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コーピングの方法はビッグファイブに従って変えるべき?

みなさんは普段、ストレスに対してどのように向き合っていますか。

 

アスリートやスポーツ選手の中には、ストレスの対処に対して 「常にストレスフルな状況にあり逃げ場がない」 「いつもなんとなくやり過ごしているが、さらに強いストレスがかかった時はどうすれば良いかわからない」 「みんながストレス解消になると言っていた方法を試したが自分にはあまり効果がなかったようだ」 といった悩みや不満を抱えている方もいるのではないでしょうか。 ストレスがかかり続けている状態は競技のパフォーマンスを下げるだけでなく、心身への様々な影響を与えることにより日常生活に支障をもたらすこともあります。

 

そこで、この記事ではストレスに対する対処行動であるコーピングが性格 コーピング(ストレスコーピングとも)とは、ストレスを感じる原因となっている基であるストレッサーを認知し、和らげるなどの対処を行う反応のことです。 ストレッサーは環境や外部からの刺激であり、「不安」「焦り」などの心理的なものから「ノルマ」など社会的なもの、はたまた「部屋の寒暖差」といった、あらゆるものが原因となり得ます。 みなさんはストレスを感じた時に無意識に撮ってる行動はありませんか。これはコーピングとは異なる「適応機制(防衛機制とも)」という防衛反応です。 適応機制は気付かぬうちに反応しますが、コーピングは意識して行うことであり、環境やシチュエーションに合わせて工夫することができます。

コーピングの種類

ストレスを和らげるために行うコーピングには大きく分けて2種類が存在すると言われています。 ここではそんな2つのコーピングの種類について解説します。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングは、ストレッサーとなっている問題自体に働きかけて働きかけて解決を図ることです。 根本的な問題を取り除くことで、ストレスを感じている環境から抜け出します。 具体的には以下のような方法が挙げられます。

  • 大きな試合は逃げ出したくなるほど緊張して苦手だが、今後の糧になるからと考え直す
  • フォームが崩れる原因となっている部位のトレーニングを強化する

また、因果はわからないが「?でなければならない」と考えるような、道理の通っていない非論理的な信念を持つような思考をしている場合は、この思考自体を見直すことも問題焦点型コーピングの一種であると言えます。

 

このような説明のつかない信念はモチベーションを下げることもわかっています。 詳しく知りたい方は、過去の記事辻褄の合わない信念はモチベーションを下げる?全てのスポーツマン必見をご覧ください。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、感情にアプローチすることでストレスを感じている気持ちを変化・解消させます。 ストレッサー自体が対処することで変化させることのできるようなものであれば、問題焦点型コーピングで解決できるかもしれません。

 

ただし、自身のアクションではどうにもならないような事柄がストレッサーになっている場合は「自分の感じ方」のコントロールを行うことになります。 具体的には以下のような方法が挙げられます。

  • 友人と他愛もない会話を交わす
  • マッサージやアロマでリラックスする

情動焦点型コーピングはスキルを磨くと自身の感情をコントロールすることができるようになる反面、根本的な問題解決には至っていないという点には注意が必要です。

ビッグファイブの分類によって向いているコーピングが存在する?

ビッグファイブとは、人の性格をつきつめて着目すると5つの次元(特徴のようなもの)で説明することができるとした考え方です。 5つの次元には以下のようなものが挙げられます。

  • 解放性(Openness):想像力・好奇心
  • 外向性(Extraversion):外交的あるいは内向的か
  • 協調性(Agreeableness):他者に対する接し方の深さ
  • 情動性(Neuroticism):精神の安定
  • 勤勉性(Conscientiousness):物事に対する誠実さ

それぞれ次元を占める人数は正規分布に収まるため、極端に低い特性や高い特性を持った人は少なく”中くらい”にあたる人が大多数を占めます。 近年の研究ではコーピングの方法は、このビッグファイブの分類に従って決めると良いと言われています。

 

そこで、ここではアスリートのコーピング方法とビッグファイブの関係について研究した「Mariana Kaiseler, et al. The Independent and Interactive Effects of the Big Five Personality Dimensions upon Dispositional Coping and Coping Effectiveness in Sport.2017」を参考にビッグファイブの特徴と適しているコーピングの方法を紹介します。

問題焦点型コーピングが向いている人の特徴

外向性が高く、情動性が低く感情の安定したアスリートは問題焦点型コーピングをよく使う傾向にあったようです。

 

また、解放性が高く、創造性、柔軟性、想像力に富むアスリートも問題焦点型コーピングを好んでいたそうです。これは解放性が高いと様々な感情を経験することにアグレッシブで常に肯定的に思考を巡らせることができるためではないかと指摘されています。

 

実際にこれらの特徴を持つアスリートは問題焦点型コーピングを使うことで数とレス対処の効果が現れていました。 そのため、問題焦点型コーピングは外交性や解放性の高いアスリートに向いていると言えます。

情動焦点型コーピングが向いている人の特徴

協調性や勤勉性の高いアスリートは情動焦点型コーピングを好まない傾向が強く現れたそうです。 一方で、情動性の高いアスリートほど情動焦点型コーピングを使う傾向にあったそうです。

 

また、研究結果より情動性の高いアスリートは情動焦点型コーピングを使ったことによる注意散漫によってパフォーマンスの低下を引き起こす恐れがあるということもわかりました。

 

これはそもそも、情動焦点型コーピングがアスリートにとって有益ではないと考えられていることを示唆しています。

 

また、情動性の高い人こそ情動焦点型コーピングは用いないほうが良いということがわかりました。

 

したがって、情動焦点型コーピングは問題焦点型コーピングでストレッサーを解決することができなかった情動性の低い人は使っても構わないと考えることができるのではないでしょうか。

コーピングの方法は人それぞれ、自分にあった方法を探してみよう

常に効果のあるコーピング方法を見出すことは容易ではありません。 状況や環境によってストレッサーになりうるものが変化する上、ストレッサーに対する捉え方は十人十色であるためです。

 

また、今回の記事で紹介した論文の研究内容はあくまで相関関係が見られたものであり、全ての人に共通しているとは限りません。 そのため、自分にあったコーピングの方法を探してみるようにしましょう。

 

いざ、高ストレス環境下に陥った状態で様々なコーピングを試すことは困難であるため、余裕のあるうちに検証してみると良いでしょう。

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【このコラムの著者】

プロスポーツメンタルコーチ/一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。>> 今も増え続ける実績はこちら

【プロフィール】フィリピン人の母と日本人の父との間に生まれました。生まれた国はイギリス。当時から国際色豊かな環境で育って来ました。1歳になる頃には、日本に移住しました・・・。>>続きはこちらから

 

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