚選手
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”受け身では成長しない”と考えるメンタル
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スイングを言語化できる力
”和製大砲”と言われる吉田正尚選手
福井県出身の吉田正尚選手が野球を始めたのは、6歳の頃。当時のことを「”遠くへ飛ばしたい”という意識が強い子供時代だった」と話しています。
敦賀気比高校に進学すると1年の夏には4番バッターとして頭角を現し甲子園出場の切符を掴みましたが、名門帝京高校に敗れ、初戦敗退。その秋にも福井県大会を制し2年目の春の選抜にも出場しますが、準決勝で惜しくも日大三高に敗れました。
その後は、甲子園への切符を掴めなかったものの進学した青山学院大学でも4番バッターになった吉田正尚選手は、2シーズン連続で指名打者としてベストナインに選出されます。指名打者から外野手へ転校後は、外野手としても2度ベストナインに選ばれました。大学2年で日米大学選手権、ユニバーシアードなどの日本代表にも選出された功績から「和製大砲」と言われ、プロ野球のスカウトの目にも止まりました。
2015年のドラフト会議では、一巡目で指名されオリックス・バッファローズに入団。プレミア12の日本代表として出場した同級生には、横浜の今永昇太選手、巨人の中川浩太選手、日本ハムの近藤健介選手などの豪華な選手がいます。東京オリンピックでも侍JAPANに選出され、金メダルを獲得。その後オリックスでも優勝し、WBCでも優勝に貢献しました。
173センチとアスリートとしては小柄でありながら、大学時代50m走では6秒2、遠投では100mの記録を持つ運動能力は並はずれたものでした。野球をする子供が減るなかで、自分のホームランがきっかけとなり野球人口が増えてほしいと願う吉田正尚選手。
幼い頃よりホームランバッターへの憧れが強く、特にメジャーリーグのワシントン・ナショナルズで活躍するブライス・ハーパー選手が大好きだったとのこと。同じ右投げ左打ちであることから「憧れの選手であり目標」と話す吉田正尚選手の最初の背番号も「34」ブライス・ハーパー選手が2018年まで着用していた背番号です。現在はアメリカメジャーリーグでも名門であるボストン・レッドソックスで「7」の背番号を背負っています。
”受け身では成長しない”と考えるメンタル
パ・リーグ歴代4位タイとなる2年連続首位打者、最高出塁率、外野手としてベストナインを4回も受賞した吉田正尚選手。「向上心、探究心、反骨心が旺盛」と自身の性格について話しました。シーズンオフには、ハンマー投げの室伏広治選手からトレーニング指導を受けていて、”遠くへ投げる”ということにもこだわりを持っています。
そして何よりも大事にしているのは”土台”だそうです。野球教室などで小学生のスウィングを見てアドバイスを求められる機会がアスリートには良くあります。そんな時、どうしても「土台ができていないのに形のことだけ言ってもなあ」とつい思ってしまうと言います。
現場では「こう振れ」とまず形から入る指導者が多いのは仕方がないことです。しかし、体の成長に合わせて結局その形が合わなくなることの方が多いため、結局は自分で試行錯誤するしかありません。
そのため「最初から形を気にするよりも強くガンガン振ること。意識し続ける中でその時に自分に一番あったいい形が生まれるんじゃないか」と考えるのが吉田正尚選手なのです。
他の誰かに教えられた形より”自分の感性で試行錯誤して得たもの”の方が断然強く、打撃の引き出しも自然と増やすことができるのだそうです。「だから”自分で見つけるんだ!”という気持ちを強く持つことが大切。見つける過程で悩んだら、指導者の方々に助言を求めに行けばいいし、納得できるアドバイスがあればミックスさせていけばいい。でも最初から教えてもらう受け身の形ではバッティングは、なかなか本物にはなっていかない。」と話します。
探究心を持てば、継続することは難しいものから楽しいものに変わります。もちろん野球が好きになり、自分のバッティングに向き合うことも楽しくなる。結果、向上心が生まれます。この良いメンタルのサイクルを得たことが、吉田正尚選手にとって一番成長できた要因だったと想像することができます。
ちなみに「打席では、ホームランを意識していない」と言います。吉田正尚選手が、ホームランを打った時のフォームを確認すると素振りの時に強く降った時とほぼ同じだそうです。この強く振る素振りがベストスイングであり「ホームランを狙う」という意識はせず「ベストスイングをする」ことを考えて打席に立つ、そしてそれができれば延長上としてホームランになるのです。
”試合は練習のように”という言葉がありますが、まさにこの吉田正尚選手のベストスイングなのがわかります。受け身ではなく自発的に試行錯誤を繰り返してきたベストスイング、そして野球を楽しむ探究心が小柄なホームランバッターを作り上げたと考えることもできます。
スイングを言語化できる力
小柄でありながらマッチョであることをネタにする吉田正尚選手。ホームでの試合では、自身の作ったマッチョ動画が流れ、ダンベルの形をした応援グッズまで発売されました。笑いまで誘う「張り切り屋」の愛されムードメーカーです。
そして社会貢献活動への関心も持ち、2018年「規定打者への初到達」を機会にホームランを1本打つごとに10万円を「国境なき子どもたち」を通じて寄付する素晴らしい人柄でもあります。
そんな吉田正尚選手は、2年連続で首位打者に輝きました。大きな体でダイナミックな打撃フォームをする選手のホームランも迫力を感じますが、小柄ながらフルスイングのホームランを放つ吉田正尚選手にもたくさんの野球ファンは魅了されています。
そんな中で吉田選手自身が話すのが3種類のベストスイングです。「投球ラインに沿ってバットを入れる」また、アンダースローの投手が投げる浮き上がってくる軌道のボールには「上から被せ気味にバットを入れる」そして、ツーシームやカーブには「下からバットを入れる」という使い分けをしているそうです。理論が出来上がっている選手は自分自身の技術を言語化することにも長けていることが伺えます。
高校生の時からバッティングセンスには、非凡なものがあり「力みなくバットが振れ、ヘッドスピードが早く、芯でボールを捉える高い技術を持つ選手」と評価されていました。オリックスに入団当初も「広角に強い打球を打ち分ける長距離打者」と評価され、ホームランバッターには珍しいと言われる三振率も非常に少ないのも特徴です。選球眼のバランスも良いので、とにかく出塁率が高い事が吉田正尚選手の魅力です。
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