辻褄の合わない信念はモチベーションを下げる?全てのスポーツマン必見
特に、
「選手のモチベーションがなかなか上がらない」
「最初はやる気に満ち溢れていたのになかなか続かない」
といった悩みを抱えている方も多いと思います。
そこでこの記事では、ある論文を参考にモチベーションとモチベーションを保つための「信念」における関係を解説します。
スポーツマンはもちろん、仕事や自己研鑽など日常的な目標の達成にも役立つ知識であるため、モチベーションの維持・向上に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
モチベーションとは
モチベーションとは、物事を行う際の「動機付け」や「やる気」、「動機」のことです。数字や見た目で表現することが難しく、常に安定するものではないことから多くのスポーツマンが一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
また、自身の気持ちの持ちようだけでなく、周囲の人間関係も影響するため維持や向上といった管理を困難に感じる方も多いです。
モチベーションには「内発的なもの」と「外発的なもの」が存在する
モチベーションには、自身の興味や関心から生まれる「内発的動機付け」と報酬や懲罰など他人からの働きかけによって生まれる「外発的動機付け」があります。
内発的動機付けは、自発的な行動を起こしやすく高い集中力や行動力を発揮することが多い点が特徴です。外発的動機付けは、罰や評価など働きかけがわかりやすく指導しやすい反面、価値や貢献度が感じにくくなるというデメリットも存在しす。
「常に〇〇でなければならない」思考はモチベーションを下げる?
「常に〇〇でなければならない」と強く意識してネガティブな思考を生み出してしまう考え方のことを「不合理な信念」と呼びます。この、自身の思いとは関係のなく思考を拘束されてしまう不合理な信念は、モチベーションや健康状態に大きく影響するようです。
“I must do this!”: A latent profile analysis approach to understanding the role of irrational beliefs and motivation regulation in mental and physical health(Turner et al.2022)によると、不合理な信念を持ちモチベーションの下がったスポーツ選手よりも環境に合わせて柔軟に信念を持ったモチベーションの高いスポーツ選手の方が良好な健康状態を示したそうです。
特に、環境に応じて融通を利かせることのできない不合理な信念を持つ学生には無気力さが目立ちました。このように、自身の持つ信念はモチベーションだけでなく健康状態にも影響するようです。
モチベーションの維持・向上には「自分にしかない」信念を持つことが重要
道理の通っていない、非論理的な信念はモチベーションの低下を招いてしまいます。モチベーションを維持し向上させるためには、「〇〇でなければならない」と考えるのではなく「自分は〇〇であるから〇〇をするのだ」と自信を持って説明できる自律した信念を持つことが重要です。
納得のいかない目的や指示を優先してしまいそうになった時は、自分にしかない信念を持つことを意識しましょう。
アスリートであった事例
実際に私が見てきた選手の中で辻褄が合わない信念を持つケースを見受けます。特にモチベーションの起伏が激しかった選手の事例をご紹介します。
この選手はスキージャンプ選手で、次回の大会で結果を残せないとオリンピックの道が途絶える瀬戸際の選手でした。だから、彼は「オリンピックでは金メダルをとれたら死んでもいい!」と豪語します。まさに外発的動機の典型事例なのですが、このような動機づけだとどうしても試合でいいパフォーマンスを発揮し辛いですし、何よりもモチベーション維持が大変でした。
結果的に、彼は結果を残すことができませんでした。あれだけ豪語していましたが死んでもいいという気持ちではオリンピックまで持たないのです。
だからこそ、自分にしかない信念を持つ上でも内発的動機がキーポイントになります。それは「競技の好きなポイント」「楽しいと思える理由」です。殆どの方が理由なんてないと言います。特に楽しくやっている選手ほどモチベーションを高く維持できてます。
死ぬ覚悟以上に、競技をいかに楽しめるか?それこそが辻褄のあったモチベーションになるのです。ご参考までに。
参照論文:“I must do this!”: A latent profile analysis approach to understanding the role of irrational beliefs and motivation regulation in mental and physical health
さらに学びを深めたい方へ
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【このコラムの著者】