試合前ほど緊張感を
感じる瞬間はないと思います。
だからこそ
スポーツメンタルコーチの出番。
普段は月に1回から2回、
さらには試合前に15分ほどの電話をします。
試合の緊張感を解く方法として
一般的には呼吸法や筋弛緩法などあります。
しかし、
私はそういった対処療法ではなく
根本的な解決を提案したいのです。
会話を通じて、
選手の気持ちを整えていきたいのです。
そこで実際に私がやっているコーチングについて
少しご紹介したいと思います。
私が見てきた選手の中で、
こんな選手がいました。
試合前になると動悸が。
額の汗が止まりません。
あれだけ穏やかだった口調が
ものすごく早口に。
呼吸も浅く、
思考も狭くなっていきます。
試合でもその緊張感が伝わってきます。
そして試合中に涙を流します。
自分の不甲斐なさが許せず、
緊張の糸を涙で流すしかできませんでした。
このケースでは
非常にレアな状態です。
張り詰めた緊張感に耐えきれずに、
自分自身を見失うケースは誰にでもあります。
では、
どのようにして緊張は
起こっているのでしょうか?
簡潔にまとめると
理由は2つあります。
1つは脳内物質です。
緊張(ストレス)を感じると、
脳内ではあるホルモンが分泌されます。
それがノルアドレナリンと
ドーパミンです。
これらが前頭前野で高まると、
神経細胞間の活動が弱まります。
そして知的行動が
止まってしまいます。
脳内ネットワークの活動が弱まると、
行動を調節する能力も低下します。
視床下部から下垂体に
指令が届きます。
副腎がストレスホルモンである
コルチゾールを血液中に放出します。
これが脳に届くと
事態はさらに悪化します。
こうして、
自制心はバランスを崩していくのです。
2つ目の理由に、
自律神経のバランスです。
1つ目の理由にも関連するのですが、
この自律神経は私たちが生きていく上で
とても重要な働きをしてくれています。
その主な働きに交感神経と、
副交感神経があります。
交感神経が優位になると、
私たちは緊張を感じます。
一方で副交感神経が優位だと
リッラクスを得ることができます。
この2つの神経は、
バランスのとれた状態が理想と言われます。
このバランスが崩れると、
緊張や不安を感じてしまうことが起きます。
理論的には他にも逆U字理論や、
食事や栄養面からもアプローチが出来ます。
それらも大事なのですが、
私が大事にしたいのが心のクセを知ることです。
「緊張をどうにかしかたい」
「不安を解消したい」
そういった声を
非常に多く頂きます。
私自身も野球をしていた時、
緊張しやすい人間でした。
もともと自信もなかったので、
試合前はいつも心臓がバクバクでした。
そんな自分が試合での結果を左右していたのが
最初に投げた時のボールの感覚でした。
しかし今思えば、
「最初のボールを投げた時の心のクセ」
が影響していたと気付きました。
つまり、
1球目にどんな球を投げられたかで
自分の調子を決めつけていたのです。
これって、
野球に限らずサッカーでもあります。
ファーストタッチがちゃんとできるか?
これで悩む選手って多いんです。
あとは卓球やバレー、バスケでも
最初ってめちゃくちゃ大事ですよね。
この最初の出来次第で自分の良し悪しを
勝手に決めつけてしまうのは心のクセなのです。
心のクセをしるということは
自分を正しく理解することになります。
変に強がるわけではなく、
自分に無駄な着色なしに理解する。
これが1番簡単ではないのです。
しかし効果は抜群にあります。
なぜならば、
自分を理解できている人ほど
自分がいますべき行動がわかるからです。
先程の脳内物質においていえば、
前頭前野の活動がすべてです。
興奮状態になると扁桃体に血流が集まります。
この状態で前頭前野という脳の司令塔が
正しく機能しなくなります。
この前頭前野をちゃんと機能させるために
色んな方法があります。
そういった方法論を抜きにして、
私は物事の捉え方をちょっとだけ変えたいのです。
試合での最初の入り方をよくする。
もしくは最初の入りがダメでも、
10球以内でよくしたらいいのです。
あるプロ野球選手が、
同じような悩みを抱えていました。
投球練習の1球目から
全力で投げ込むスタイルでした。
それだと1球目にとんでもない所に
投げ込む確率が増しました。
投手をやっていると、
マウンドがまだ自分の足に慣れてないので
土に足が取られてしまうことがあります。
すると、
全力で投げても狙ったところに
投げられないことが多々あります。
なので、
1球目の入りを変えました。
全力で投げるのではなく、
5割の力で投げるのです。
5割の力で投げ込むので、
ある程度の球をある程度のコントロールが出来ます。
当たり前ですが人間の脳は勘違いして
今日はちゃんと制御できていると捉えられます。
これがどんどん積み重なると、
自信が持てるようになります。
自信が持てるようになると、
自然と気持ちが落ち着いてきます。
大事なことは、
最初の入り方です。
この入り方を
どれだけ準備できるか?
そこを二人三脚で構築していくのが
私の仕事の1つでもあります。
ある意味で、
これらはルーティンかもしれません。
意図的にルーティンを作ろうと
思っている訳ではありません。
その時その時によって
最適な答えは変わっていきます。
このやり方がAという選手によくても
別の選手にハマるとは限りません。
一種のルーティンに頼るのではなく、
自分の無意識の習慣をちょっと変えたいのです。
脳は身体の中で1番エネルギーを消費する場所です。
基本的には楽をしたいと思っています。
何か新しいことをすると
それは脳にとってストレスです。
うまくいかない選手ほど、
劇的な変化を望みます。
だから、
行動を劇的に変化させようとします。
小さな一歩よりも
大きな一歩を歩もうとします。
脳にとっては大きな負担になります。
大きな負担とは大きなストレス。
なので脳的には嫌だ?ってなります。
嫌だと思うから、
気持ちが続かない。
いわゆる、
モチベーションが続かない状態なのです。
そうではなく、
脳の”ごきげん”をとってほしいのです。
ストレスなく、
負担がないところから始めたいのです。
脳は変化に気づかずに
自然と習慣が変わっていきます。
習慣が変わると、
無意識に結果を出せる自分になっていくのです。
ルーティンではなく、
無意識の習慣をちょっと変えていく
そんな工夫が大事になっていきます。
緊張を解くために、
無意識の力を借りることがポイントです。
その上で大事になるのが、
自分を正しく知ることになります。
そして、
自分を知る上でもっとも効果的なのが、
ノートをとることになります。
いわゆる日誌です。
この際にスマホではなくノートがポイントです。
振り返ることができることと、
手書きによる記憶の定着が期待できるからです。
その際に、
日誌を書こうとすると
1ページ書こうとする人が必ず出てきます。
ストレスなく続くのであればいいのですが、
少しでもストレスを感じてはNGです。
以前にもお伝えした通り、
脳にストレスを感じさせないことがポイントです。
そのためにも、
私は5行だけ書いてもらうことをオススメしてます。
たったの5行でOKです!
5行かけたら最高です。
なんなら、
3行でもいいです。
必ずアウトプットが大事です。
このアウトプットができないと
結果はなかなか生まれません。
あるJリーガーに
ノートの話をしました。
最初は日誌とか書くのが苦手でした。
苦手な理由を聞くと書くことよりも
字が汚いのが嫌だったのです。
人に見られるのが嫌だと。
この日誌は人に見せるものではありません。
あくまでも自分のためです。
自分のためだと人って嫌なことも
自然とできるんですよね。
これも心のクセなんです。
こういった心のクセを知るために
スポーツメンタルコーチがいます。
大変な作業に思われますが、
積み重ね形のメンタルトレーニングとは違い
メンタルコーチングでは一生ものです。
私自身がうつ病を経験し、
心を鍛える以上に心のクセを知ることが
どれだけ大事か身を持って知っています。
そして何よりも、
鍛えた鋼ほどポキッと折れやすいのです。
そうではなく植物のように心を育てる感覚を
多くの人に知ってほしいなと思います。
最後まで
お読み頂きましてありがとうございます。
1、結果を出したいと思った時にどんなメンタルが必要か?
2、試合後の気持ちを整えるためには?
3、試合前の緊張感はメンタルの成長チャンス!
4、スポーツで自信がない時にどうしたらいいか?
5、強いチームと弱いチームの違い